【感想・ネタバレ】「面白い」のつくりかた(新潮新書)のレビュー

あらすじ

ウケるプレゼンをしたい。斬新な企画を考えたい。人の心をつかみたい。誰もがそう思うけれども、そう簡単にはいかないもの。どうすれば「面白い」と思ってもらえるのか。ポイントはどこにあるのか。「安易な共感を狙うな」「アイデアは蓄積から生まれる」「人と会う前に学習せよ」――長年、ひたすら「面白い」を追求してきた著者がそのノウハウ、発想法を惜しげもなく披露した全く新しいアウトプット論。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

数々のドキュメンタリー制作で知られる佐々木健一氏の著書。
「面白い」という抽象的な感覚を言語化してくれている。ただ、あくまで映画やドキュメンタリーといった分野での「面白い」の印象。
英語でいうとfunnyよりinterestingに近い。
ただ、自分もテレビマンとしてのキャリアを積み上げていく予定なので、大変参考になった。

以下、勉強になったことを簡単にまとめます。

・面白いとは差異と共感の両輪。差異が関心を生む。意外性によって視聴者の心を揺さぶり、その上で人物に共感を覚えてもらう。
・新しいものを生むには過去を知る。「想像とは記憶である」(黒澤明)アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせでしかない。
・似たような意見や志向の人が集まると知的生産のクオリティは低下する
・徹底した取材と様々な制約が良いアイデアを生む
・「合わせ鏡の法則」で相手の本音を引き出すなら、自分が本音で語らなければならない。
・十分に事前リサーチをする。
・テーマより取材が先。事実を丹念に取材することで描くべきテーマは浮かび上がる。
・演出とは状況設定である。しっかりと狙い(意図、想定、仮説)を定め、様々な準備を怠らない。人の出入りの動線やカメポジなど空間の確認、レンズはノーマルかワイドか、などなど。
・過去の出来事も構成や見せ方の工夫で魅力的に描ける。
・仕事は前倒しでやる。ナレーションになりそうな文言やキーワードに出くわしたら、その都度書き留める。
・被写体と仲良くするだけでは、豊かに描けない。取材相手との関係性を示しながら見せる。
・ナレーションで前振りした内容がインタビューと被るのは、なんでも後付けにする制作スタイルが一因。分かりにくい=面白くないとは言い切れない。
・ドキュメンタリーを作るときは構成のことしか考えない。ちゃんと他の要素とつながっていくか。登場人物の構造に理由と帰結があるか。(ジェームズ・マーシュ監督)
・事前構成を積極的に作成する。ドキュメンタリーの物語は(制作中に)発見されるべきと思っている人もいる。作品を作りながら発見に対しても目を見開いておく。最初に組んだ構成を変えてしまう発見であっても。(ジェームズ・マーシュ監督)
・三幕構成が基本構造。1幕:2幕:3幕=1:2:1。1つの幕が次の幕に向かって物語を引っ張っていくから三幕構成と呼べる。
問題提起、問題の複雑化、問題の決着といつ3つのパートに別れる。つまり問いこそが視聴者を物語に引っ張る。
・問題提起は普遍的な問いになることが多い。
・作品のクオリティーは情報量で決まる。
・主観的に捉えている現実に近く、情報を受け取りやすいものを好む傾向にある。大量の情報も受け取ってもらえなければ意味がない。

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2021年03月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ギャップや意外性におもしろさを感じるという話は納得いく。共感の話はまさにインサイトにつながる話という理解。
テーマは決めないが、絵は考える。このあたりのバランスは難しいようにも感じた。
一見、番組等コンテンツ制作文脈で語られているので、ちょっと縁遠く感じてしまうが、本質的なメッセージは他でも共通する部分ばかりで、それをよみとれるとおもしろい。仮説思考的な話しや、戦略ストーリー的な話などなど


メモ
・おもしろいとは差異と共感の両輪
いかに差異を設定するかが人の心を動かすコンテンツの鍵になる。
・安易な共感でなく、深い共感を。、
・黒澤明監督は創造とは記憶であると明言している。
・演出とは状況設定である。場面をどう切り取るか。どう設定するか
・質とは情報量に、関係する。

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2019年12月26日

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