あらすじ
「殺意が見える女」(第五十一回日本推理作家協会賞短編部門候補作)を収録した名作短篇集
仕事がしたい。
なのに、あの男は“私の家”に帰ってきて偉そうに「夕飯」だの「掃除」だの命令する。
苛立ちが募る女性作家のもとに、
家事を手伝いたいと熱望する
奇妙なファンレターが届く(表題作)。
嫌いな女友達より、恋人を奪った女より、
誰よりも憎いのは……夫かも。
あなたが許せないのは誰ですか。
第五十一回日本推理作家協会賞
短編部門候補作を含む極上ミステリー七篇。
(解説:杉江松恋)
<目次>
夫が邪魔
マタニティ・メニュー
二十五時の箱
左手の記憶
捕えられた声
永遠に恋敵
殺意が見える女
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
タイトルに惹かれて、初めて読んだ作家さんでしたが短編集でとても読みやすかったです。
様々な「夫が邪魔」な女たちの愛憎渦巻くドロドロとした内容のはずなのに、爽やかな書き口と良いテンポで胸焼けすることなく読めました。
Posted by ブクログ
女は怖い。
男はどうしょーもない。
この本で起きる事件は、大体が、男の自業自得である。
女の方とて、それなりにブーメランを喰らうのだが、女が怖いのは、ブーメランを恐れないからだ。
男は保身をする、ずるい生き物。
女は刺し違えてもいいと思っている。
女は弱いから、自分に逆らわないと思い込んでいてはいけない。
自分が女の上に君臨していると思い上がってはいけない。
しかし、出てくる女性が皆、ちょっと狂気。
なぜそこまで固執してしまう?
なぜ尾行してしまう?
全てに「やられた!」と思うオチが付いていて、それでもまだ何かが始まりそうな不穏さを孕んでいる。
『夫が邪魔』
趣味の良い邸宅に住まう、人気小説家・朝倉夕子。
彼女の小説が売れ始めると共に、夫が執筆をさせまいと完璧な家事を強要してくるようになった。
ある日、熱狂的なファンと名乗る、片山京子から、家事をお手伝いさせて欲しい、という手紙が届く。
「夫が邪魔」は、「朝倉夕子」とともに脈々と受け継がれていくのか。
『マタニティー・メニュー』
元彼と結婚した女の妊娠を知る。
女性特有の病気で子宮をとってしまった柿沼よしみは、子宮のある女に嫉妬する。
『二十五時の箱』
妻のいる男の子供を孕ってしまった、小倉香陽子(おぐら かよこ)が羽田空港のコインロッカーに入れたものとは?
『左手の記憶』
スキーに行って右手を骨折した作家・佐伯郁弥(さえき いくや)はワープロを打つにも苦労する。
生まれつきでは左利きだったのだが・・・
口述筆記のために雇った女性の正体とは?
『捕えられた声』
あなたの声が好きなんです。
気持ちの悪い電話。
『永遠に恋敵(ライバル)』
怖い女たちだが、どこかコミカル。
彼女たちの見栄の張り合いと負けず嫌いのために事件が起きたようなものだが、男の人生が壊れても、それは終わったもの、と切り捨てられるのがすごい。
『殺意が見える女』
由美は、喫茶店で離婚届を凝視している女を見て、激しく興味を引かれた。
自分と似ている。
「夫が邪魔」と構造が似ているかもしれない。
Posted by ブクログ
題名に惹かれて。笑
短編集だとは知らず〜旦那が邪魔なお話は最初と最後の2つのみだったけど全てのお話が怖い女性達のミステリー。
ぞわぞわーっとするお話ばかりでとても面白かった。旦那が邪魔感が思ってたのと違い怖い感じでの邪魔だったw
Posted by ブクログ
半世紀以上生きていると、自分の回りから居なくなれば良いのにと思う人が少なからず居た。学生時代の同級生であったり、働き始めてからの上司や同僚であったりと様々だった。邪魔さ加減の濃淡はあったが、中には顔を見るのも嫌だという人も居たのは事実だ。
言葉が過去形なのは、ここ数年はそういう「邪魔だ」と感じる人が居なくなってからであり、ありがたいことだなと思う。それはたまたまなのではなく、私自信がある程度年齢が高くなってきたことで、周囲とむやみにぶつかるということがなくなってきたからではないかと思う。自分の姿が相手にも反映するという、“鏡の法則”なのかもしれない。
昨年亡くなった母も、今年亡くなった父も、どちらも穏やかな晩年を過ごしていた。怒ることもなく、気の会う仲間と集い、趣味を楽しみながら夫婦で旅をする。そんな穏やかな晩年を過ごせたのはひとえに周囲の方々のおかげだが、夫婦仲良くいつも二人で語り合い、連れだっていたからだと思う。
一緒にいる時間を増やし、たくさん会話をする。それが夫婦円満の秘訣のひとつなのだろう。
新津きよみさんが書かれた「夫が邪魔 (徳間文庫)」は、夫を疎ましく思う妻が主人公の短編集。タイトルと表紙にドキッとさせられる一冊だ。
新津きよみさんは、人の心の奥にある闇や哀しさを巧みに描写される作家さんだが、さらにミステリーの要素も加わっているので一気読みしてしまう。今回も同様に一気読みしてしまった。
表題作の「夫が邪魔」は女性作家が主人公。著書が評判となり仕事が次々とやってくるが、夫は作家業に全く理解を示さず、食事の用意や家の掃除を当然のように要求する。夫の持つネジ曲がった価値観に振り回されるうちに、徐々に苛立ちが募って来る。そんな時に、住み込みでの家事手伝いを希望する熱烈なファンからの手紙が届く。ファンと作家との手紙のやり取りが続くうちに、事態は不穏な方向に進んでいくのだが。
このほか、「夫が邪魔だ」といわんばかりの短編が6話、全部で7話が収録されている。20年前の書籍が名前を替えて再登場したようだが、20年経っても面白い作品はやはり面白いままだなと感じた。
Posted by ブクログ
タイトルに惹かれて。
昔出版された本のタイトルを変えて出された本だそうです。
古さは一部の小道具を除いて感じさせません。
結構危ない人たちが繰り広げる短編ドラマ集です。
いそうでいない、いなさそうでいる。そんな男女が描かれています。
短編ミステリなので、不安・不穏な雰囲気もほどほどで楽しめました。
Posted by ブクログ
七編収録されている短編集。人の思い込みや裏切り、疑心暗鬼、復讐とさまざまな感情に囚われ動かされている登場人物たち。思わぬ展開を見せたり不安や不穏な気持ちにさせられたりと読み応えのある短編集。
Posted by ブクログ
さくっと読める短編集。
復讐したり貶めようと思ったら、最終的に誰かにバレて自分が窮地に追い込まれる系の話が多かったかな。
「マタニティ・メニュー」、「殺意が見える女」が良かった。
Posted by ブクログ
タイトルを見て即買い
どうやら私は「夫がー」「夫のー」的な妻からの立場によるストーリーに興味をそそられるようだ。
しかも、なにかしら不穏な。
短編集。
サクサク読める。
Posted by ブクログ
表題作を含む、夫婦、愛人、恋敵等への、復讐劇。
短編7編です。新津さん初読。
安心して下さい。「夫が邪魔」の夫は、邪魔になるほど、酷いです。財産あり、才能あり、稼ぐ妻に、モラハラやフキハラ。邪魔です。処分です。
そして、処分が連鎖します。
1998年「殺意が見える女」改題。文庫は、それほど古く無いけど、小説は20年前なので、不倫は横行してるし、結婚観も古めかなと思いますけれど。
恨みたくなる相手への怨念とは、こういうものです。身に覚えのある方は、手作りのお料理やお菓子は、気をつけた方が良いかもしれませんね。
ミステリとしては、女の嫉妬を利用した会話だけで、見事に男に復讐を遂げた「永遠に恋敵」が、面白かったです。
Posted by ブクログ
20年以上前の短編集ということで、時代を感じる箇所もたまにあるが、なんだか今も昔も夫婦や恋愛にまつわるドロドロは本質的に変わらないんだなと。個人的には登場人物たちの思考や行動が好きじゃない。が、こういう陰湿な不快感のある小説をたまに読むのは面白いと思う。
Posted by ブクログ
夫が邪魔
っていう本なもんだから、ついついどんだけだろーなーって思ったら。まぁ、邪魔っちゃ邪魔だけども、、、まぁ、小説ではありがちな浮気とかね、そんなとこでした。
いやいやいやいや、邪魔だから。笑笑
もっと邪魔だから。笑笑
と、思いながら、夫の邪魔さ加減ならこんなもんじゃないのよ。普段、日常における邪魔がどんなにストレスを募らせるものか。という。
しかも、殺してやるーってほど邪魔じゃないとこがストレスね。そこね。そこまでじゃないのよ。
そこそこずーっと、微妙に、気になるか気にならないかのさじ加減で邪魔なのよ。
気になるよーホント。気になると腹立つよーホント。笑笑
そういうリアリティも欲しかったな。せっかくこんな好都合なタイトルなんだから。笑笑
Posted by ブクログ
新津きよみらしい嫌な感じがひとつひとつにちりばめられていて満足。
一番最後の「殺意が見える女」が、ハッピーエンドに向かっているようでちゃんと後味が悪くて一番好きだった。
Posted by ブクログ
ミステリー短編集。
作家として軌道に乗った自分に家事を要求し、書く時間をくれない夫。
婦人科の治療で訪れた病院の待合室で遭遇した妊婦は、自分の恋人を奪った女性だった。
自分から恋人を奪った友人と偶然再会し、彼の浮気を相談される。
奥さんと離婚しようとしない彼に妊娠を伝えるために、直接的ではない方法を考える。
それぞれ恨みつらみ何かを抱えてる人たち。
思うようにいったりいかなかったり。
人の思いの強さは、時に思いがけない行動に出たりするけど、勢いだけでは上手くいかないもの。
憎しみは持続しないとも言うけど、持続した憎しみはどんどん大きくなって、こうやって静かに、虎視眈々と、その瞬間を狙うのでしょうね。
あなたが許せない人は、誰ですか?
Posted by ブクログ
タイトルに惹かれたものの何となく後ろめたくカバーをして読んだわ(笑)7編の中にはホラー要素もあったりで短編をじっくり楽しめた。短編特有の消化不良な部分はありあれ?という部分もあるけれど。結局どういうこと?という部分も含めて読後感はもやっとしたまま余韻が残った。
Posted by ブクログ
短篇集
女性の視点で 夫を消したい
自分を振った婚約者を亡き者にしたい
彼氏を奪った旧友に復讐したい
など複数の話。二回目はないかな
Posted by ブクログ
新津さんは何作品か読んだことがあるものの、どうも私とは波長が合わず長らく触れていなかった。
年月を経て短編集に挑戦。
ジョワりとする鳥肌モノのオンパレは有意義な読書時間を提供してくれるものの、昔の作品ということもありガツンと来る様な衝撃は残念ながら無かった。レビューを書くのに何日か空いてしまい、完全に内容がフライアェイしておりますごめんなさいごめんなさい。
タイトルのインパクトの強さと芸術感漂う美しい装丁を感じるだけでも◎
確か可哀想なメンズ達がやたら登場した気がするので、気 が す る ので、女のドロっと感を味わいたければ迷わず手に取るべき1冊かと思う。短編集が苦手+フライアェイ現象に陥った状態の中身無しのレビューで恐縮なのですが、特にモヤモヤするとなる事もなかった気がするので、気 が す る ので、休憩本としてのご紹介に留めさせていただきたいと思います。
.....なんか、ごめんなさいっ!!!!!笑
Posted by ブクログ
短編集です。
インパクトすごすきのタイトルですよね(^_^;)。
中身が気になって手に取りました。
私は決して夫が邪魔とか思ってないです(*^^*)。
7編のストーリーですが、どれもミステリー。出てくる女性たちが怖すぎます。一部男性も怖かったけど。というかすごい狂気‥。読み物としては面白いです!非現実的ですけど小説ですしね。
よくこんなストーリー考えつくなぁ…作家さんてスゴイ。
Posted by ブクログ
仕事がしたい。なのに、あの男は"私の家"に帰ってきて偉そうに「夕飯」だの「掃除」だの命令する……。苛立ちが募る女性作家のもとに、家事を手伝いたいと熱望する奇妙なふぁんれたーが届く。(表題作あらすじより)
なんかちょっと物足りない。盛り上げも嫌な感じも十分膨らんでるのに表題作もえっそっち?みたいな、どの話もオチが明後日の方向であっさり終わってしまってる印象だった。あと別に夫が邪魔で男女のどうこうより、女同士の情念の話が多かったので改題前のが良かったのでは。『永遠にライバル』と『殺意が見える女』は収まりがよくて良かった。
Posted by ブクログ
新津きよみさん、初めて読みました。タイトルの夫が邪魔を含む短編集。ブラックミステリー、女性が男性に対して抱く感情が招く不幸な出来事の数々。女性が読んだらスッキリするのでしょうか…。男性はこわい女性心理を学ぶことが出来ます。
Posted by ブクログ
教えてください。新津きよみにハッピーエンドの作品って存在するんですか。えげつない話ばっかり(笑)。
別にグロいわけじゃない。ただ夫や元彼のことがウザくて憎くて、おらんようになればええのにと願う女たちがあれこれ企む。このタイトルに惹かれて読み始めた人ならば、「わかるよその気持ち」と思う部分もあるでしょうが、念入りに立てた計画であってもそう上手くは行かない。邪魔だとしても殺してやろうなんて思わずに、自分から立ち去るのがよさそうです。
『殺意が見える女』の改題再刊とのこと。そらもう『夫が邪魔』のほうがインパクト大。