【感想・ネタバレ】笑いのカイブツのレビュー

あらすじ

27歳、童貞、無職、全財産0円。笑いに狂った青年が、世界と正面衝突!
“伝説のハガキ職人”による、心臓をぶっ叩く青春私小説。
21歳にして「ケータイ大喜利」でレジェンドの称号を獲得。「オールナイトニッポン」「伊集院光 深夜の馬鹿力」「バカサイ」「週刊少年ジャンプ」などで、他を圧倒する質と量で圧倒的な採用回数を誇り、「アメトーク」でも取り上げられる。いつしか彼は“伝説のハガキ職人”と呼ばれるようになる。
構成作家を志すも、“人間関係不得意”のため、挫折の繰り返し。命を削るように面白いネタを書くことに邁進する、貪欲なまでのストイックさ。恋と、挫折。やがて彼の頭の中に奇妙な「カイブツ」が棲みつき、主人公をときに叱咤し、ときに罵倒する。休むことのない内なるカイブツとの戦いの果て、主人公はいつしか「死」を想うようになる。
笑わせるか、死ぬか。
この主人公は、著者自身なのか、それとも頭の中のカイブツが生み出した妄想なのか?
ツチヤタカユキの熱狂的な道行きが、いま紐解かれる。

単行本刊行後を濃厚に描いた「文庫版あとがき」を収録。出版によってメジャーな世界に一歩踏み出したことで、主人公(作者)の鬱屈は晴れる日がきたのか、それとも・・・?
とどまることのない激情の発露が、読者の心に突き刺さる、感動の「最新章」。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 映画がすごかったので、原作も読んだらこっちもすごい。エグさがすごいのだけど、逆に映画には映画なりのエグさがあってどっちもエグい。とことん本人なりのお笑いを追求する姿勢がすごい。しかし、あくまで裏方である芸人の作家を目指していてプレイヤーは目指さない。適正があるので、芸人そのものを目指すべきだとは言えないが、選ばれないと成立しない立場はつらい。

 それに厳しいことを言えば、なにがなんでも作家になりたいという気持ちがない。ジャニーズのタレントがジャニーさんに性加害をされても耐えて栄光をつかんだように、ディレクターのケツを舐めてでも作家になるという気合がない。ボケを作る、ネタを作ると言う得意なことだけで一点突破しようとしている。

 それは僕自身の身の上を棚にあげての指摘だ。もっと何が何でも連載作家の立場をつかみ取ろうと言う気合がなかった。そうしておくべきだった。また、僕自身両親にかわいがられて4年生大学を卒業している恵まれた立場で、ツチヤさんが敵視する側だ。

 思いはぎゅうぎゅうに詰まっているのだけど、彼女の人物像はふわっとした存在で、特に負の側面が描かれておらず立体感に掛ける。実話のような小説なので変なことを書けないのは理解できる。しかし、ツチヤさんご自身、めちゃくちゃ美意識が高くて了見が狭いので彼女に対しても多くの不満があってぶつかることもあったであろう。

 オードリーのオールナイトニッポンは欠かさず聴いているのでツチヤさんのことは覚えている。「あの人」と書かれる若林さんには強い感謝が描かれる。春日さんのことはどう思っているのだろう。

 ツチヤさんの自分の追い込みぶりは本当に頭が下がる。それでダメなら確かに死にたくもなりそうだ。長く続けるためには追い込まないことを信条としており、その結果続けてはいるのだけど大した結果を出せないまますっかりキャリア晩年だ。ツチヤさんには僕のぬるい漫画を絶対に読んで欲しくない。

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2024年03月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

創作に真剣に向き合う人間は、カイブツになることがある。

ならなきゃいけないわけではないとは思う。

ここまで一直線に向き合った人間が、社会に受け入れられないことは、すごく悲しい。
寂しい気持ちになる。

主人公の性格に共感し過ぎてしまう部分がある。
というか、主人公は筆者なのだけれど。

純粋なものが非常識で、不純なものが常識な社会。人間というもののベースが不純だ。
カイブツの方が大切なのに。

大学生の自分はこうだったよなって、思い返すことになった社会人一年目に読んでよかった本だった。

作中にも挙げられているように、西村賢太の苦役列車を思い浮かべた。純粋ゆえに悪態をついて世の中に受け入れられなくなる人間。

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2023年12月29日

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