あらすじ
15歳でカメラを手にしてから、70年近く、家業の洋食店の仕込みが始まる前の早朝、自転車で都内あちこちに出かけ撮りためたネガは数万枚。下町の街角や庶民の日常を切りとった写真は、図らずも戦後復興、東京の変貌の記録となった。「平成」が幕を下ろし、2度目の東京五輪を控える今、過ぎ去りしあの頃を懐かしみ、ノスタルジーに浸ることのできる、格好の一冊。
幼い頃に見た古き良き日本や東京の情景。著者の撮る写真には、記録性、技術の確かさに加え、温かい眼差しが感じられ、ほかに得難いものとなっている。それはひとえに、著者自身の、浅草の片隅で日々フライパンを振っている庶民の視点、温かい人柄、年齢を感じさせない感性の瑞々しさにほかならない。読売新聞都民版で8年300回を数える名物連載「秋山武雄の懐かし写真館」から、選りすぐりの写真150点あまりと江戸っ子の語り口を通し、今は失われた、思い出の時代が甦る。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
1937年生まれ洋食店主のかたわら趣味で都内の写真撮影したネガは数万枚。その中から厳選、読売新聞の連載コラム。
店主の江戸っ子の語り口と今となっては戻らない懐かしい風景の数々。洋食店の仕事の合間を縫って撮影を趣味に。良くぞと思う失われた景色、一般庶民の生活。
路地裏の子供たちや近所を挨拶して回る花嫁、縁台将棋。こち亀の回想編やサザエさん的な日常。
とりわけ都電と良くぞ目をつけてくれたと思うオバケ煙突。ちゃんと、四本、三本、二本になる場所を探して写真を撮っている。煙突の見える場所の人々の日常も特筆。
懐かしい昭和の風景、筆者の江戸っ子の語り口と合わせて楽しめます。
Posted by ブクログ
読売新聞都民版の「秋山武雄の懐かし写真館」から、素敵な72本を書籍化した一冊。
著者が長年撮りためた写真を眺め、江戸っ子お爺さんのお話を直接聞いているような気分になれました。
年齢を問わず、昔の東京を楽しめると思います。
Posted by ブクログ
何気なく手に取りましたが想像以上の良本でした。戦後の東京がすさまじいスピードで変わっていく様を収めた貴重な一冊。写真だけではなく、著者の秋山さんの語りを(ラフな口調もいい感じ)併せて読むことで、写真の理解がより深まります。自分の生まれ年もまたいでいるので、「こんな時代だったのか…」としみじみしました。懐古ばかりも良くないと思うけど、この時代の空気をもう一度吸ってみたい。
Posted by ブクログ
読売夕刊連載記事のうち72本を抽出。
たしかに懐かしい写真のかずかず。よく撮り続けたもの。私と一回り違いか。このまま100歳越えの写真家を目指してほしいもの。
ただ、個人的に若干暮らした場所が違うので完全には没入できない。家人は近所なので懐かしく楽しんでいるよう。