あらすじ
言葉の選び方、書き出しの心得、起承転結の「転」を利かし、書き手の「ええーっ」を読み手の「へえーっ」に換える極意とは? しなやかに感じて、したたかに描く奥義を伝授。エッセイ道30年の岸本んが、スマホ時代の文章術を明かします。単行本『エッセイ脳 800字から始まる文章読本』を改題。待望の文庫化。
第一章 テーマは連想の始動装置―「私」と「公共」の往復運動
第二章 頭にはたらきかける文、感覚にはたらきかける文―無意識を意識する
第三章 リスク回避と情報開示―「自分は他者でない」宿命を超えて
第四章 文を制御するマインド―「筆に随う」はエッセイにあらず
終章 ひとたび脳を離れたら
感情タグBEST3
エッセイにおけるテーマとは
「エッセイにおけるテーマとは、題材を思いつかせるきっかけ、連想の指導装置と捉える」
なるほどと思い、スッキリしました。エッセイは自分にしか書けないことを書くという認識はこれまでもありました。しかしテーマの与えられたエッセイでは、どうしても発想が絞られてしまう息苦しさを感じていました。そしてその題材は起承転結の「転」であるという説明もたいへん分かりやすいです。
他人が読みやすい文章を書くことを生業にしている筆者らしく、エッセイを書くことについて、とてもわかりやすい本だと思います。
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エッセイストによるエッセイの書き方本。著者いわく「生活エッセイ」が専門とのこと。
確かに、本書に引用されている著者のエッセイは、普段誰でも経験するような日常のひとコマを切り取ったものだ。だから本書は、日常を詳細に切り取って、それを読者に面白く伝えることに特化したものが多いと感じた。
Posted by ブクログ
書きたいように書くのがエッセイだと思い込んでましたが、すでに大間違い。小説ではないからこそ気をつけなければならない書き方のコツを著者がちょっと後悔するほど書かれています。
Posted by ブクログ
エッセイの起承転結を、「ある、ある」「へえーっ」「そうなんだ」と読み替える。
何かを伝えようとすると、起承転結の「結」に力点を置きがちだけど、エッセイの場合は「そうなんだ」は軽く。むしろ「へえーっ」が大切。
でも「へえーっ」と思わせるまでには、「ある、ある」と共感してもらえていることが不可欠なんですね。
共感がなければ「へえーっ」は嫌味な自慢話になってしまうし、「そうなんだ」は「あっそう」で終わってしまう。
文章で「自分が何を伝えるか」ばかりでなく、「読み手にどう受け容れてもらうか」を考える大切さを学びました。
Posted by ブクログ
一つの技術として、エッセイの書き方を言語化してくれているのが嬉しい。
エッセイ内容でほぼ決まるような印象がありましたが、その内容をどう見せるかという表現技術が分かりやすく書かれていました。実例があることと、岸本葉子さんという安心感のある作者であることも良かったです。
Posted by ブクログ
エッセイとは何か。著者はつぎのように定義する。
「自分の書きたいことを,他者が読みたくなるように書く」
なるほど,と思った。
「自分の書きたいことを,自分が書きたいように書く」のはブログであり,これがブログとエッセイの違いだと,著者は語る。
エッセイストの著者の頭の中で起きていることを,著者自身が分析し,その文章にいたるまでの道筋を解説する。
本書をあたまから読んだ後で,文庫版のあとがきを読むと,それまでの解説にあったすべてが詰まっていることに気づく。
読み手に配慮した,やさしい文章をかけるようになりたいものです。
Posted by ブクログ
計算されたエッセー
前原政之さんから。
描写と枠組。視線と文章。のあたりが指南として白眉。岸本がかなり計算してエッセーを書いてゐることがわかる。
しかし一方でこの本は講義調なので、エッセーのやうにすらすら読めるわけではない。それが引っかかる本だった。
Posted by ブクログ
エッセイの書き方を書いた本は、あまりないので、貴重な本だと感じました。説明がわかりやすく、書きやすい型も紹介されています。これを読めば誰もがエッセイを書けるようになると思います。