【感想・ネタバレ】文学に描かれた「橋」のレビュー

あらすじ

これまでに著者が読んできた詩歌、小説、随筆、折にふれて見てきた絵画などを通じて、「橋」の記憶を掘り起こしつつ、人々にとって「橋」とはどのようなものだったのかを描く。

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Posted by ブクログ

 橋という素材を中心に古典から現代文学、その中には海外の文学を含む作品を見渡したエッセイである。橋は異郷との境界にあり、それを結ぶ施設である。だから、そこを渡るときに起きる緊張感とか、逆に脱力感といったものは文学の素材になりやすい。
 本書は筆者の読書歴に基づき、文学の中で橋がどのように捉えられているのかを綴ったものであり、本書自体も筆者の橋に対する概念を綴ったもので、読者にとっては重層的に橋とは何かを考えさせるようになっている。
 私は橋が人工的な越境手段であることに以前から興味を持っていた。橋を架けるということは異郷に向かう努力と願望の象徴であり、架橋によって果たされる利益もあれば、逆に不利益もある。経済的な方面だけではなく、精神的な面にしてもこのことは大きい。
 私にとって橋を渡るとはどういうことなのだろう。それを考え直させてくれた。電車や車で通過していると分からない何かがある。少々遠回りでも橋を渡って歩く経験を積まなくてはなるまい。

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2024年12月28日

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