あらすじ
「○○座生まれのあなたは……」などと始まる「星占い」――雑誌やテレビはもちろん、ネット上でも頻繁に見かけるおなじみの存在ですが、「○○座生まれ」というのはどういうことか、ちゃんと説明できる人は実はそう多くないでしょう。ましてや、星占いはいつ誕生したのか、はじめから今見るようなものだったのか、といった問いに答えられる人となると、もっと少ないに違いありません。本書は、科学や科学技術の歴史に詳しい専門家が誰にでも分かるように、そして面白く読めるように占星術の歴史をコンパクトにまとめた1冊です。占星術を生み出したのは、現在のバクダット南方に位置するバビロニアで紀元前9世紀頃から勢力を伸ばしたカルデア人でした。天文学に長けていたカルデア人は、日蝕や月蝕、彗星の出現などを地上に起きることの前兆として捉え、将来訪れる災厄を予言する技法として、占星術を開発したのです。この技法が、のちの紀元前4世紀に登場したアレキサンダー大王がバビロニアを征服したことをきっかけにしてギリシア世界に流入し、さらに古代ローマに継承されていくのが「西洋占星術」の発展につながっていきます。当初はもっぱら天下国家の運命を対象にしていた占星術は、やがて個人の運命を占うようになりました。個人といっても、はじめは皇帝や王だけがその恩恵にこうむることができましたが、時代が進むにつれて、一般の人たちも自分の運命を知るために占星術にアクセスするようになったのです。当代随一の占星術師である鏡リュウジ氏が解説を書き下ろしたこの文庫版を手にすれば、何気なく触れてきた「星占い」も、ぐっと深みを帯びて、まったく違う魅力的なものに見えてくること間違いなし、です![本書の内容]1 カルデアの知恵2 ギリシャ人の科学3 ホロスコープの技術4 「占星社会」ローマ5 ルネサンスの大論争6 近代科学からの脱落7 現代を生きる占星術 あとがき 解説 鏡リュウジ
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Posted by ブクログ
占星術を科学として捉えてその歴史を描く、という方向性が面白い。特別な才能がなくても、法則性に則り占うことができる。つまり、科学の再現性である、と。体系化した占いは科学?
Posted by ブクログ
今ではもうすっかりスピリチュアルの領域になってしまっているが、かつてら占星術もれっきとした学問だったことがよくわかった。歴史が体系的に書かれており面白い。
Posted by ブクログ
占いに興味あります。ということで、西洋占星術の歴史にも興味を持ってみようと手に取った本。
長〜い歴史です。それもあっちこっち寄り道しながらの順風とはとてもいえない変遷に、その複雑さを感じます。
星占いには天変を知るものと運命を知るものと2種類あります。天変の方は、空の異変を観て何かが起こる予兆とするもの。確かに、王様の側近が空の様子を観て、「凶兆が!」とか言ってる場面がよくありますな。初めはこちらの占いが主流で、王や帝など、統治者のためのものでした。
これが時代が変わったり、他地域に渡っていくと少々趣を変えて、合議制が布かれていたギリシャでは、民衆のためにその運命を知るための占いになっていきます。これが今馴染みのある星占いの前衛ですね。
なんて歴史も知れて、知識人を気取れますw
占星術って知識のごっちゃ煮なんだなと思いました。その知識というのが、天文学、数学だけでなく、地政学や歴史、宗教、さらに古代の人たちだけが、もしかしたら感得してたかもしれない超自然的なものも含まれてるかもしれないですね。
現在の科学に裏打ちされるロジカルな考え方、現実主義も大事で、便利だけど、それだけを考える世界は、結論ありきで余裕がなく、退屈で味気ない気がします。そんな時に、かなり論理的だけどあやふやなところもある占星術は、面白く感じるかも知れません。
占星術の面白いところは、宇宙の天体が自分に影響を及ぼしてるというところです。その影響がどういう原理で来るか。なんてことも論争になってたようですが。
とにかく惑星の力を味方につけて楽しく前向きに過ごしていくため(と考えて)西洋占星術を学んでいこうかな!