あらすじ
サッカー本大賞2020受賞作。
「情景の切り取り方がイニエスタのパスのように美しい。こんな旅の経験は誰かに話したくなる」
(サッカー実況アナウンサー・倉敷保雄氏)
『Sports Graphic Number』(文藝春秋)をはじめ多数の媒体に執筆、
翻訳するバルセロナ在住のスポーツライターが綴るヨーロッパサッカー紀行文。
本書には、バルセロナ、マドリード、ロンドン、パリ、リスボン、ナポリ、フィレンツェ、ベルリン、グラスゴー……
30を超える街で受け継がれるフットボールの物語が収められている。
メッシ、クリスティアノ・ロナウド、長谷部誠、本田圭佑、香川真司、岡崎慎司、乾貴士、
中島翔哉、中村俊輔、中田英寿、ペレ、クライフ、ルイ・コスタ、ピルロ、モウリーニョ、アギーレ……
数々の名選手、名将から、スペイン4部リーグ『エウロパ』の選手まで登場。
そして、日本のスペインバルでもおなじみのハモン・イベリコに、バスクのステーキ・チュレトン、
バルセロナで食べられる焼きねぎ・カルソッツから、
クリスティアノ・ロナウドが愛した「ほし鱈とジャガイモの卵とじ」。
中村俊輔が活躍したイタリア・レッジョ・ディ・カラブリアのマリア婆さんが愛した「魚介のリングイーネ」に、
ベルリンのビアホール『プロトコル』の濃厚なラガービールまで、
欧州のサッカー旅行では欠かせない「食と酒」も豊富に綴られている。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
2003/2004のシーズン、リーズユナイテッドは、そのシーズン限りで降格することになるプレミアリーグで戦っていた。私は、その時、リーズから電車で1時間程度のシェフィールドという街に住んでいた。シェフィールドにも、ユナイテッドとウェンズデーという2つのプロフットボールチームがあったが、下部リーグに所属していた。マンチェスターも電車で1時間程度の場所にあったが、オールドトラッフォードでの観戦チケットを手に入れるのは至難の技、ということで、どうしてもプレミアの試合を観戦したかった私は、リーズの本拠地、エランドロードスタジアムでのチケットをなんとか入手し、プレミアの試合を3試合、観戦した。
幸いなことに、そのシーズンの上位3チーム、アーセナル、チェルシー、マンUの試合を観戦することができた。アーセナルは、ベンゲルが監督、アンリの全盛期でもあり、このシーズン、無敗優勝を飾った。チェルシーには、ランバードがいて、マンUには、若き日のロナウドがいた。リーズは、残念ながら、ホームで3チーム相手に1勝も出来なかった。
この本を読むと、自分のサッカー観戦の経験、歴史を書きたくなる。サッカーの試合の中身ばかりではなく、スタジアムの雰囲気、観客の様子、スタジアムの周辺で食べたもの、飲んだもの、買ったもの、交わした会話などの諸々全てがサッカー観戦であり、それが幸せな記憶と、かけがいのない思い出を、心の中にまざまざと再現してくれるから。
Posted by ブクログ
バルセロナ在住ライターのサッカー紀行。
サッカーを主とした視点から、食べ物、お酒、街並み、人々、そして移民、格差といった社会問題まで、ヨーロッパなどの街の姿が鮮明かつリアルに描かれています。
南ヨーロッパの情報多めで、特にバルセロナ、バスク、そしてリスボンは食事が美味しそうで行ってみたいと思った。
それからレスターが移民の街というのも意外でした。
時間・お金が許してくれれば、そして今は新型コロナが収束してくれれば、いつかヨーロッパの街、そしてスタジアムに行きたいと思わせる一冊。
<好きなエピソード>
・バルセロナ第3のクラブ
・レッジーナを愛したノンナ・マリア
・ルイ・コスタの10番論。
<好きな文章>
「歴史は一本の線でつながっている。すべての蓄積のもとに一国のサッカーは成長していくのだ。ユベントスを沈めた中田のハーフボレーが、海水を浴びながら見せた中村の技巧が、川島の叫びがひとつひとつ重なり、日本サッカーを形作っていく。」
「そこには1967年の名ドリブルがあり、いつかの試合のビューティフルゴールがある。あるいはロスタイムの惨劇も。パブの古時計の音とともに僕らは時を超えていく。結局のところ、それこそがサッカーが持つ最大の魅力なのだ。」
「SDになり結果を求められる中、10番がピッチに立たないことがあったとしても、その番号はいつも彼のスーツの奥に、密かにしまってある。そしていつか時が来たら、彼は静かにそれを取り出し、再び素晴らしき10番のサッカーを披露してくれるだろう。」
Posted by ブクログ
最初読み出した時は難しかったが
日を追うごとに脳内で妄想するのが楽しかった
特にイングランドプレミアリーグの旅の際には
自分が好きなクラブが実際に行ったらこんな感じなのかななんて妄想しながら読むとワクワクする。