あらすじ
繰り返される寒冷化と温暖化――
人類の歴史は気候変動との死闘の連続だった!
●自然科学と人文科学を融合させた名著を文庫化
異常気象を中心とする気候変動が人類の営みに及ぼしてきた影響を豊富なエピソードと共に紹介し、日本ではほとんど例がない、気候と文明・歴史の関係を通史で描いたユニークかつ良質な解説書として高い評価を受けた、『気候文明史』を文庫化しました。
●気候変動に翻弄されてきた人類8万年の軌跡を解説
氷河期以降繰り返される温暖化と寒冷化の移り変わりは人類の歴史をどう動かしたのか。本書は、メソポタミア文明をはじめとする古代文明の興亡から、ナポレオンの敗北、天保の大飢饉まで、豊富なエピソードを交えてつづる歴史読み物。
専門研究に埋もれた気候と人類の関係を示す歴史的事実を丹念に収集し、クロスワードパズルを埋めるようにして完成させた文明史です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
熱塩循環、
淡水強制力、西大西洋海流での冷却が起こるメカニズムを指す。ヤンガードリアスイベント期で起き地球は寒冷化した。
温室効果ガスの過去の最高濃度は600,000年前の280ピーピーエムだが、現在は400ピーピーエムを超えている。人類がまだ経験したことのない、時代を生きている。このさきはわからない。突然、ヤンガードリアスイベント期のような寒冷化が起こるかもしれないし、温暖化が行き着く先もよくわからない。人類は気候変動のたびに社会的進化を進めたが、今回はどうなるのか?
Posted by ブクログ
気候変動がいかに人類の歴史に深く関わってきたのかを教えてくれる貴重な本である。この気候変動のことを知らなければ世界市場のさまざまな出来事の背景がわからないので、本当の歴史を知ったことにならないのではないかとさえ思いました。
Posted by ブクログ
「気候」という一つの境界条件を軸に8万年の文明史を説いている。太古から「気候」という抗いようのない強大な敵に振り回されてきた人類は、今なお「気候」を巡り揺れ続けている。人類が気候に対して与えてきた影響と与えられてきた影響の相関関係は、科学技術の発達により果たして変わったのか、一体いつから地球温暖化の主因は自然から人類にシフトしていったのか、などなど、将来について思案するにあたっても良い取っ掛かりとなる。
Posted by ブクログ
研究者としてはある意味で在野である、気象予報士の著者の力作。情報量が多いので、5回目読書中。それでも発見が多い好著。
特に、歴史の様々な動乱、混乱を、政治要因だけでなく、気候要因による強制力を見直す視点は、迫力がある。実際、地球上、同時代に各地で、同様な事件や傾向はあるわけで説得力はある。
細かな論証、いわゆるエビデンスは不足しても、このような洞察、視点は、書籍に歓迎されたい。というより歓迎されない昨今を憂う。
それにしても、これだけの情報と俯瞰をよくまとめた。
自然と科学の偉大さがコンパクトに詰まった本でもあります。
次期氷期がいつ来るかはさておき、41万年前の間氷期が最大最長の温暖期であり、28000年続いたことを、地球軌道の離心率から突き止めたEPICAによる研究成果などなど、、、偉大な研究結果が、サラッと続々と書いてあります。
気持ち(感動)がついていけないので、笑、何度も読み返しています。
Posted by ブクログ
気象予報士 田塚康さん著者
約1万年前最終氷河期後も
太陽の活動と火山噴火により温暖と寒冷を
繰り返し、産業革命以降二酸化炭素による
著しい温暖化
(ただし8世紀〜13世紀の中世温暖期と同等とも)
過去激しい気候変動の都度叡智あるいは民族移動
侵略等で危機を乗り越えてきた人類は
この危機に科学的エビデンスで更なる
アップデートが出来るかが試されているようです。
Posted by ブクログ
読み始めたときは「自分が望んでいた内容だ!」と喜んだのだが、読み進めていくとアラが目立つ。著者の経歴から一抹の不安を抱いていたが、それが現実化した感じ。
100ページほど普通に読んだだけで誤植を3〜4箇所見つけており、明らかな誤字脱字が目に付くので、校閲どころか校正すらしてないのだろうか?と不安になる。巻末に謝辞もないので本当に著者一人で書いたのだろうと思う。
内容的にも「コレ、本当か?」と思う箇所(地球科学的な内容)があり、話半分に読むものだと認識している。
また構成がヘンなのも気になる。
この内容で年代順で話を書かないのは、違和感が強い。
序章で人間の発達と気候の関係(5〜2万年前前後)まで話を進めておきながら、2章で人間の発生前の最終氷期前後の話(20万年前)に戻すのは混乱するし、肩すかしを食らったようで興ざめである。
序章で話の大枠を示し、「大きな変動としての気象イベントを説明、後に人類史へ入っていく」というような流れの方が良かったと思う。章立ても細かい割に意味不明な感じがするので、内容・章立て共に校閲されていない感じが強い。
引用も「えっ!?そんなの論拠として引用するんですか?」と思う物が出てきたりするので、内容だけでなく著者の経歴(気象予報士)から言っても、"専門家(;研究で食べている人)の文章"ではなく、"よく勉強したアマチュアが書いたもの"と思っていた方が良い。
良い点を挙げておくと、
まず、読みやすい。
学者の書いた専門的な文章は読みにくいことも多い。それでも知識欲だけで読んでいくのだが、読み進めるのが辛く、時間がかかることも多い。その点、本書は文章がソフトで言い回しも上手いので最後までスムーズに読むことが出来た。
また、著者の専門である気象に関する内容はさすがにちゃんと書かれており、過去の事例を解説しながら近年の温暖化にからめて、『人類活動に依らない温暖化』の記載を随所でしているのは冷静で解析的で良い。