あらすじ
うつ病、貧困、自殺未遂、生活保護、家族との軋轢、周囲からの偏見のまなざし……幾重にも重なる絶望的な状況を生き延びてきた著者。彼女のサバイバルの過程を支えたものはなんだったのか? 命綱となった言葉やひととの出会い、日々の気づきやまなびを振り返る体験的エッセイ。精神を病んだのは、貧困生活に陥ったのは、みんなわたしの責任なの?──苦難のフルコースのような人生を歩んできた著者が、同じ生きづらさを抱えている無数のひとたちに贈る「自分で自分を責めないで」というメッセージ。
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Posted by ブクログ
「深い思索に裏打ちされた体験記は、どんな専門書よりも参考になる」に尽きますね。現在の社会は余裕がなさすぎるのか、弱者が弱者を非難したり、弱者が自己責任と思い詰めることが多すぎ。こういうエッセイで蒙を開かれる人が多くなることを期待しています。
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「精神疾患も自殺未遂も生活保護も自己責任ですか?」と目立つ帯。加えて、親子関係の問題、周囲の偏見や幼い頃からのイジメ体験、と多重な苦労を経てきた著者のエッセイ。サバイバルしてきた人だけに、これまで出会った人や体験の良いところも悪いところも冷静に述べられている。精神科病院の問題や生活保護の問題については体験した人だからこそ言えることで考えさせられる。ダルクの体験やべてぶくろ、当事者研究など当事者としての体験は勉強になる。色々な問題が重なり援助者としても絶望感を感じることもあるが、回復している人の話を聞くと希望が見える。回復者だけでなく援助者にも参考になる本だと思う。
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生きるって単純じゃない。自分で選べない子ども時代、周りの影響は計り知れない。親だったり学校の先生だったり、友人だったり。
ひとりの人と出会ったとき、その今のその人を見ると思うが、それまでの経験がいかに大事かが、このノンフィクションのエピソードから感じられる。精神障害者というラベルで人を見ると、どうしても先入観がまさる。
当事者という役割を著者は意識しているのだと思うし、それが動機づけにもなっている。社会的立場の弱い人にとっても、勇気づけられる書籍ではないだろうか。
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わたしは何も悪くない。著者はブラック企業に勤め、鬱になり、生活保護を受け……そして今は生活保護を受けずに働いてくらしている。
タイトルの通り、わたしは何も悪くない。
前作に比べると……つらそう。悪くないと言い聞かせているようにも思えてしまう。悪いという気持ちを押し殺すような。
なにも悪くない。
Posted by ブクログ
私は精神科病院に勤務し、日頃精神障害者の患者さんを援助する立場にあるが、この本を読んで、精神障害者について、入院する患者さんについて、理解しているようで理解できていなかったと思い知らされた。患者さんがどんな思いで入院し、退院してどんな生活をしているのか、解っていない。治療により回復した喜びと、退院後の生活への不安、その葛藤の中でどんな支援ができるのか、初心にかえることができた。
Posted by ブクログ
1977年生まれ、41歳の小林さんの実体験が赤裸々に綴られたエッセイ。
酒乱の父を持ち、学校ではいじめに合い先生からは非情な言葉を投げつけられる。
短大までは行けたものの、その後の転落ぶりが壮絶で辛すぎる。
手取り12万、生活保護以下の給料で働かせるいわゆるブラック企業に就職、貧困に陥り何度も繰り返す自殺、精神病院入院、生活保護、これでもかというくらい次々と不幸の連鎖が続く。
精神病院のあまりの怠慢さに呆れ、世間の容赦ない偏見に切なくなる。
あなたは悪くない、生きていてと声を掛ける大人の存在がいかに大切かを感じた。
Posted by ブクログ
精神疾患を持つ本人のエッセイなので、精神疾患の患者さんや今の社会では生きにくいと感じる人が持つ孤独がよく描かれています。
が、一冊通して矛盾がいくつか気になってしまうのが残念。
タイトルは「開き直り」のように感じますが、決して開き直りというものでもないのでしょう。精神障害者は、自分を過剰に責めてしまう傾向があると思いますし、過剰に自分を責めるのはいっそやめようというメッセージも込められている気がします。