あらすじ
なぜ長期停滞を余儀なくされるのか。なぜ経済学の理論が通用しないのか。
縮小する日本、停滞する世界を救う全く新しい経済理論。
バーナンキやサマーズらが激賞、世界的エコノミストによる緊急提言書。
【絶賛の声、続々!】
「リチャード・クー氏は過去20年間の景気循環に対して最もすぐれたアイデアを持っている。本書はその視点を様々な経済分野の長期的な課題へ応用したものだ。先進国がこれからも持続的な力強い経済成長を達成できるかどうか不安に感じる人々にとって、大いに参考になる」
――ローレンス・サマーズ(元米財務長官)
「リチャード・クー氏は、グローバル経済の危機を正確に解明する画期的な枠組みを発見したという点で、現代の最も注目されるエコノミストである。彼の発見が革命的であるのは、これまでの経済理論を根底から覆しただけでなく、それを完成させたからである。政策立案者がこの傑出した本のエッセンスを理解し、直ちに行動に移るならば、私たちの生活は直ちに安定し安心できるものになるだろう」
――リチャード・ダンカン(『ドルの危機』の著者)
「本書は、今世紀に入ってから現在までの経済学の優れた書籍として、ピケティの『21世紀の資本』と並び称される存在になるだろう」
――エドワード・フルブルック(世界経済学会の創設者)
「グローバル化に強い興味を持つ人なら誰でも一読して欲しい本だ。洞察力、分析力、独創性、政策論争の醍醐味、それに著者の人間的魅力を同時に味わうことができる」
――ジェフリー・ガーテン(イェール大学経営大学院学部長兼名誉教授)
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Posted by ブクログ
600ページ超の大著だけど、それを感じさせない読みやすさだった。一読を進めたい良書。
【以下ネタバレあり】
民間部門が利潤最大化を目指していることを前提とした今の経済分析・政策論議は誤りであり、人々が債務最小化を行なっている現状を踏まえた議論が必要だ。
本書の主張を一言に要約すると、以上のようになる。
2008年の世界金融危機(GFC)や、日本におけるバブル崩壊よりも前の経済は、資金の借り手が豊富で、物価面ではインフレ体質だったので、金融政策が有効だった。
しかし、GFC・バブル崩壊以後はバランスシート不況になっており、政府が「最後の借り手」として減少した民間部門の資金需要を補わなければならない。
また、先進国では、自国よりも新興国の資本収益率が高い状態となっているため、企業は国内ではなく海外での投資を小なうようになっていることも、国内での資金需要減少に拍車をかけている。
「追われる国」が直面する、バランスシート不況と資本収益率の低迷という問題に対しては、財政政策で前者に対処しながら、構造改革で後者を解決するのが望ましい政策だ。しかし、日欧では財政健全化のプレッシャーが財政政策を困難位にしている。
本書のこうした主張は、既存の経済学や、今の政策のあり方に疑問を投げかけるもので、説得力も感じられ、とても興味深かった。こうした挑戦的な主張をするには、勇気もいることだろう。
本当に財政政策を拡大させて良いものなのか、素人の僕にはよくわからないけど、それを脇においても、良い本だった。
少し気になるのは、なんとなく主張が強引に感じられる箇所もあることと、同じような内容が何度も何度も繰り返されること。
後者については、重複を排除すれば50Pくらいはページ数が減るかもしれないと思う一方で、これだけ丁寧に主張を繰り返してくれるので、筆者の主張したいことがわかりやすいので、むしろ良い方向に作用していると思う。
Posted by ブクログ
MMT現代貨幣理論入門を読んでいたので、本書はとても興味深い内容が盛りだくさんでした。、
どこかのお偉いさんが構築した学派・技術というのが、必ずしも世の真理ではなりということ。
特に経済学のように「人間の心理行動に影響を受ける」若い学派は、完全に信じきってはいけない。常に新しい学びと改善が必要だということが判った。
例えば経済学の基本として、民間企業は利益の最大化を目指して行動する。
だから金融正確で金利を下げれば、民間は資金調達(債務)して利益の最大化を測るという考えが根底にあります。しかし、先進国のほとんどがゼロ金利&量的緩和を行っても、資金調達は増えなかった。
なぜなら既存の経済学の対応方法は資本収益の向上とバランスシート不況を区別されておらず、金融政策は後者には効かないというのが著者の主張である。
日本や欧州はバランスシート不況なので、金融政策では財政政策が必要とされています。
つまり借金に苦しんだ民間は、どれだけ低金利で金を貸してくれるといっても借りようとしないということ。
米国が過去20年に大きな経済成長を成し遂げたのも、民間努力以上に適切な国家政策が功を成したと考えるのが正しく、その国家の舵取りがいつまでも続くかは不明っぽいですね。
追われる側となった立場の国がとるべく政策に関しては、著者の問題提起・分析は腑に落ちるものの、対応案がはたして正しいのかは判らなかった。
しかし既存の経済学では説明できない資本自由化の流れから発生した保護主義誕生の仕組みも、幅広く網羅された一冊でした。
かなり殴り書きのレビューになってしまった(笑)