あらすじ
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第3次AIブームが起こり、現在はAIの活用に関心が移りつつある。著者らはHAI(ヒューマンエージェントインタラクション)と呼ばれる、擬人化エージェント(ロボットやAI)と人間の相互作用を研究しており、本書ではこのHAI研究を通じてAIにココロを持たせる(持っているように思わせる)デザインとその効果をわかりやすく解説している。
マインドインタラクションは著者の造語で、人と人工物が持つココロの間でやり取りされる情報、と定義されている。1章でマインドインタラクションを概説し、2章と3章では身近な諸問題—生活環境の不満や課題、対人関係のストレスやトラブル—などを、擬人化エージェントを使って改善・効率化する事例を述べている。
社会科学、認知心理学、社会心理学、哲学などの幅広い知識を用いて説明しているものの、平易な本文かつ会話調の脚注を組み合わせて、一般的なビジネス書と同列で読める内容となっている。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
元・人工知能学会会長の山田誠二先生(小野哲雄先生と共著)の マインドインタラクション AI 学者が考える「ココロ」のエージェント を読みました。
HAI(Human-Agent interaction)と呼ばれる研究分野は、人間とエージェントの間で様々な情報をやり取りする際に、うまく協力できるような外見、音声、ジェスチャーなどのインタラクションをデザインすることを目的としているそうです。
現在のAIはマインドを持っているわけではないですが、必然的に、人間とAIのマインドが通い合うようなインタラクションが必要になってくるよねということで、このあたりについて学術的な知見に基づきつつ、AIの今後についての示唆や、日常的な課題の解決にも役立つような内容としているとのことです
・・・なんだか難しそうですが、かなり気さくな文体で書かれていて、興味深い内容が多く、気楽に読み進められます。
「ロボットの判断に対する自信のあるなしを人に伝達することができることもわかっています。回転速度が速い場合が、参加者には自信があるように感じられ、遅い場合には自信がないように感じられます」(本文より引用)というのも、ちょっとしたことですが、「確かに、そうかも」と妙に納得してしまいます(原著論文も紹介されています)。
ロボットやバーチャルなエージェントとのやり取り、家電、乗り物のようなモノとのインタラクションに興味がある人はもちろん、AIに興味がある方やプロダクトデザインに携わっている方にもお勧めです。
Posted by ブクログ
はるか昔からパソコン(PC)を仕事と家庭で使っている。
PCの性能がとっても低かった時に気の利いたことをするはずなのだが,邪魔でしかないイルカが出てくるソフトウェアがあった。速攻で止めた。
こんな邪魔なものではなく,気の利く,忖度できるシステムをデザインするにはどうしたらいいのか?を長い間研究している二人の先生によって書かれた本である。
「マインドインタラクション」って「mind interaction」だから,「心の相互作用」でなんのこと?と思うのだが,マインドは心ではなくてココロらしい。インタラクションは「2つのものの間でやり取りされる様々な情報」のことらしい。敢えてカタカナ用語にしているのには深い意味があるらしい。
どこから読んでもいいらしいのだが,最初から読み進めていくと,「AIの時代の次はココロの時代」と断言する著者の主張が誰でも納得できるように,手を変え品を変えて提示される。(教科書が読めない子どもたちは無理かもしれない)
この本は変形版である。普通の本より縦長である。なぜか?縦長の部分に脚注があって,本文中の用語の説明などが書かれている。「など」にはディスっている部分とか言い訳などがあって,これが本文より面白い。この部分が空白なページがあるのが残念だ。意地でも全ページに脚注を入れてほしかった(笑)。
コラムも面白い,大学教員の苦労,著者の主張などが吐露されている。その中で一般の読者に役立つのは全国各地の居酒屋情報だと思われる。大学の先生ってこんなに色んな所に出張できるんだ!