あらすじ
約150年間、我が国の教育システムは基本的に変わっていません。日本の教育制度は、明治から太平洋戦争まで続く富国強兵・殖産興業の国策を支えた兵士や労働者を効率的に育成するのに最適化されたシステムです。それゆえに敗戦で民主化された戦後にも、経済活動を支える質の高い労働者を大量生産することができました。その結果、戦後日本は急激に復興・発展し、奇跡的な高度成長期を経て、20世紀末には世界で2番目の経済大国へと上り詰めました。
ところが、ここにきて急激に、この教育システムの制度疲労が明らかになりました。グローバル化した経済やICTの発達により変化が早く、先の読めない時代となり、人々が多様な生き方を模索する中で、教育制度が時代の要求や人々の価値観の多様化にまったく対応できていないのです。これは文部科学省もわかっていることですが、前例主義の呪縛から逃れられない官僚たちは自力では根本的な制度改革ができません。
企業の経営者や一部のビジネスマンは日本経済がバブル崩壊以降の30年間、ほとんど成長していないことをよくわかっています。80年代までの日本経済はジャパン・アズ・ナンバーワンといわれたように世界の中で大きな存在感を持っていましたが、この20年間のGDP成長率でみると、日本はわずか23%なのに対して、中国は1198%、成熟した、あのアメリカですら226%です。日本はほとんど伸びていないのです。この経済成長の停滞は、実は教育システムの硬直化と完全にリンクしています。
本書は日本型教育が経済ばかりか、いかに日本の社会全体を硬直化させているかを例示し、その洗脳を解くには「世界で学び、グローバルな視点を持つ」しか方法がないことを教えてくれます。子どもを世界で通用する人材に育てたいと思っている保護者、教育者。また、自分が世界で活躍したいと考えている高校生、大学生、若いビジネスパーソンも必読の内容となっています。
発行:サンルクス
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Posted by ブクログ
海外の大学院進学を考えたいと思って何冊か借りたうちの一冊。
著者はマクロミルの創業者。
2019年出版なので状況はさらに変わっている前提で読む必要がある。
日本の経済発展の低下とその背景にある教育制度、その影響を受けた日本人の環境適応力の無さに著者の怒りにも近い強い想いが終始感じられる。
ビジョナリーシンキングは初めて知った。楽観的に構想し、悲観的に計画するらしい。
著者が開校し学院長を務めるインフィニティ国際学院の学費は500万!ただ、海外の世界を自分の目で見て実際に学ぶためにかかる費用ならこんなもんなのかもしれない。
インターナショナルスクール、IBのカリキュラムが最先端なわけではなく、日本型教育よりはグローバルスキルは身につくが、授業の前提となる英語をしっかり身につけていないと意味がないという点は言語教育を専攻した身からして納得感あり。
若干ズレるが、改めて資本主義社会は不平等な社会でもあるということを感じ、その世界における福祉が説く公平性のありかたについては改めて思考が深められそう。