舞台は90年代の北海道・札幌。エスと呼ばれる情報提供者たちを巧みに飼いならし、拳銃の摘発で頭角を現していった刑事・鬼戸は、美貌のヤクザ幹部・八敷と出会います。互いの利益のために手を組んだ鬼戸と八敷。拳銃の違法摘発にクスリの密輸入など、イリーガルで危険な潜入捜査に身を投じていく彼らは、その果てに一体何を望むのか……。
どこまでもダークでシリアスでありながら、途方もない希望をも感じさせる作品でカルト的人気を誇る梶本レイカ先生。2016年に出版された話題作『コオリオニ』がついに電子書籍化されました!
「俺はただ言われたことをやっているだけだ」と常識人のふりをして、平然と違法捜査を行う悪徳刑事・鬼戸。そして、“囚われのお姫様”を演じながら欲望のままに生きる“稀代の悪女”八敷。刑事とヤクザという正反対の立場にありながらどこか似た者同士の2人は、まるで互いが互いのファム・ファタルであるかのような関係に。一緒にいれば破滅を免れないのに、離ればなれになるくらいなら死んだほうがマシ。そんな欲望と切実さに満ちた恋情に、苦しいほどに胸が締め付けられます。しかし、鬼戸と八敷の間に悲壮感はなく、自分たちの欲望に向かって突き進む姿は、むしろ輝きをまとっているように見えるのです。
最新4巻が同時期に出た『悪魔を憐れむ歌』(新潮社)も警察官が主役のクライムサスペンス。猟奇殺人を繰り返す悪魔と事件を追い続ける刑事たちの奇妙な関係から、人間の欲望をリリカルかつ魅力的に描き出しています。人間のどろどろした部分を毅然と描くからこそ、そこに浮かび上がってくる愛の美しさが胸を打つ梶本先生作品。読めばあなたのBL観、いや人生観が変わるはずです。
感情タグBEST3
購入してから読むまでに、少し自分の精神状態の安定を待つ必要がありました。
強い筆致の絵もそうですが、初頭を読んでみて、読み手としてしっかり向き合う必要を感じたからです。
絡まった糸、それぞれの登場人物の闇、心のずれなど、後編に続きます。
甘い作品ではありません。けれど、是非読んで欲しい作品です...続きを読む。
「生きづらい」なんていう言葉がふわふわ軽く感じるほどの人の世の深淵。
「描き下ろし」の能天気なまでのハッピーエンドも 脆くて危うい「ハッピー」ではあるけれど ハッピー「エンド」だと騙されたい。
贅沢できずとものほほんと暮らせる身として沈黙するしかない、な世界のお話です。
絵柄が好みとは大分合わない気がして、気になりつつもしばらく様子見してましたが、興味が続いたので購入しました。
うん…やっぱり絵柄は苦手です。特に八敷(受)の表情の描写に違和感?が消えませんが、些細なことでした。
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物語は黒い激流のようで、でもソコの住人にとっては日常で。
フィクションの体を装って、もっと怖いものを見せられているような気がしました。