【感想・ネタバレ】室町無頼(上)(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

応仁の乱前夜。天涯孤独の少年、才蔵は骨皮道賢に見込まれる。道賢はならず者の頭目でありながら、幕府から市中警護役を任される素性の知れぬ男。やがて才蔵は、蓮田兵衛に預けられる。兵衛もまた、百姓の信頼を集め、秩序に縛られず生きる浮浪の徒。二人から世を教えられ、凄絶な棒術修業の果て、才蔵は生きる力を身に着けていく。史実を鮮やかに跳躍させ混沌の時代を描き切る、記念碑的歴史小説。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

大泉洋主演とのことで気になっていた時代劇もの。
ガンダムジークアクスや忍たまと並んでたのでこっちも見てみようかと思ったものの、どうやら原作がある様子、しかも著者がなんか聞いたことある垣根涼介さん。

何を読んだのかと著者近影を見てみても、最近の作品には全然ピンとこない。名前を覚えてたのは午前三時のルースター、2000年の作品だった… 25年前、だと…
高校卒業したときじゃないか。若い。そしてもちろんその本の内容は全く覚えていない。

とはいえ、これも縁だし、映画より小説のほうが好きなので、映画は見るかもしれないがとりあえず原作を読んでみることにする。これに関してはネタバレとかは気にしない。
原作第一だからむしろ映画を見てしまうことの方がネタバレ判定なのだ。

そして読み終わった。上下別だけど、上巻の方に全部感想書いちゃうぜ。
ただ、感想というと「面白かった!」だけになってしまうのが我ながら浅くて情けない。が、娯楽小説ってそういうもんだし…

とはいえ、これまで読んできた歴史小説とはなんか違う感じがした。特に違うのは、ときに触れ現代の知識と比べて補足してくれるという読みやすさ。
例えば京都の地理だったり、その当時の文化は今の文化で言うとこれこれ、みたいな。最初は急に頭を現代に戻されてびっくりするが、慣れると注釈が本文に入っているような感じに読める。

そしてもう一つ違うのは、修行シーンが長い!上下巻あるのだが、上巻ではその修業が終わりすらしない。主人公の才蔵はもともと強くはあるのだが、まだ全然無敵ではなく、なんか偶然強かった純朴な若者で、下巻の中盤くらいでようやく強いシーンが描かれ始める。
それまでは主人公以外の二人のメインキャラについて描かれる方が長く、まあこの二人もかっこいい。本人が言っているように、「人としてどこか欠けている」のだが、社会のために命を賭けて動いている。そして大局を見ている。

また、舞台が京都ということで地理に疎いが関西人の自分には案外場所がわかる。まあ、出てくるのが鴨川や伏見稲荷とかなので、関西人でなくても分かるとは思うが。

なので、その頃の京都では餓死者が鴨川に浮かび、その腐肉をカラスがついばんでいた、みたいな描写があると、今飛んでいるカラスはそんなカラスたちの子孫なんだなぁとかエグい想像をしてしまったりする。地理関係ないけど。

フィクションなのかなと思ったけど、才蔵はともかくかっこいい大人たち二人は実在していたらしく、それを膨らませて書いたのがこの小説らしい。

しかし映画版、もしかして才蔵が大泉洋なのか?なんかイメージがだいぶ違うが、それはそれで結構気になる。見てみたくなった。

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2025年01月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

垣根涼介氏の歴史物。ルースターが非常に好きだったので、まさかの歴史物という感じではあるが、何ともスッパリと、そして爽やかな歴史小説。大切なものは歴史を経ても同じであって、本質は何か、頭を使って考えて、決して波に飲まれてはいけない。その強いメッセージを軽やかなセリフに載せていく。武家から落ちぶれた家に生まれ、小さい頃から生きるに必死だった才蔵。それを取り巻く無頼者の道賢と蓮田。ともに、武の使い手でありながら、その世の中の動きを見て、そして変えるべきことに焦点を合わせ始めている。世の中とは何なのか、そういう視点と武という筋を通した生き方と、硬軟をうまく書き、読者をじわじわと世界観に引き込む良作。

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2021年11月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

貴重な室町時代小説、土倉の用心棒という設定で天涯孤独で生き方が歪む時代の落とし子才蔵が骨皮道賢に鎧袖一触叩きのめされ・・・拾われる
室町ビッグネーム道賢の悪党ぶりを描きながら時代の垢をこびりつかせた少年(才蔵)は蓮田兵衛(ビッグネーム②)に預けられた、得意のこん棒技術を磨く修業を丁寧に描く意味があるのかと思いながら読み進んだが、少年以上に読者の神経が研ぎ澄まされた
「自分の居場所というものは、自らの手で作っていくしかないのか」生き方を考える術もない少年は、無法な生き方の道賢や風来坊的な蓮田に出会う事で体も心も出来上がっていく

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2025年02月03日

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