あらすじ
今すぐ走って、会いに行きたい。あの日のように――。二十二歳の誕生日、花音が出会った運命の彼は、アメリカ留学を控えていた。遠く離れても、熱く思い続けるふたりの恋。純愛一二〇%小説。
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Posted by ブクログ
大人になった自分が意識してはじめて買った恋愛小説かもしれない。恋愛小説が嫌いなわけではないが、わざわざ購入してまで読むほどに好きなジャンルでもないのが理由。個人的には手紙のやり取りというのがそもそも好きなので、この本はすんなり入っていけたのかも。
出会いの珍しいシチュエーションに比して、中間のエンキョリレンアイとしてのやり取りはとても丁寧で、誰にでも起こりそうな積み重ねであることに惹き付けられた。そして、通信手段が限られ、離れているからこそ、丁寧にお互いを知っていこうとするやり取りに、胸が苦しいほどの甘酸っぱさと憧れを感じた。顔を会わせていればわかり合えるかというとそうではないのは周知の通り。顔を見られないがゆえというのと、彼らのお互いを信じる気持ちの無垢さと優しい気持ちのやり取りが好きだ。
ラストは第三者の介入から、二人のすれ違いに破綻。今だと連絡手段の発達から、なかなか成立しないすれ違いのような気もするが、それをも超越しそうな不思議な男性なので、いつ読んでもあり得る話のように思う。
ですが、悲しいまま終わらず、ラストは冒頭のような不思議な出会いを再度果たす。年を経た二人が幸せになれるよう祈らずにいられない。素敵な本を読んだなという読後感が残った。