あらすじ
人はいかに生きるべきか? 古代ギリシャ・ローマ時代にこの問いを考えぬいた人生哲学の元祖、ストア哲学。「コントロールできるものとできないものを区別せよ」「富や名声に価値はない」……現代人をストレスから救う、どんな自己啓発書にもまさる哲人の教え
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Posted by ブクログ
私はもうすぐで節目となる年を迎える。それもあってか最近、「もう人生の●分の1くらいは終わってしまったのだな」と感じ、死ぬのが怖いという気持ちになりがちだった。
時間潰しに立ち寄った本屋でこの本が目に止まった。哲学については素人で、有名な哲学者の名前なら知っている程度だったが、パラパラとめくったページにあった
「わたしがストア哲学を信奉するようになった最後の理由は、死が必然であり、それにいかに備えるかについて、ストア哲学がもっとも直接的に、説得力をもって論じているからだ。」
の一文が気になり、買ってみることにした。
結論から言えば、読み終わった今、死ぬことへの恐怖は薄まったと感じる。ただそれは、死ぬことへの解像度が上がったとか、死後の世界に何か見通しが持てたとかではなく、「いつか自分は死ぬ、周りの人も死ぬ。それはどう頑張っても変えられない。逆に、誰かの存在がなくなり、居場所を譲ってきてくれたからこそ、いまここに自分は存在していられる。」という当たり前の事実を、この本がまっすぐに、ただし悲観的でないように教えてくれたからだと感じる。
読み終わって新幹線の窓から風景を見た時、夕日が見えて、毎日のように見ている太陽にも寿命がある、と教わったことを思い出した。頑丈に見えるビルも、文明の結晶みたいに輝く都市も、例えば地球の薄皮1枚めくれてしまえば、簡単になくなってしまうようなものなんだなぁ、とも思った。だから悲観的になろう、という訳でなく、だからこそ、家族や友人、自分自身に対して「今が最後かもしれない、今が大切」と、ある種の緊張感を持って接するように、というのが、この本が教えてくれたことだと感じる。
当たり前だが、現代社会によってうまく包み隠されているような感覚を思い出させてくれる良書と感じる。また死ぬのが怖くなった時、自分の人生に対しての緊張感が緩んでしまったとき、この本に戻ってきたいと思うし、同じような思いを持つ人におすすめできる本だと感じた。
Posted by ブクログ
ヨガ哲学を学んでいて、ひょんなことからストア派に触れてみたいと思ってました。
この本の良いところは
著者(生物学者さん)がストア派の生き方を実践しながら
その主張を紹介しているところ!
学術的に一歩引いて批判的に記載する事も大事だと思うのですが、現実的で実践的な(で、クールな)熱意を感じられます。(ヨガも実践と体系的学びのスパイラルなので、ちょっと似てる)
備忘録として要旨を記載しておきます。
実践編
基本的原則
1美徳は最高の善
2理性(自然)に従う
3コントロール出来るもの、出来ないもの
→得られる4つの徳
実践的知恵、勇気、公正さ、節制
12の実践
1心像を調べる(プルシャとプラクリティ)
2永遠に存在しない(原始仏教にもあったね)
3運命次第(カルマ!?)
4美徳をどう使うか(アパティア)
5ひと呼吸
6他人化(プルシャとプラクリティ)
7話は上手に手短に
8相手をよく選ぶ(ヨーガスートラ)
9侮辱されたらユーモア返し(ヨーガスートラ)
10自分自身についてあまり話さない
11判断を交えず話す(内観、マインドフルネス)
121日を振り返る(アーユルヴェーダなら朝)
Posted by ブクログ
ストア哲学の入門と実践をエピクテトス(語録、提要)を主に取り上げ筆者の人生と絡めて紹介している。
欲求は、何を求めるのか自分ではコントロール出来ないもの、人の行動などを求めるのは意味がなく、自分のできることを行う。
行動、実際の世界でどのように振る舞うか。徳(勇気、公正、慈悲、節制、知恵、超越性)に従い、熟慮したのちに行動する。徳と無関係なものには触れる必要はない。
受容、コントロール出来無いものを受け入れる、死は毎日近づいてくる。どんなものにも永遠はなくその瞬間を十分に過ごす。
Posted by ブクログ
世の中には、自分がコントロールできること・できないことがあり、その見極めが重要。確かに他人の評価や成績は、私にはどうにもできない。気にしても仕方ないし、周りがどうであれ、自分ができることをやっていく。それを積み重ねる日々だ。
時間がない人は、訳者あとがきだけでも読んでほしい。哲学がより身近になった。哲学は今後生きていく上で必要
Posted by ブクログ
マクロ的には『時間とテクノロジー』で言うところの「確率の物語」や「べき乗の物語」と言われて腑に落ちたんだけど,ミクロ的にはうまくいっていない自分がいてこの気持ちをどうしようかと思って手にとったのがこの本。「確率の物語」や「べき乗の物語」には公式がない。「因果の物語」のように成功方程式がない。それでいて成功者がさもありなんと見下している…そう思ってしまっていた自分がいる。
この本はストア派の哲学を人生に活用できるようにマッシモ・ピリウーチさんが教えてくれる,という形を取っている。ストア派の哲学を知るというよりは、人生にストア派の哲学(特にエピクテトス)を活かす私の方法,というような趣になっている。
さて,前段の僕の悩みに対しては「わたしたちの力の及ぶものは最大限に生かし、そうでないものは、なりゆきにまかせるのがいい」<エピクテトス『語録』>(p39)というのがこの本の答え。先程の『時間とテクノロジー』でいうところの「確率の物語」であれば,まさに確率の問題なわけで,当然自分の力だけでは解決できないこともある。とはいえ,それは確率を待つだけではなく,少しでも確率を上げる工夫をしたい。だから「状況の許す限り努力したうえで、解決できないこともある」(p198)。努力しても解決できないことがある。そういう事があるとわかるだけで心が少し落ち着く。もちろん,それで期待する結果を得られるかはわからない。でも「自分が最善を尽くしているのを知ることで、満足を得られる」(p48)ことを心得たい。
著者の話の展開がじわりとこない部分もあるけれど,それは「ロールモデルといえども完璧な人間ではない」ということと同じ。ストア哲学に詳しくない人でうまくいかないと思っているのであれば,読んでみる価値があると思う
Posted by ブクログ
悪に走るものは悪を肯定しているのではなく,それが悪ということを判断できない,無知な状態.
それは非難では買う哀れみを向けるべき.
ベトナム戦争 ハノイ・ヒルトン ストックデール
コントロールできるものとできないものを見定める.前者は落ち着いて受け止め,後者には後悔がない意思決定と行動をとる.
孤独と1人でいることの違い,後者は事実,前者は後者に評価を加えたもの
実用の友情・快楽の友情・善の友情
知恵・勇気・公正さ・節制
自分の他人化
判断を交えずに話す
しかし,ストア哲学はミニマリズム精神とも親和性が高く,自分の求めるストレスフリーなライフスタイルには必須だなあと思う