あらすじ
狙いはただひとつ。伊達政宗の馘(くび)――。
四百年の長きにわたり会津を治めながら、相次ぐ当主の早世で嫡流の男系が途絶えた芦名家。
常陸の佐竹家より新たな当主として婿養子を迎えたものの、家中に軋轢が生じ、北からは伊達政宗の脅威が迫る。
芦名家の行方は家臣筆頭の金上盛備の双肩にかかっており、ついに伊達との摺上原での最終決戦を迎えた。
東北の名家の存亡を描き、直木賞候補となった出色のデビュー作。
本屋が選ぶ時代小説大賞2017受賞!
※この電子書籍は2017年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
私に物語の舞台の前知識が少なかったからなのか、初めは少し入り込みづらく感じたが、だんだんと引き込まれていき、最後の二篇には特に魅了された。
最初の作品が発表されてから本が出版されるまで、4年程かかっているとのこと。時間の経過と連作の積み重ねにより、物語全体が熟していったのかもしれない。
Posted by ブクログ
芦名家について詳しくなくても楽しめる内容でした。各章の話が間接的に芦名家の滅亡につながっていき、最後の摺上原の戦いに集約していく流れはまとまりがあり読みやすかったです。
Posted by ブクログ
読みやすい。
芦名家では後継者の婿養子選びを伊達家と佐竹家で意見が対立。佐竹家から選ばれたことにより後々の戦のなかで対立がおこったり血縁者の中や家来達の溜まった心のモヤモヤ感が決断を左右し、複雑ゴタゴタ面白い。
まさに参議院選挙まっただ中、勝っても負けてもお互いギクシャクするもんだわね
Posted by ブクログ
戦国時代の会津を領有していた名家の芦名家の、嫡流が途絶えた事に端を発した家中の軋轢と混乱から、伊達政宗との摺上原の合戦に至るまでを、家中の様々な視点から描いた、歴史物好きにはたまならない一冊。
Posted by ブクログ
会津芦名家にまつわるものがたり。
戦国武将達の悲哀と複雑さがみえて、現代とは違うストレスの多い大変な時代なのだと感じた。
謀略、裏切り、意匠返し。鎌倉御家人の名家芦名は時代に飲み込まれて滅びていった。
Posted by ブクログ
【きっかけ・目的】
ずっと気になっていたのだが、文庫になったので満を持して購入。
【感想】
連作短編集だった。会津執権から蘆名氏の重臣を中心とした物語というのは見当はついたけど、長編小説だとばかり思っていたので連作短編だったので拍子抜けした。
戦国時代も秀吉が関白となり終わりが近くなり、中央政権としての秀吉が全国に惣無事令を発した。
そういう状況下での会津蘆名氏を舞台にした連作短編だ。
富田隆実、蘆名家中のもの、蘆名家の陪臣、蘆名の足軽、金上盛備、伊達政宗がそれぞれ主人公の6短編集。
簡単に言うとちょっと物足りなかった。
特に以前、山岡荘八の伊達政宗を読み東北諸家の複雑な婚姻関係などを知っていると戦国期の蘆名氏の弱体化など色々な物語を期待していただけに連作短編の軸になるテーマが欲しかった。
【終わりに】
やはり時代小説はいいなぁと思った。会津盆地で繰り広げられたであろう人々の営みを思うだけで木や土のにおい生き物の息吹を感じられる。
読んでほっとした。
最近はこのような連作短編にする構成が多いのだろうか。はやり?