【感想・ネタバレ】「もしもあの時」の社会学 ──歴史にifがあったならのレビュー

あらすじ

歴史にifはないと言われる。そうだろうか?「もしもあの時、~だったなら」というifの思考は、ある時代を生きた人々の、実現しなかった願望、失敗に終わった計画など、「ありえたかもしれない未来」の把握を可能にする。歴史に埋もれた「敗者」を救い出し、「未来」への視角を開く「歴史のif」。SFのP.K.ディック、歴史学のファーガソン、哲学のベンヤミン、社会学の大澤真幸らを取り上げその思考を検討し、「歴史のif」の可能性を指し示す。

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Posted by ブクログ

おそらくSNS上の紹介で手に取ったのだが望外に得るものがあった。

「歴史のif」という題材自体には、エンタメ性に優れたメディアであること以外の役割を意識することもなかったが、この反実仮想が歴史学上でいかなる機能を持ちうるかという論争が存在すること自体が新鮮な感覚であった。

章立てに「仮想戦記」が取り上げられていることに訝しんだが、なるほどメディア論で親しんでいる佐藤卓己氏の元で研究されていたとのこと。

欧米の歴史研究者自体は仄聞することもない名前ばかりであったが、比較的親しみのある作家も散見されページを繰る手が捗った。メディア史の考察として注力されていた架空戦記などは、縁遠い過去の出来事に思えるが、だからこそメディア史のまな板の上で調理するに適しており、あとがきで触れたように筆者の2作目の本としてのポテンシャルを秘めていたのだと思われる。

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2024年07月06日

Posted by ブクログ

歴史的な事実を知っている者からすると、「もしもあの時に」と想像することは、時間というものが繰り返しを許さないものだけに、ひどく興味をそそられる仮定となり得る。ましては、それが「反実仮想」として学問的に追求されることは、思考実験としてだけでなく、現実把握や未来予測としてもたいへんに興味をそそられる学問領域となるであろう。

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2019年09月08日

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