あらすじ
アウシュヴィッツ、南京、ゲルニカ、沖縄、広島・長崎……。軍による市民の大量殺害はなぜ起きたのか。戦争や紛争による市民の犠牲者をなくすことはできるのか。様々な資料と現地取材をもとに、市民の大量殺害を引き起こす軍事組織の「内在的論理」を明らかにし、悲劇の原因と構造を読み解くノンフィクション。未来を戦争に奪われる子どもたちをこれ以上生み出さないために、いまわたしたちにできること。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
主に戦時下において軍が一般市民を殺害した事例が7つ(ナチスの仕業と日本軍の仕業3例ずつ+広島・長崎への原爆投下)紹介されている。どの事例も読むだに、戦争的なもの、軍隊的なものって人を狂わせるなと思う。軍隊って国民を守るためでなく「国防」の名のとおり国を守るためにあるのか。そして国体を守るために、国民の命はないがしろにされる。
紹介されている事例のなかに、綿密に計画されたものというより偶然や予定外のことに端を発して起こっているのがけっこうあるのも何ともむなしい。ちょっとしたタイミングやいた場所の違いによって人の力……暴力で命が左右されるなんて。
巻末のまとめの論考では、ドイツと日本の戦後の反省の違いが述べられている。ドイツに比べ、何の省察も謝罪もしていない日本というのは確かだけど、ドイツをほめ過ぎな気も。ドイツはきっと自らまだ不十分であることを自覚しているだろうから。
それから、蛮行に至った理由を「命令されたから」「組織系統上、服従せざるをえなかった」などと言い訳することについても断じている。この点でもドイツ軍は理不尽な命令、人倫にもとる命令は拒否しなければいけないことになっているとか。そう確かに、命令を拒否することができたら、この本で紹介されているような事例だって起こらなかったかも。
「命令されたから」的なことって自分の日常でも、それらしきことあるよね。ちゃんとおかしなことにはおかしいと言えないといけない……のだけど……自分もまだまだ弱い。