【感想・ネタバレ】デジタル時代の競争政策のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

全体としては3章構成になっており、第1章は独占禁止法と公正取引委員会についての総論。第2章は具体的な反競争的行為についての解説があり、第3章でようやくデジタル時代の規制についての記述になる。肝となるのは、これまでは主にB2B取引に使われて来た独占禁止法の考え方をB2Cにも応用するということと、消費者がプラットフォーム事業者に提供しているデータは「投入財」であると位置付けて、プラットフォームの利用についても財とサービスのやりとりであると見なすということだろう(私の理解が正しければ)。

150ページ程度の本書では精密な議論がなされないのは仕方がないのだが、上記の議論が正しいとすると「ユーザーがサービスを"利用すること"により発生したデータ」をどのように取り扱うのかは不明確だな・・・と感じた。プラットフォームを利用する時にはユーザーが明示的に「投入した」以上のデータが発生するわけで、これを全て投入財とするのはかなり無理筋だと思う。
また、仮にこういった取引に付随するデータに関して独占禁止法を適用しようとすると、B2BやB2Cでの通常の取引行為で生み出されるデータも同様の規制の対象となると思うのだが、そこは濫用がされていないと解釈をするのだろうか・・。

・・・という感じで、競争政策に関して知識がない自分のような人間が全体感をつかむのにはよいのだが、一方で深い議論はされていないので、本書を読んで興味をもった人間は、より専門的なトピックを取り上げている本を読む必要があると思う。

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2020年03月09日

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