あらすじ
こんなにも愉快な子規がいたなんて! テレビで大人気の著者が、実作者の目で選びぬいた正岡子規の365句。颯爽とした名句も、飄々とした凡句も、比類なき精神の明るさと優しさが見えてくる。一日一句、すべて違う季語で味わえる、あなたの子規がここに!
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Posted by ブクログ
いくたびも雪の深さを尋ねけり
寒椿力を入れて赤を咲く
蜜柑剝いて皮を投げ込む冬田かな
藤の花長うして雨ふらんとす
とんねるに水踏む音や五月闇
六月を奇麗な風の吹くことよ
舟一つ虹をくぐつて帰りけり
短夜(みじかよ)やほろほろもゆる馬の骨
田の中の墓原(はかはら)いくつ曼珠沙華
凩(こがらし)や燃えてころがる鉋屑
恋にうとき身は冬枯るる許(ばか)りなり
子規の歌とともに、夏井いつきさんによる鑑賞が加えられている。鑑賞といっても、同じ俳人としてのもので、読みやすい。
Posted by ブクログ
10年位前の著書だが、テレビで芸能人の俳句に辛辣な批評をかまし、巧みに推敲する著者の姿は以前から変わっていないのだなと感じた.子規の俳句に軽妙な解説の取り合わせは、一幅の絵画を眺めるような心地がした.楽しめる本だ.
Posted by ブクログ
数年前から「プレバト」というテレビ番組を観ている。
楽しみにしているのは、夏井いつき先生の、俳句の添削コーナー。
見始めた頃はこわい先生だと思っていたのだけれど、今では辛口のユーモアも癖になり。
私には、そう悪くはないなと思われる俳句も、先生に添削されて、アヒルの子が美しい白鳥に変わって飛び立って行くのを見ると心が晴れる。
私は散文人間なのか、俳句の潔さは憧れではあるけれど手が出せない。
読み解き方も分からない。
ただ、響や、目の前にぱっと広がったイメージで好きな句というのは幾つかあるのだが…
そう言ったわけで、俳句集を読むことはなかったのだけれど、365日すべてに違う季語で選ばれた正岡子規の俳句に、夏井先生の短いエッセイが添えられたこの本は、先生に手を引かれて子規の宇宙を旅するがごとく。
風景は、俳人が立ち、あるいは病臥のまま読めば、夏井先生が、さっと美しい書き割りを描いて見せてくれるもの。
時々顔を出すお酒好きの一面にも親しみが湧く。
散文人間ゆえ、長文ご容赦、呵呵。
Posted by ブクログ
2007年に『朝日新聞』愛媛版にて連載された記事をまとめたもの。付録の旅行記である「大連風聞」も、10年前の中国の風景を伝えてくれる貴重な資料。長嶋有氏の解説が、本書の魅力を十二分に伝えてくれており、読後感を整理するのに参考になった。
個人的には、伝統と近代とがせめぎ合っている句が1890年代という時代を象徴しているようで、面白く思う。
餅搗にあはす鉄道唱歌かな
議事堂や出口出口の青簾
Posted by ブクログ
正岡子規の俳句365句を1年365日丸ごと味わう本。プレバトの夏井いつき先生が楽しく子規への愛たっぷりに解説してくれる。
私の好きな句「桃の如く肥えて可愛や目口鼻」はないようだ。子規はどんな思いでこの句を作ったのか、夏井先生の解説を読みたいな。
Posted by ブクログ
夏井さんの言葉でわかりやすく、エピソード等をふまえて書いてくれてるので情景が浮かびやすかったです。
時折出てくる「花」が気になり、どんなものだろうなんて自分で検索して楽しみながら読むことができました。