あらすじ
在日に愛され、在日に憎まれた男の真実。
最強の「在日ヤクザ」と称された柳川次郎は、1969年に柳川組を解散すると日韓の架け橋として両国を行き来した。全斗煥時代には政権中枢に影響を及ぼすも、民主化とともに力を失い、志半ばで1991年に没した。
柳川が堅気となった後半生は、これまでほとんど語られたことがなかった。暴力的なイメージゆえに、日本人社会だけでなく在日社会からも白眼視されたからである。日韓戦後史のなかで異彩を放った男の本格評伝。
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Posted by ブクログ
この取材力と筆力はすごい。
丁寧に事実関係を調べ、考察されている。
柳川次郎という人間について、少し納得できた気がする。
もちろん、一人の人間を完全に理解することは出来ないし、その生き方に感銘を受けるわけでもないけれども。
戦後の混乱期に彼の暴力を必要とした人は少数であったとしても確かにいて、でも時代は変わり、暴力はむしろ足かせになった。
日本で生きてきたけれども、あるいは日本で生きてきたからこそ、故郷の韓国を思う気持ちはあり、貢献をしたいとも思い、でも暴力で生きてきた彼には、新しい時代のやり方が分からなかったのかもしれない。
彼は、偉大な人間ではない。
彼は、戦後を必死で生き抜いた在日の一人だった。
Posted by ブクログ
殺しちゃ嫌よ。
ってな事で、竹中明洋の『殺しの柳川 日韓戦後秘史』
三代目山口組 田岡組長の直参で、初代柳川組組長、韓国出身の柳川次郎の秘史。
鬼頭組(組員100人)へたったの8人で日本刀で殴り込みをかけた事で、山口組随一の武闘派で「殺しの柳川」の異名を持っていた。
しかし、柳川組の解散を機に出身の韓国と日本の橋渡し役と成るため政界、財界、スポーツ界、韓国政界に太いパイプを作り表社会、裏社会に貢献してきたが……。
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極道と言うより真の侠客じゃったんかなと。
個人でここまで国政や色んな界隈への影響力があった事が凄いね。
じゃが、殺しは駄目じゃね。
2019年45冊目
Posted by ブクログ
許永中に会いに行くところから始まり、興奮する/ かつて斯界を震撼させた、殺しの軍団柳川組/ 柳川次郎の引退後の人生を掘り下げている/ 在日朝鮮人として生まれ韓国・日本社会の狭間で葛藤する/ 韓国政府の窓口となり日本での工作に参加、大統領とも深い関係になる/ 大阪における民団と総連の暗闘/ 部落解放同盟支部長・飛鳥会小西邦彦、極真会館大山、梶原一騎、東声会町田、男・山根、司馬遼太郎、許永中、亀井静香、名だたる交際録/ 生前は懇意にしていたクセに死んだ途端に手のひらを返して知らんぷりする者がいるなか、山根の潔さはなかなか格好いい/ 四代目山口組体制で相談役として復帰する話、秘書に託したヤクザ復帰を確信する指輪のくだり、とても面白い/ 柳川組は復帰するはずであったのか、と/
海峡に立つ(許永中)と補完関係にあるので両方読むのをお薦めする