あらすじ
ある大雨の夜、冴えない中年男・戸沼暁男(とぬまあけお)が刺殺された。暁男の不倫相手の妄想女・真由奈(まゆな)、残された妻杏子(きょうこ)と子供たち、交友関係や家族を巡って真相に迫ろうとする女刑事・我城薫子(がじょうかおるこ)だが、一向に進展を見ない。しかし、事件捜査がついに暴いてはならない秘密をつきとめた。女たちの心の奥底にうずまく毒感情を描ききった、イヤミスを超える傑作!
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Posted by ブクログ
まさきとしかだなぁ…。
イヤミスと知って読み、イヤミスはイヤミスなんだけど、嫌な話だったな、で終わらない切なさがある。ホワイダニットの名手。大好き!
冴えない中年サラリーマンが殺害され、捜査線上に上がる女たち。
浮気相手(彼女は何も知らずただ恋愛してただけなので被害者は被害者)の佐藤真由奈がいちばんきつい。妄想ちゃんの痛い女。あっちゅん…
被害者の妻杏子は、最初からそんなに嫌悪感を抱かず。ある意味いちばん可哀想かな。単純に被害者。女としての愚かな自分と、母としての強い自分に気づいて、まっすぐ自分の道、家族の道を再生していってほしい。
事件のキーマン渡瀬川瑠璃は、わたしはいちばんかっこいいなと思ってしまった。怖いけど。強い意志と深い愛情を感じた。
真犯人の山本葵(瑠璃の実妹)は、サイコパスとはまた違う、子供の頃から成長を止めた、純真で凶暴な動物。いちばん真っ直ぐで、いちばん危険。愛を欲し、迎えた最期はとても悲しいものだった。
最後に姉が幼い頃の妹が書いた手紙を読むシーンがすごく切なかった。まあ、こんな妹絶対愛せないけどね!やばすぎ!笑
ストーリーテラーとして機能している我城薫刑事は、冷めた女として描かれているけど、警察天職だよね。情熱と冷静を兼ね備えたなかなか好きなキャラクターでした。薫刑事のシリーズあるのかな?
Posted by ブクログ
面白かった一気読み
マユカのその後気になるけど
あっちょんのことはただのおっさんってことで目覚めたのか?
戸沼家も丸く納まってるっぽいけど杏子が目を覚ましたから史織も優斗も丸くなったってことでおっけー?
葵が哀れで可哀想だけど疎まれるよな〜とも思う。
みんな必死で生きてるが割と男陣がゴミばっか
読みやすかった
他も気になる
Posted by ブクログ
最近読み終わるとまた楽しみが減ってしまった、、とまで思うまさきとしか作品。
女性特有の、一番悲しいのは私、可哀想な私、が複数視点で最初から最後まで続くかんじ。
悲しみの度合いなんて人それぞれなのに、人と比べて、自分が自分がってなる心理、すごいわかる。
めずらしく性的な描写があって、女としての自信と、事後、事件のことを聞かれて、結局この人もみんなと同じだ、って思った瞬間、突然相手の歯についた青のりが目につくようになって、急に冷めるっていう女性らしい心理状態の揺らぎがうわ〜リアルだなって思った。
とくにすごいなって思ったのは、杏子が洗い物するときの「洗ってもまた汚され、また洗い、また汚され、永遠に続けなければならないのだ。食事の支度だってそうだ。つくってもつくっても子供たちは際限なく食べ、もっともっとと貪欲に要求する。どうして汚れるものを洗い、なくなるものをつくらなければならないのだろう。無意味じゃないか。自分の一生を食い潰される気がした。」っていう表現。
私の思っていたことが文章化されている..!と衝撃。
母性と性。終わり方のゾクっとするイヤミス。あー面白かった!
Posted by ブクログ
殺人事件に関わる女性たちの悲哀。
書き下ろし。
プロローグ
第一章 残された女
第二章 姿なき悪意
第三章 忘れたい出来事
第四章 かわいそうな母親
第五章 いちばん悲しい
エピローグ
妄想癖が激しい佐藤真由奈の不倫相手・戸沼暁男が殺される。暁男の妻・杏子は真由奈の思い込みによる行動で残された母子の生活がめちゃくちゃに。
捜査する所轄刑事の我城薫子と本部の梶原は、戸沼家族が参加していたキャンプで、女の子が事故で亡くなっていたことを知り、遺族の渡瀬川邦一、瑠璃夫妻に接触する。
瑠璃の生い立ちが明らかになるにつれ、疑惑の目を向けていく捜査陣。
それぞれが「自分が正しい、可哀想」と被害者感情が高まるにつれ、事件を迷宮に誘い込む。
ミステリーでもあり、被害者感情が豹変していく様が恐ろしくもあり、面白かったです。
Posted by ブクログ
プロローグですでにわくわく。人の不幸は蜜の味というのは本当だなと思うと同時に、こんなにわくわくしている自分が嫌になる(笑)。タイトルとジャケットも秀逸。
雨の夜の刺殺体。被害者は男性で、どう見ても怨恨。うだつの上がらないサラリーマンなのに浮気していたことが判明。しかも不倫相手は彼が離婚調停中だと信じていたうえに偽名を使われていた。妻は冴えない夫に浮気する甲斐性があるとは夢にも思わず。
どろどろです。妻と愛人ほか誰にも共感できません。好きになれそうな登場人物といえば女性刑事ぐらい。コンビを組むのは暴言だらけの男性刑事ですが、シリーズ化でもされたらこのコンビは意外に良くなるかもと思えます。
女性刑事の言うとおり、犯人にたどり着くまでどこを向いても「女」に当たる。女の嫌な部分をありったけ見せつけられます。「私がいちばん可哀想」と言いたがる人に限ってそうではない。