あらすじ
■データを制する者が世界を制するのか?ビッグデータを使う能力次第で価値が決まる。GAFAも決して安泰ではない――。まったく新たな科学的方法論に基づくビッグデータ主導の経済・社会の構図、問題点を明らかにします。
■ビッグデータが動かす経済社会、「データ資本主義」が台頭してきました。ビッグデータは経済取引、経済構造を変革しつつあるが、新しい問題も引き起こしつつあります。ごく一握りの企業によって市場が支配され、監視社会がもたらされる可能性もあります。本書は、情報経済論の第一人者が、従来の歴史をまったく塗り替えつつあるビッグデータ経済の姿と、それを貫く論理、その問題点、可能性をわかりやすく解き明かします。
■本書では、ビッグデータの概要、AIによるパタン認識、ビッグデータ・ビジネスを支えるプロファイリングとその応用、ビッグデータが提示する新しい科学的方法論、データサイエンスの役割、プラットフォーム企業の支配力、ビッグデータの将来、監視社会の可能性をテーマとして取り上げ、それぞれの背景、現状について平易に解説するとともに、データ資本主義が今後、どのような可能性を秘めているのかについて展望します。
■著者はビッグデータ・ビジネスの本質を深く掘り下げます。ビッグデータの中でも最も注目されるのがプロファイリングとその技術にかかわるものであることを浮き彫りにします。この点でGAFAの中でもビッグデータを本当に収益源としているのはグーグル、フェイスブックの2社だけであり、今後、GAFA、BATといわれる巨大プラットフォーム企業の命運は分かれる可能性がある、巨大IT企業を従来の独禁法の概念でしばることはできない、情報銀行などで本当に意味のあるビッグデータを集められるのか、などと問題提起します。そして、プロファイリングをもとにした監視社会の出現という点で中国について最も警戒すべきだが、その可能性は中国に限らないことなど、注目に値する論点を明らかにします。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
これからの社会や産業においてデータ資本主義が台頭してくる。ビッグデータやGAFAの動向、また中国やBATの動き、理論駆動型からデータ駆動型の科学など、様々な変革がまだまだ起こる。
Posted by ブクログ
2020年代の幕開けにふさわしい一冊。
ビッグデータがメインテーマだが、それを理解するためにはデータサイエンスや人工知能、IoTやブロックチェーンに関する知識も必要なわけで、それらを短く見事にまとめてくれている。いまデジタルの領域で起こっている事のダイジェストのよう。
21 世紀、データは石油のような資源、というが本質は全然違う。玉石あるデータはどこにでも存在し得るものだが、使いこなす力と、そもそも使う事を是とする社会システムの問題があり、後者は個人主義や自由主義との相性がいまいち。
20世紀にテクノロジーを牽引してきた欧米諸国が、その根幹をなすイデオロギーを維持する事で、近い将来、中国に遅れをとる。そんなシナリオが予想される。
GAFAへの規制は果たして正しいのだろうか。
Posted by ブクログ
究極の独裁者が中国で誕生しようとしている。
AI.キャッシュレスなど新しいテクノロジーが
人類を管理する。その恐怖について考えさせられた。
2020年5月再読
Posted by ブクログ
ビッグデータに基づくビジネスは、経済・社会にどんな影響を及ぼすのか。その可能性、と問題点をわかりやすく説いた書籍。
「ビッグデータ」の活用は、従来できなかった経済活動を可能にする半面、様々な新しい問題を提起する。例えば、グーグルをはじめ「プラットフォーム企業」が市場を支配する可能性がある。また、監視社会がもたらされる危険もある。
ビッグデータは、AIの「パターン認識」(コンピュータが図形や自然言語を認識し、理解すること)のための学習データに利用できる。AIのパターン認識は、自動車の自動運転など、生活と社会の構造に大きな影響を与える可能性を持っている。
プラットフォーム企業が集める個々の情報の価値は小さいが、大量に集めることでデータは価値の高い資本になる。
これまで経済活動の基本的要素は生産設備や技術力だったが、今やデータがその役割を担う。これは「データ資本主義」といえる新しい経済活動を開きつつある。
プラットフォーム企業のデータ利用で懸念されるのは、様々なデータを総合してプロファイリングすること。例えば、グーグルでは、写真の画像をAIが認識してグループ分けす
るサービスを提供している。ここで得たデータを分析すれば、利用者の年齢、所得、趣味などが把握でき、効率の良いターゲティング広告を行うことができる。問題は、利用が広告にとどまらず、AIによる管理社会につながりかねないこと。
ビッグデータを取り巻く状況は、将来、大きく変わる可能性がある。今後は、ビッグデータが自然に集まるのを待つのではなく、積極的に収集したり、購入したりするようになる。
また、プライバシーを巡って各国当局の規制が強まり、それに伴うコストが生じる可能性もある。