あらすじ
日本の国民服となったユニクロ。長く無視していたファッション誌も今ではユニクロの虜だ。ここまで普及した理由は、服は特別なもの、おしゃれは難しいという思い込みを解き、服で個性を競うことに疲れた人々の心を掴んだから。もう誰もが服に余計なお金も時間も使いたくない。ユニクロはその変化にいち早く気づき、「見た目」をよくするための服ではなく、「くらし」をよくするための服を提案し続けてきた。それは世界をも席巻している。これまで指摘されることのなかったユニクロのメッセージと消費の変化を気鋭の社会学者が鮮やかに読み解く。
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Posted by ブクログ
ユニクロがなぜ受けるのかを語りながら、戦後ファッションの流れ、服飾業界の流れが簡単明解に理解できる。
この本を読んで、なるほど、ユニクロの狙いは、世の中の流れと絶妙にあっているんだなとしみじみ感じました。
なぜ、今ユニクロが全盛なのか。
少し前は、ユニバレを気にしていた時代もあったが、いまやどのファッション雑誌も「ユニクロでいいんじゃない」となっている。
本書にもあるように、ファッションに対して求めるものが変わっているから
「服が差異化の道具ではなく、共感の道具へと変わったことを示している。服を着ることで差異化するのではなく、お互いに共感したい。共感されたい。つながりたい。」
SNS時代になり、他人と差をつけるというよりは、共感される、つながるということが重点がおかれている。
その流で自分だけ特別な服を着て街に繰り出すという80年代DCブランド的な考え方ではなく、あえて差異を出さないシンプルな服装(ノームコアのような)がおしゃれという時代になっている。
シンプルな邪魔しない服。
それなりにデザインされていてシンプルで価格もお手頃。
ファストファッションは高いお金を払わなくても、それなりに小奇麗な恰好ができるように底上げした。
そして、ライフスタイルや暮らし方などの方にお金をかけることにシフトしてきている。
ファッション、流行はかつて、中央(パリコレなどのファッションの源)から発信され、末端の色々な地域が少し遅れて追いつくというメカニズムを持っていた。その仕組みによりつくられた流行は毎年変わり、服が売れ、ファッション業界が成り立っていた。
SNS時代はボトムアップの時代。
上記のような風上~風下のようなウォーターフォール的な流行がない時代に突入してきている。
その流れは社会の流れとも康応していいるし、なるべくしてなっているのだな。
Posted by ブクログ
サステナブルやESG、ファッションやライフスタイルを気軽に読める本を探していたら、ドンピシャだった。
無印との違い、自己表現の変化、生活重視など、なるほどと感じた。個人的にはコモディティなユニクロを着ることがひねた視点からの選択だったが、最近の人はそんなどうでもいいことは抜きに、自然にスマートにユニクロを着ていると思う。
一昔前のファッション雑誌では、海外の人は普通の服をおしゃれに着ているという記事があったが、日本も追いついたのであれば喜ばしいと思う。子供服も、ユニクロができておしゃれで安いものが普及したと思う。
ユニクロのビジネスモデルを知りたいような人には向かないと思う。また、断捨離系やミニマリストの本は読まないので、そこら辺を漁っている人にどうかはわからない。
話は飛躍するが、服だけではなく、PCなどのガジェットや車(カーシェア)、サブスクリプションなどに興味がある人にもなにか示唆を与えるかもしれない。
Posted by ブクログ
みんな服にお金をかけなくなったよーて話かと思いきやそれだけではなく、ライフスタイルや主義主張を表明するものになってるだなんて…余計大変だ
しかし概ね納得できる
Posted by ブクログ
前半部を読んでいるときは、ユニクロのヨイショ本かなぁと思い、本を閉じようかと思ったけど、その後はユニクロを通じたファッション、平成時代の暮らしの、意識の変化が展開されていて、すごく面白かった。なるほど、こういう視点で、言語化する人もいるのか、これはすごい技術!
Posted by ブクログ
今や『日本の国民服』とまで形容されるまでに成長・台頭したユニクロ。ジルサンダーをはじめ世界的有名なデザイナーとのコラボ。揺るぎのない意思証明と向かうべき方向を指し示した『Life Wear』というコンセプトの樹立。松浦弥太郎氏を起用したブランディング。社長の柳井氏は母校早大に12億円を寄付し村上春樹ライブラリーを造るなど…まだまだ我が社は発展途上にある…と言わんばかりにあの手この手の搦手をもって、鋭意進化中のユニクロ。
本書はファッションへの関心が暮らしへと向かい、かつてオシャレとは競い合うものが差異化のないシンプルなオシャレへと大きくシフトする中、これまでユニクロが商品を通じて発信してきた様々なメッセージに紐付けをしながら、ファッショントレンドの変遷と現在地を考察した一冊。
確かに明らかに服への関心が低下している。90年代半ばぐらいまではファッション誌はオシャレグランプリ特集をするなど、『ファッションは競うもの』として扱った。
ところが、今やそんなに頑張らなくていいのよ…的存在になり、『毎日決まって同じ服を着るのがオシャレ』とまで言われるようになった。TPOを考え、毎日着て行く服を選んだり、コーディネートするのを酔狂な目で見られるのも近いと見る。
それをスティーブジョブズの影響?って思うのは偏った見方だけど、女性のファッションがパンツスタイルにスニーカーといったメンズライクな服装が普通になり、〈ワンピース・スカート・ハイヒール〉という女性のファッションアイコンだった時代は遥か彼方に去り、男女関係なく黒・紺・茶・グレーといったシックな色が定着し、服選びの基準が『機能的で快適』が最優先される時代。
ファッションは世相を反映する。デフレ経済下の低成長の沼に入りこんだ日本は共働き夫婦の急増、非正規雇用者が増大し、生活から『ゆとり』が失われ日々暮らしていくのが精一杯となると、たまの贅沢は食や旅に投下され、必然的に衣食住の『衣』が削られる。
そこに追い討ちをかけるコロナ禍。青山がパジャマスーツを売り出すのも頷ける。そんな逼塞状態の中で『衣』のセーフティネットとしてユニクロが幅を利かす。
ベーシックなデザイン。低価格ながらカラーバリエーションは豊富。機能性も高く、安かろう悪かろうの価値基準を覆し、耐用年数はMUJIやGAPをはるかに凌ぐ。
かつて『ユニばれ』『ユニ被り』と揶揄されたのが『ユニクロでいいんじゃない、ユニクロいいよね』と評価軸はアゲアゲ。例えば〈UNIQLO・GUのバズりアイテムで作る大人コーデ〉といった特集が多くの雑誌で組まれるほどに。
… と書きつつも、ユニクロのカラー展開は好きじゃない。くすんだ色が多い。その顕著な例がネルシャツ。1枚で着るにはかなりファッション上級者じゃない限り野暮ったくなり、たちまちにしてtheおじさんファッションが出来上がる。防止策はセーターの襟元からちょびっとのぞかせ、全部をあきらかにしないチラリズムにすると、街角でバッタリの『ユニクロ被り』を防げる。
私見はさておき、時代もユニクロを後押し。モノに執着しないミニマリズムや断捨離はしっかり根付き〈なるべくシンプルに、無駄を省いて生活を愉しむ〉というベクトルを作った。
かつてハイブランドの服やバッグを身につけ、エステに足繁く通っていた方が、『オーガニック』のフレーズの前に門前市を成し、〈みずてん〉でシャンプーや野菜を買い、服はフェアトレードの服、エシカルファッションを希求。個性と虚栄を脱ぎ捨て、関心はライフスタイルの充実へ。
この価値観の激変にはデジャブを覚える。70年代、戦後の高度成長を支えたモーレツ(猛烈)主義をそろそろ反省し、人間らしく生きていこうというメッセージをCMに載せた〈モーレツからビューティフル〉。それと同様の匂い。
〈身体の外側の飾るもの〉から〈内側を作る健康と栄養〉の前には、虚栄と消費は老兵の手柄話になりさがり、ただただ消え去るのみなのか…。
小5の頃、姉のVANのボタンダウンシャツを見て
世の中にこんな格好良いシャツがあるんだと衝撃を受けて以来、丸坊主の中学生なのにMENS CLUBを熟読、色気づく高校生の頃はPOPEYEでアメカジを知り、大学生になるとDCブランド求めてバーゲンの長蛇の列に並び、バブル期はローンまで組んでハイブランドのスーツを買うといった、次から次に押し寄せるファッションウェーブの煽りを受けた者のひとりとして、昨今のファッションの地盤沈下を目の当たりにし、『今は昔』のファッション隆盛の往時の思い出が湧き出し、懐メロ気分に浸れた読書タイムとなった。
Posted by ブクログ
暮らしを充実させる。
確かに、感じていたことが言葉になっていたので、すごく納得しました。
何に価値をおいて生活するか、時代とともに変化するのですね。
Posted by ブクログ
ユニクロがすごい努力企業で、日本の服文化を変えてしまったことが分かって、面白かった。でも途中はファッション誌の遍歴みたいになってたし、あと、コロナ前の本なのでちょっとまた時代も変わったのかなぁとか思いました。
震災後、人々がていねいなくらしをするようになったっていうのが面白かった
Posted by ブクログ
オーディブルにて。
うーん評価が難しい。企業としてのユニクロ成功談でも柳生正成功談でもなく、ファッション界におけるユニクロの立ち位置を、主にファッションの時代遍歴から読み解く視点はとても面白かったし納得もできた。
ただ、タイトルの「おしゃれ嫌い(だからユニクロを選ぶ?)」という考えには納得できなかった。私はおしゃれが好きだけれどユニクロを選んで楽しめている。自分の行動原理をもっと言語化してほしかったのだけれど、しっくり来なかったのが残念。
Posted by ブクログ
丁寧な暮らしの起源、村上春樹のランゲルハンス島の午後を読みたくなりました。
流行りのESG投資のヒントにもなった気がする。
1988年広島 ユニーククロージングウェアハウスがスタート
80年代後半ハイブランドは飽きられて、着る物より着る者が重視されるようになった。
ビックロのオープンは2012年、服と家電の価値が同じとなった
柳生正「ユニクロの服とは、服装における完成された部品である」
画期的な機能性と普遍的なデザイン性を組み合わせればベーシックな定番商品が作り出せる→ヒートテック
シンプルで、上質で、長く使えるのが日本の価値観
ファッションよりも丁寧な暮らしが美徳となった
ブランド物より、天然素材とかオーガニック野菜の方が売れる時代。(ただし、家電は高級なものが売れてる)
健康と栄養の前には、虚栄と浪費は消え去るしかない。
女性三種の神器がワンピース、スカート、ハイヒールからデニム、パンツ、スニーカーに
anan変遷
80年代 おしゃれグランプリ
90年代 占いとセックス
2010年代 節約術
インスタとは日常を見せるメディア。今までは友人にすら知られることのなかった事柄が拡散されていく。そこで作り出されるイメージは、現実が与える印象よりも強いものとなった。
Posted by ブクログ
個性や差別化を求めるのではなく正しさを求める、倫理的な正しさを志向するエシカルファッション。無理をして個性的な服を着る必要はない。大枚をはたく必要もない。おしゃれをしなくてはならないという世間の常識に疲れ果ててしまった人。あるいは、もともとついていけない人たちがユニクロに飛びついた。デザインやブランドを選択基準にするのではなく、この服を買えば世界中のお腹をすかせている子供たちに食べ物が行き渡らせることができる。いいことをしたという納得感が得られる。消費を行いながら社会貢献ができるということ。ファッションとは良識を示すもの。そして、新たな価値観を提唱するもの。消費に意義を求める人たちのニーズをしっかり掴んだユニクロ。ユニクロは服ではなくライフスタイルを売っている。
Posted by ブクログ
消費者の欲望対象が「ファッション」から「暮らし」に変化した歴史を、UNIQLOに紐付けて語られている。お金を服にかけるよりも、食事や健康にかけた方が幸福度も上がると思うので、悪くない変化なのではないだろうか。
Posted by ブクログ
キャッチーなタイトルに惹かれて購入。
“ファッション”や“おしゃれ”に対する捉え方の変化をUNIQLOの隆盛と共に論じた一冊。
服がおしゃれなのではなく、“くらし”がおしゃれであることが重要というのはとても納得させられた。
Posted by ブクログ
確かにファッション誌でユニクロやGU見かけることが増えたなぁと。
服はその人を形作るのものだけれど、服にそこまでコストかけてもなぁという気持ちがある。ファッション誌に載っている価格帯の服をそろえることは現実的ではない。おしゃれ嫌いというより、人生の選択肢が増え、おしゃれにかける費用が相対的に下がったのでは?とも思う。
スマホによって、たばこを吸う人やお酒を飲む人が減ったように。
ほしいもの、必要なものに多くのお金をさきたいものよ。
Posted by ブクログ
無印良品とユニクロ
ユニクロ ていねいなくらし
無印良品 MUJIなくらし
ファッションへのこだわりが食や雑貨に向けられる時代
物を消費する時代から、物に執着しないミニマリズムや断捨離のブーム