あらすじ
17歳で彗星のごとく文壇デビューした水上青年は直後、筆を折る。秘められた真実──受賞作は盗作だったのだ。やがて営業マンとなった水上は、同期の地味総務・加久田に「大ファン」だと告げられる。何も知らず、無邪気ともいえる加久田の賛辞。水上は自分の忌まわしい過去を愛する加久田に何の因果か惹かれてしまい、肉体を要求していくが…。2人のサラリーマンに降り注ぐ繊細で残酷で美しすぎるラブストーリー。大幅加筆修正。
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17歳で華々しい文壇デビューを飾ったものの、現在は筆を折り、営業として働く水上。総務部で働く同期・加久田から「君の大ファンだ」と告げられて以来、彼に複雑な思いを抱いてきました。過去の自分を通して見つめられることに耐えられなくなった水上は、加久田が「宝物」と愛してやまないデビュー作『地上の陰』に関する秘密と引き換えに、肉体関係を持ちかけます。
メンタルをこじらせたハイスペがめんどくさいけど愛おしすぎる。本作の魅力はこの一言に尽きると思います。盗作でデビューした自分を責め続け、いっそ断罪されたいと願う水上。そうした思いから「過去の自分と重ねて美化されたままでいるよりいっそ蔑まれたい」と、加久田の体を弄ぶように。しかし、対する加久田は純粋無垢な中に強さを持った聖母体質で、水上の壮大な甘えを全て受け止めます。強がってるけど繊細で甘え上手な攻め✕ピュアなのに芯が強くて攻めを丸ごと愛する受け、運命のカップルみがすごくて尊すぎる……。圧倒的な純度で描かれる「恋」の物語であり、水上という一人の人間の救済の物語でもある本作。繊細な感情描写と登場人物間で交わされる赦しの優しさに心が震えます!
デビュー作『なびかないにもほどがある』(芳文社)でその画力とストーリーテラーぶりを見せつけたここのつヒロ先生。交錯しながらも最後には美しく昇華される恋心を紡ぎ上げる手腕はまさに圧巻。甘美な世界観に酔わされて、一気読みしてしまうこと間違いなしです。
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素敵なお話だった〜
リーマン同士。仕事ができる営業の水上と総務の加久田は同期入社。水上は過去、文学作家としてデビューしていたが、いまは筆を置いた。加久田はその作品のファンだった。加久田が救われたと大切に思っている作品は、水上にとって忌まわしい過去で、思いは複雑に絡まっていく。要所要所で桜が効果的に使われていて、文藝の香りがする。それにしても水上の周りには素敵な人が集まるんだなぁ。
匿名
純愛
学生時代のトラウマを乗り越えられた存在の水上君。加久田君にはそれが全てだったけど、水上の小説が実は盗作だった、となってはいたけどよくよく読んでみると、盗作ということでも無いような?どちらも才能はあったけど、まぁお兄さんの方が成功して良かったと言えば良かった。 加久田君と水上君の関係も拗らせつつ最後は幸せになれて良かった。 ここのつヒロさんの作品は、今回出版社セールで初めて読みましたが、全て大好きな作品になりました!新作待ってます!
ハッピーエンドでよかった
お互い距離が縮まっていくにつれて、表情がほどけていく移り変わりが、絵もきれいで良かったです。ハッピーエンドに収まってからスキを隠さない水上さんと、それに振り回される加久田くんが可愛い!
ありふれた感
BLアワードの紹介文に魅せられて買ってみた初作家さんでした。内容はありふれてるものでしたが、絵がきれいなので他の作品も読んでみたくなりました。
作者買い
作者様が大好きです
全部読んでる訳では無いですが、
作者様の中でもなかなかにしっとりな作品です
お兄ちゃんとの確執とか最後吹っ切れたようで良かったです
受けが何かをしたって訳では無いですが、救われていたんですね
そういう関係性大好きです!
良かった
絵がキレイだったので、購入しました。なかなか素直になれない2人。過去にそんな経験ないから分からなかったけど、許されて苦しむ事があるんだなと思いました。最後の小説の一部に泣いてしまいました。
これって一目惚れの話か(*´▽
もう水上くん、加久田くんにほとんど一目惚れの勢いで惹かれていってしまったのね。だから自分の過去の汚点を、ファンで好きだと言われて真っ直ぐに手に入れることができなくなってしまったのね。水上くんは決して悪人では無いから、罪悪感の塊だから。でもお互いの思いを打ち明けあった2人は過去の罪悪感も乗り越えさせてちゃんと大団円!ハピエン良かったw