【感想・ネタバレ】へんちくりん江戸挿絵本(インターナショナル新書)のレビュー

あらすじ

京伝の奇想! 北斎のユーモア! 南畝の異才!――。現代の漫画とみまごうトンデモな発想が江戸時代にあった! 多彩な出版文化が花開いた江戸。本書で取り上げるのは、それらさまざまなジャンルの本を徹底的にいじり倒したパロディ本である。遊里に遊ぶ神仏、おかしな春画、トンデモ実用書、センス抜群の模様帳、へんてこ妖怪、奇妙な地図……。黄表紙、滑稽本、狂歌本、春本などにみえる、日本美術の範疇からこぼれ落ち忘れられていた貴重な「へんな和本の挿絵」100点以上を掲載し、その見所を解説する。 ○推薦! 諸星大二郎氏「私は変なモノが好きですが、江戸時代、私以上に変なモノが好きだったり、真面目にフザケていた人たちがこんなにいたんですね!」○田中優子氏「なんと多様豊饒な発想! この江戸を覗いたら、日本に希望が持てます」

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Posted by ブクログ

江戸時代の知識の図像化の先にあるのは、パロディ化?
奇妙で洒脱な「へんな挿絵」100点以上を掲載し、解説。
第1章 神仏の巻  第2章 思想の巻  第3章 学問の巻
第4章 文学の巻  第5章 実用書の巻  第6章 文様図案の巻
第7章 怪異の巻  第8章 日本の巻  第9章 世界の巻
所蔵先リスト、主要参考文献有り。
様々な知識が図像化して普及した、江戸時代の出版文化。
それらの情報をパロディ化した、遊び心溢れる
へんちくりんな「挿絵」の数々を紹介し、解説している。
その緩さと、権威や常識を茶化すのは、老荘思想の影響か。
力を抜いて自然体で諸芸を愉しむ感性が培われた、風流人たち。
そのパロディの元ネタを見抜いて楽しむ、人々。
というか、元ネタが分かる江戸時代の人々の、
いかに知識が豊かだってことの、驚き。
神や仏が遊び惚け、七賢人が七拳で遊び、話題や人気を見立て、
漢詩を切取りこじつけ、『房事選』はなんじゃこりゃな春本、
実用書や占い本でふざけ、鰻の蒲焼やシラミを小紋の文様にし、
老若男女を妖怪化し、日本国の成り立ちをネタにし、
混沌とした当時の世界観をも「へんな挿絵」で表現しています。
絵は狂歌の面白さを引き立て、見立ての妙が粋。
しかも、当時の風俗や生活習慣、流行、
噴煙を上げていた富士山の姿までを現代に伝えてくれるとは。

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2022年03月30日

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