あらすじ
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「明るい北朝鮮」と呼ばれる国はどこか?
アメリカと中国という超大国の間で生き抜くために、日本にとって東南アジア諸国の重要性は高まっている。しかし、東南アジア諸国や、これらの国のほとんどが加盟するASEAN(東南アジア諸国連合)についての知識が、日本人に広まっているとは言えない。以下の問いにすべて答えられる人はいるだろうか?
●「東南アジア」という概念は、どこの国の軍事侵攻の結果、生まれたか? ●ASEANはなぜ生まれたのか? ●ASEANの結束が高まった、日本が関わる貿易摩擦とは? ●「明るい北朝鮮」と呼ばれる国はどこか? ●「タイ式政権交代」とは何か? ●なぜインドネシアの中華街には漢字が見当たらないのか?
わからなくても大丈夫。池上彰がわかりやすく徹底解説。東南アジア諸国の現代史や日本との関わりがすべてわかる! 東京学芸大学附属高校での白熱講義に、大幅加筆をして書籍化。人気シリーズ、待望の8巻目!
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Posted by ブクログ
振りとつかみ、説明の分かりやすさは絶品。
もとキャスターという履歴もあり、かつての要人との対談の逸話も多くあり、また語り・つかみが上手なので、そうしたところから東南アジアに興味を持ちやすい本だなあと感じました。
ほんの初歩の初歩としては良いかもしれませんが、ただ深さとしては飽くまで高校生レベル。
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さて、本書ですが、かの池上さんが、高校生に東南アジア、わけてもいわゆるアセアン諸国について語るというもの。
日本の立ち位置で一章、アセアンという組織の由来とベトナムで一章、シンガポール・マレーシアで一章、インドネシアで一章、タイとフィリピンで一章、カンボジアとミャンマーで一章、という構成。
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幾つか面白いなと思ったのは、シンガポールの「明るい北朝鮮」という形容と2018年の米・北朝鮮の首脳会談。
シンガポールをして「明るい北朝鮮」というのは、東南アジア界隈にいればまあ良く聞く話。今や国民一人当たりGDPで日本の遥か上をいくシンガポールは、他方で報道の自由度等が極めて低く、政党政治にも自由がないことを揶揄する言葉です。
そのシンガポールが米・北朝鮮の首脳会談の開催地になった理由は、トランプ大統領率いる米国から独裁北朝鮮への「シンガポールみたいなこういう統治方法もあるんだよ」というメッセージであったとかなかったとか。あるかもしれませんねー。
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あと、最後の章だけが国名ではなく個人名なのです。「ポル・ポトとアウンサン・スーチー」。より彼らの人となりと国の状況にフォーカスしているのが印象的でした。
例えばノーベル平和賞を取ったスーチー氏ですが、ロヒンギャ問題には手つかず。政治的には隠然たる勢力を持つとか持たないとか。目下軟禁されていますが、クーデター前の軟禁状態時もかなり落ち着いた(恵まれた)環境にいたとあります。事の真偽はわかりませんが、一方的に虐げられていた印象が強かったのですが、そうでもないかもしれません。
ポル・ポトについては個人的には既知でしたが、共産主義の行き過ぎと抑止できなかった政治体制については高校生として学んで悪くない箇所ですね。分かりやすい説明でした。
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ということで池上氏による東南アジア入門でした。
ニュースの報道というのは本当に表面の事実だけしか伝えず、その背景は個々人は全く分かっていなかったりすることは多々あります。その背景を知るには歴史でしょうが、そうした歴史を知るきっかけ、「なぜこの国はこうなの」という疑問を持つきっかけとしては、本書は絶好のフックになり得ると思いました。
中高生のみならず学びたい大人にもお勧めです。