あらすじ
十津川警部&亀井刑事、本州最北端の下北駅に飛ぶ!
巻末に、最新の全著作リストを収録!
失踪した娘を捜してほしい―。
母親から依頼を受けた、かつて十津川警部の部下だった私立探偵の橋本は、池戸彩乃の捜索を始める。
勤務先のパソコンに残されていた「411658 1411123」という謎のメモを、
本州最北の鉄道駅である下北駅の緯度と経度と判断した橋本は下北に飛び、
彩乃の痕跡を求めて恐山、仏ヶ浦を訪れる。
一方、東京では彩乃の同僚が殺され、十津川警部が捜査に乗り出した…。
オリジナル著作600冊目にあたる記念作品!
第一章 下北半島・恐山
第二章 更に北へ
第三章 知床の海
第四章 知床か洞爺湖か
第五章 盛岡駅で
第六章 ある新聞記者の死
第七章 終末を告げるロボット
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
○青森~函館追跡ルート というタイトルの似合いそうな現代的な西村小説
十津川、AIに苦労する、の巻
と思いきや、そんなサブタイトルだったら将棋かな、と。
ちゃんとしたいつも通りの、否、いつもよりも真実になかなかたどり着きにくい謎解きであった、と総括してもよいだろう。
ある研究所に勤めていた池戸さんが失踪した。
両親から連絡がつかないと相談をうけた私立探偵の橋本は、彼女の残した手がかりを元に青森県・下北へ行き捜査する。
そのうち、その研究所にいた職員・青田が殺され、何か匂うと感じた十津川班は、橋本の名刺を見つけ、共に犯人を追うことになった。
橋本も十津川班もそれぞれ真犯人と池戸を追うが、果たして見つかるか。
そして真犯人とは?
=#=#=#=
途中、思わぬ刺客というか客がいて池戸の黒幕なのではないかという読者の(いや、わたしだけだろうか?)疑いは晴れる。
話を聞いていてもそんなに健気に仕事に取り組む、その姿勢は見習いたい。
しかしそうすると誰が犯人か?確実にあの人しかいないという確信を、読者は一頁ずつ深めていく。そしてその結末や犯人の発覚も、いかにもITっぽいというか、今までの西村作品でも何人でてきたかという残忍さ、用意周到さである。
しかし、策士策に溺れる、とは十津川班が思ったことであった。
AIやロボットの開発が佳境に差し掛かっているなか、情報産業業界の横やりもなく出版するのが西村京太郎だろうか。
無論なにを書いているのかというクレームもおそらくあるわけでもないだろうし、むしろIT産業への関心を深める一助にすらなっているのかもしれない。
ともあれ、いままでにない視点の小説で面白く読める人が大多数のはずだ!