あらすじ
「王室」がわかると世界史がわかる!
「王」と「王室」は、国や民族の発展や秩序の源泉となる一方で、崩壊や退廃を招く要因ともなりました。歴史の最大の「当時者」であり、民族や国家がどう行動してきたかを象徴する存在、それが「王」と「王室」です。
本書は、世界各国の成り立ちから、国民性、現代の複雑な世界情勢まで、現存する27の王室だけでなく、古今の断絶した王室の姿を紐解くことでつかむ、新しい世界史の本です。
なぜイギリス王室は残り、フランス王室は途絶えたのか。なぜ日本の皇室だけが“万世一系”を守れたのか──。史上の王と王室の栄枯盛衰を追いながら、国家や民族の特徴と人類の本質を浮き彫りにしていきます。
好評『「民族」で読み解く世界史』の姉妹編です。
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Posted by ブクログ
王室は政治利用され、破壊と再生を繰り返し、その中で日本は万世一系を維持してきた。今まで維持出来たことにとても価値があり、これからも続いてほしい。
一部著者の偏った意見は気になったが、世界の王室について広く浅く知れたので、今後は1つに絞って掘り下げていきたい。
Posted by ブクログ
小さいころは、ごく単純に、「平等な人間社会にあって、天皇制とはいかがなものか」と思うだけだったが、様々な知識を得て、これも一つの社会の仕組みとしては必要な構造として働いてきたのだと見直してきてもいる。
しかし、「天皇」は、日本独自の呼び方としても、「皇帝」「王」などの、日本語訳されたもののルーツや意味、また、「帝国」と「王国」の違いなど、あいまいなままのものは多い。「帝国主義」とはいうけれど、だからといって、その国が「帝国」であるとは限らない。
「エンペラー」「キング」「カイザー」「ツァー」「ハーン」「ハン」「「スルタン」「シャー」「アミール」「サパ・インカ」「トラトアニ」などなど、世界中で使われてきた呼称の意味や格までが示される。
そして、その継承のされ方も様々だということがよくわかる。
そのほか、同様に権力を持った、「教皇」や「カリフ」などについても解説される。
日本人にとって、王は、万世一系、つまり、男性天皇の血筋のみが継承する一つの長いつながりを当然と受け止めるのが普通だろうが、例えばヨーロッパ王室はそれにこだわらず、女性の継承もある。皇帝位は、ローマ帝国皇帝位を引き継ぐものであり、そもそも、ローマからして、血統をそこまでつなげようとするものでもない。また、中国では、易姓革命の建前で、皇帝位は簒奪を繰り返される。
そもそも、「王」が収めるような国が集まってできた集合王国の長を「皇帝」というのかなと思っていたけれど、そういうわけではない。
いつの世にも合う最適な社会制度などありはしない。
日本の歴史上、天皇が世俗権力とは一段違うところにあり、様々な形で求心力を発揮し続けてきたことが功を奏したこともあろう。
それぞれの国や地域において、王が国を束ねることにより、他者の侵入を阻み、国民の利益を守った例もあろうし、その反対に、不利益をもたらした例もあるだろう。
社会が変化し続けることの意味とは、人々の価値観の変化であり、それは、その時に応じて社会制度を変化させる必要を生む。
ただね、うーん。あまり、書きぶりが、公平な視線によるものと思えないんだよね。これ。