あらすじ
松村鳩子は、三十歳の誕生日を挟んで、ふたつの大災難に見舞われる。自分を高く売ることを考えて、抜け目なく生きてきたというのに。婚約者に逃げられ、勤め先が破綻。失業保険が切れるころ、変りものの妹、塔子を介し年下の男、午来(ごらい)と知り合う。そして、心ならずも自分の過去の男たちとつぎつぎに会う羽目に。さらに、新しい職場である図書館の同僚たちに探偵がつきまとい、鳩子の男関係を嗅ぎまわっている、らしい。果して依頼人は誰? その目的とは? 大人の恋愛は純粋でもどかしい。恋愛にまつわる災難についての物語。
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Posted by ブクログ
なんだか、言葉の選び方がとってもツボに来る!とて
わくわくしながら読み進めました。
話が進むにつれて、その言葉の新鮮味はうすれていったのですが…(なじんだ?)
キャラクターも、なんか好きでした。
こういう、ちょっと変わった子が私の周りにもっといればいいのに。
姉妹、変わってますよね。
地味そうでいてそうでもなくて、
目立って変人でもないけどいたら「あっ、おもしろい人だ」って
友だちになりに行っちゃいます。私なら。
家族のあたたかさが後半ちょっとだけじわっとでてきた。
恋愛の話は、八人めの男がなかなか活躍しなくて
ようやく最後結ばれた(性的な意味で)。
でも望んだ結末です。
いまいち先の見通しが立たないような人ばかりが登場するけど、
そんなのが今の気分です。
日本全体もそうなのかしらね。ゆるっと今を生きている、と。
さて、この人の次の作品をサーチしましょ(わくわく)
※解説もまずまずよかった。
Posted by ブクログ
「……大丈夫だよ」
鳩子は答えた。大丈夫ということばは、大丈夫ではない状況のときに用いられるものかもしれない。
「なら、いいけどさ」
塔子は「そうだよ、大丈夫だよ」というのをあきらかに躊躇っていた。大丈夫の「だ」をいうところからして逡巡しているのが見てとれた。「ほんとうに大丈夫?」と、訊ねるのも遠慮しているようだ。鳩子を見ずに薄い腰をのっつそっつしている。
「大丈夫だって」
鳩子は笑って「大丈夫」を上乗せした。ころもの厚い海老天の絵が浮かぶ。
朝倉かすみはなにげない状況や心情の描写で使用される語彙が独特で面白い。しかも「独特」なのを狙った感じはせず、自然に頭に入ってくる。だから物語の筋とは関係なく、どこを読んでも面白い。
Posted by ブクログ
朝倉かすみは、本当に上手い。いや、旨いのか。
小手先なんかじゃなく、人の汚さが、女の持ついやらしさが、よくわかってる。そしてそのいやらしさがいやらしくなく描かれる。
Posted by ブクログ
計算高い女の計算間違い。姉妹ってこんな風にお互いを思っているかと思うと怖い。
朝倉さんは、男を描くと「田村」のようにかっこいい!のに、同性に対しては非常に厳しく容赦ない。
Posted by ブクログ
2011/6/1ぐらい。
ずいぶんほったらかしていた。
「田村はまだか」を読みたかったのになかったから
同じ作者の違う作品を読んでみた。
危なっかしくてハラハラしたけど悪くない着地で満足。
ただ登場人物がそれほど好きになれないタイプだったので☆3ぐらいかと。
不幸になってまえ!って程嫌いではないけどさ。