あらすじ
エビフライ、天ぷらなど、一人平均で年に七○匹。世界一のエビ消費国・日本は、その九割を輸入に頼っており、エビはいまや輸入食品の中でも首位の座にある。だが、一体どこでどのように獲られているのか。インドネシアでトロール船に乗り、台湾で養殖の実情を見るなど調査を重ねてきた著者が、日本とアジアとの知られざる関係を語る。
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Posted by ブクログ
この本は読まれてほしいと思った。日本の暮らしを研究してきて、戦後の上書きは日本の暮らしを難しくしたと感じる。(それだけじゃないけど)
ファストファッション問題やスローフード運動はそれ以前から日本がやっていたんだなあと。
長くなるので今回はここまで。
Posted by ブクログ
これを読む前に「バナナと日本人」が先ですが、この本を先に呼んだので紹介。
エビの本ですがエビの本ではありません。
1970年代から資本主義によるグローバルな経済が行われていたと実感できます。
エビを獲る人々
エビという生き物
エビを育てる人々
エビを加工する人々
エビを売る人、食べる人
1970年代からエビに関わるビジネスは、台湾、中国、東南アジア全域を含んだグローバルなビジネスになっています。
エビという商品一つとっても、これだけの国と、エビを商品として届けるまでにどれだけ多くの人が関わっているのか、読むことで理解できます。
予想以上のスケールの大きさに圧倒されます。
資本主義の露骨な貧富の差や、欧米の容赦ないアグリビジネスのやり方なども見たいならば、「バナナと日本人」がよいと思います。
大学1・2年生の間に読むべき本だと思います。
Posted by ブクログ
エビにまつわる色んな話。
これが資本主義だ!ってことがよく分かる本。
日本のエビ産業(国産98%)が自由化でいとも簡単に、外国産87%に変貌していく様子や、零細漁民達が貨幣経済の末端に組み込まれていく様はもはや仕方ないことにすら思える。
一方、エビを輸出する国々にとってはエビ産業が外貨、技術を獲得する貴重な機会になっているのも事実な訳で。
一概に良い悪いが判断できない難しい問題だと思います。
個人的には、日本がエビ輸入国に変わっていく過程がひじょーに興味深く読めた。
低温輸送インフラの整備、各家庭への冷蔵庫普及、商社・食品メーカー・スーパーの販促、外食産業の成長。
色んな要因があるけど、その中でもインフラってとてつもなく大事だなと。
そしてもう一点。
エビについての研究の姿勢に感銘を受けた。
徹底した現場主義で、インターネットが普及していない時代にここまで調べあげるその研究者魂に感服です。
極めるってこういうことを言うんだなー。
ネットや文献だけでささっとレポート書いてしまう自分が何とも愚かしく思えます。
「開発輸入」、「買い付け輸入」など知れてよかったなと思う用語もちらほら。
久々に学ぶことが多く得られた本でした。
Posted by ブクログ
私の大好きな「エビ」って自由化されたのは、ちょうど私達が生まれた頃だったんですね。
さらに、その前年には、「バナナ」が自由化されたらしいです。
だから、私達が成長する頃にだんだんと色んな物であふれかえっていたんですね。
Posted by ブクログ
日常、何気なく口にしているエビ。日本人はエビが好きだが、どこからこのエビが来ているか考えたことはあるだろうか。限られた人間が口にするエビを供給するために、環境やそこで暮らす人々の生活を破壊している現状を私たちは知らない。何故そこまでして日本人はエビを食べるようになったのかという背景もこの本では知ることができる。エビによる環境破壊・生活破壊があるという現状認識だけにとどまらず、その向こうにある欧米圏の文明というあるひとつのものさしによって振り分けられた搾取が許される側と搾取される側という世界構造にも思いを馳せた。開国以来、黒船の脅威から自分も「搾取する側」の仲間入りをすることで搾取されることから日本は逃れ、それこそが明治政府の目指した「国際的地位の向上」だったのかもしれない。
Posted by ブクログ
バナナと日本人よりも著者の旅行記のような感じで稚エビ取り、養殖池、加工場の様子などが伝わってきて読みやすかった。これも40年前の本だから今はもっと工業化されてきてるんだろうけど。エビは小さく海を相手にするものだからまだ牧歌的な空気は残っているものの養殖池が過密になるほど薬剤や漂白剤が使われて、ますます海を荒らしていくんだろうなという危機感がある。でもエビチリやエビフライ大好きだもんな。生産者も末端消費者もうまくいくことはできないんだろうか。
Posted by ブクログ
バナナと日本人のエビ版。バナナが巨大バナナ企業4社により生産から販売まで行われているのに対し、エビは、多種多彩な業者により捕獲(養殖)から販売まで行われている。エビの種類から漁や冷凍作業の様子、生産・輸入の推移、問題点まで、細部にわたりわかりやすく説明されており、充実した内容であった。
Posted by ブクログ
エビを介して見える日本の経済と、途上国との関連性。途上国でのエビ漁が現地の人に嫌われていることもあれば、それが逆に現住民の職にもつながっている。そこで、エビの養殖が全ての事象に良いものだろうと思いきや、エビを養殖することで、エビの単価が下がり、途上国での漁での採算が取れなくなり、結果的に失業者が出る。など、予想もしないことが書かれてる。かなりショックを受けた。
Posted by ブクログ
もともと輸入されているのエビの現状が
とてつもなく悲しいものであるというのは
知ってはいました。
この本に書いてあるのはやはり
想像通りの内容でした。
いろいろと考えさせられるのは
むやみな食というものが
自分たちの首を絞めてしまうということ。
そしてその後に思い知らされるということ。
結局エビ好きは
踊らされている、ということなのかもしれません。
Posted by ブクログ
エビの種類やエビ業者の話など、その情報量の多さに感心した。著者は上智大教授であり、ジャーナリストではない。このあくなき好奇心と取材力は評価に値する。著者が述べる通り、エビは日本人にとって重要なモノになりつつある。なぜなら、輸入量世界1位であり、またエビが輸入占める割合が1位である(った)からだ。また、私たち日本人にとってシーフードという言葉から想起される魚介類は、エビであることが多いのではないだろうか。エビの種類などから、エビ産業についての分析まで、この本の射程は広い一方で、著者が上智大の外国語専門であることも重なり、その分析はやや浅いものであることは否めない。例えば、「日本人がエビを輸入することは現地にとって、損にはならない」という商社マンの言葉に対して、慎重な態度をとっていたり、エビ産業における搾取を国内政治の問題あるいはグローバル経済の問題と捉えたりしているが、分析上の物足りなさを感じる。ただ、一介のジャーナリストでもこれほどの情報を調べることが珍しいという意味でも、またエビの問題を考えるきっかけになりえるという意味で、この本は優れている。先程の商社マンの言葉を見て、城山三郎の小説にあった「一流の商社マンは法を破る」という言葉を思い出した。
Posted by ブクログ
地産地消とかフードマイレージという言葉が気になったので、古いけど何も読まないよりは。
と思って手にとった一冊。
日本人が大好きなエビ。ではそのエビはどうやって私たちのお皿の上にくるのか?
昔はめったに食べられなかったのに、今はなぜこんなにも簡単に手に入るのか?
どういう人が働いていて、どんな形で獲られていて、どんな形で運ばれてくるのか?
を生産者や中間業者に直接コンタクトを取り、生の声でその全貌がまとめられています。
読んだあとは、お皿の上のエビについて深く考えてしまいました。
このまま輸入し続けていいのか?って。
30年前にこの事に危機感をもって調べた著者がスゲーです。
Posted by ブクログ
30年前の本なのでデータはやや古かったですが。
マングローブの根元で、プランクトンを索餌するエビを想う。
そのエビを三角網で漁獲する漁師たちの伝統的漁業を想う。
国際市場で需要と供給が結びつくことを、多面的に考える。
漁業は特に蛋白源供給以上の意味を
地域にもたらしていることが多いので、
国際商品としての魚介類を見るとき、その視点は忘れてはいけないのだなと
当たり前のことですが、思いました。
中身を知って、買う。
Posted by ブクログ
日本人が食べてるエビはどこから来てるのか。日本人のエビのためにいろんなことが行われてる。養殖のためにマングローブ伐採…わたしの大好きなマングローブ…。でも日本人にエビを売ってを仕事にしてる人もいるんだもんね。
Posted by ブクログ
人類学者になりたくなったんです、この本に出逢って。
モノのルーツを知りたくなったのは、この本のお陰だと思います。
そして、日本人が食べているものの多くが、
諸外国に委ねられているという事、そして大切なものを切り捨てさせている
ということ。。。
日本の自給率、39%ですから。
Posted by ブクログ
日本で大量消費されているエビについて、その生産現場から消費までの現場と流通を丹念にたどって解説する。筆者のチームが実際に現地へ赴き、インタビューした成果が詰まっている。1では、インドネシアの漁民の声を拾い、日本資本に組み込まれている様子を描く。トロール船は現地に何も残さずに商品としてのエビを収穫していく。乱獲によって資源が枯渇し、養殖ブームが起こっている。2では、エビの生物学的解説や、伝統的漁法から現在の漁法まで紹介する。日本で消費するエビの八割以上が外国産であるという。3では、養殖漁民の仕事と生活や、輸出するまでの流通の仕組みについて紹介する。エビの養殖方法を確立したのは日本である。4では、エビを加工する工場の女工さんたちの労働状況について紹介する。日本の商社や水産会社が深く関わっていることも指摘される。5では、日本のエビ消費動向について。エビが身近なものになったのはごく最近であり、業者と政府が一体となって冷凍食品を普及させた成果であると指摘する。1986年にはすべての食料品の中で輸入額1位になったそうだ。目次 1 エビを獲る人びと―トロール漁の現場 2 エビという生き物―生態・種類・獲られ方 3 エビを育てる人びと―養殖をインドネシア・台湾に見る 4 エビを加工する人びと―調味料づくり・殻剥き・箱詰め 5 エビを売る人、食べる人―この四半世紀に何が起きたか?1988年発行と古くなった本なので現時点とは異なる点もあるだろうが面白く読めた。かつての水産ニッポンが水産物大輸入国になったということは、食料自給率の問題につながってくる。貿易データ、取引相場などの経済指標が数多く紹介されているし、現地の人々の声もリアリティがあって面白い。漁港、工場などの描写は旅行記のような趣もあり、現地の風景をうまく表現している。国際資本に飲み込まれる第三世界という問題指摘も、変な押しつけがましさがなく、共感が持てる。
Posted by ブクログ
途上国と日本をつなぐ糸をたどる本。「バナナと日本人」に続いて、エビを題材に取り上げている。エビを食べるだけでは決してわかることのない複雑な経路を丁寧に追っている。だいぶ事情は変わってきてはいるが、今読んでも示唆が多い。
Posted by ブクログ
日本で消費されるエビの養殖などのために,東南アジア諸国では,マングローブ林などさまざまな環境が蝕まれている.この事実はすでに衆知であるものの,多くの人は表面的にしか知らない.この本は著されてから20年近く経つが,そのメッセージは変わらず重要.もっと広く読まれてもよいと思う.
Posted by ブクログ
日本人は、世界一エビを食らう人種である―普段何気なく口にするエビ、それを養殖するために、アジアで多くのマングローブが犠牲になっているという事実。
中学生の公民の授業で取り上げたい一冊。
Posted by ブクログ
食卓に並ぶエビの商流、その現場確認、データ分析を行なった本。続編もあるのでいずれ読んでみたい。古い本も当時の状況を知ることに役に立つので、たまに読むと面白いです。
日本人も30-40年前は海外他国の漁場を荒らしていたんだなーということを認識しました。
Posted by ブクログ
エビ・日本人
=で結んでも問題ないほど強い絆で結ばれる両者を切り取って一冊にした視点が面白いと、思わず手に取り読む。
う~ん、なるほどっ!合点がいくとこや気づきはあったので面白くて読み進むも、
はてメインメッセージは?
も少し強い著者の主張を感じたかったなぁと思う。
Posted by ブクログ
買った本。
日本人がエビを大量に輸入することで、世界にどんな影響を与えるかが描かれている本。
エビの乱獲によって海の環境が破壊され、エビの養殖のためにマングローブの森が伐採され、輸送のためのタンカーでは大量の石油が使用される。
エビ産業に従事する人々の収入格差は一段と大きくなるが、またそれによって糧を得ているのも事実。
『バナナと日本人』とともに、フェアトレードについて考える上での必読書。