あらすじ
■国民文化・組織文化研究の世界的権威が生み出したフレームワークによる多様性マネジメントの実践書
組織心理学・人類学の教授で、「文化と経営の父」と呼ばれるヘールト・ホフステード博士が考案した「6次元モデル」は異文化間だけでなく、多様な国籍や性格の人材間コミュニケーションの問題を解決するフレームワークです。
本書では、職場でコミュニケーション問題を抱えている経営者・管理職の方を対象に、「ホフステードの6次元モデル」を用いながら、その対応策を紹介します。
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【本書の目次】
第1章 CQ(文化の知能指数)とは
「強さ」を求めて「強み」を失う
文化を数値化した学者 ヘールト・ホフステード博士
文化が経営に与える影響
文化とは何か
文化の構造(玉ねぎ型モデル)
カルチャーショックと異文化対応カーブ
変革が難しい国民文化、変革可能な組織文化
CQ:多様性のなかを生きるために必要な能力
語学力と経験だけで異文化理解を語ることの危険性
他人のメガネをかけて物を見ることの重要性
コラム1マグリブの商人とジェノバの商人
第2章 多様な文化を理解するフレームワーク「ホフステードの6次元モデル」
イタリアにおける掃除へのこだわり
ホフステードの6次元モデル
第1の次元 権力格差(PDI:Power Distance)
影響力の使い方 日本のミドル・パワーをどう活かすか
第2の次元 集団主義/個人主義(IDV:Individualism)
日本人は集団主義か
第3の次元 女性性/男性性(MAS:Masculimity)
日本人は「極める」目的は達成すべきものか、それとも?
第4の次元 不確実性の回避(UAI:Uncertainty Avoidance)
日本人は「枠組み」が好き? 未知の出来事への対処法
第5の次元 短期志向/長期志向(LTO:Short vs Long Term Orientation)
木を見ず、森を見る日本人
第6の次元 人生の楽しみ方(IVR:Indulgence vs Restraint)
幸福感が決める社会のあり方 幸福感が日本の少子化を止めるか
コラム2 中国におけるビジネス成功のカギ「グワンシ(関係)」
~権力格差大/集団主義の社会的ネットワーク~
第3章 事例で見る6次元モデルの分析
ホフステードの6次元モデルで読み解くビジネスにおけるチャレンジ
事例1 日米M&Aプロジェクト(アメリカ)
事例2 ある駐在員の憂鬱(オーストラリア)
事例3 大学留学先でのチーム・プロジェクト(ドイツ・中国)
事例4 マレーシア人 シャリファの葛藤(マレーシア)
コラム3 サッカーに見る文明の衝突
第4章 6つのメンタルイメージとマインドセット
国によって異なる暗黙の組織モデルと調整機能
6つのメンタルイメージ(文化圏)
文化圏別リーダーの課題
6つのメンタルイメージの「型」を知る
メンタルイメージ1 コンテスト
メンタルイメージ2 ネットワーク
メンタルイメージ3 油の効いた機械
メンタルイメージ4 人間のピラミッド
メンタルイメージ5 太陽系
メンタルイメージ6 家族
日本:7つめのメンタルイメージ
築地市場に見る職人集団
男性性と不確実性回避の高さの組み合わせ
日本のイノベーション課題の是非
強みは弱みにもなる
コラム4 イノベーションが起きない組織の仕組み
第5章 CQを高めるための実践法
CQを高めるステップ
CQを高めるのに有効な手法:アウェアネス(気づき)
CQの高い組織
多様性を包括する「組織」:ベルギー・メヘレン市の取り組み
コラム5 映画で学ぶ異文化理解
特別インタビュー ホフステード博士との対談
国民文化の研究の始まり
IBMを離れ、国民文化の研究に集中
文化の視点で見る「言語の壁」とは
ビジネスの世界は過度に米国の影響を受けている
日本人の異文化対応力を上げるために
付録世界101ヵ国別「6次元の価値観スコア」
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
本書『経営戦略としての異文化適応力』は、単に「異文化理解を深めよう」という趣旨を超えて、「文化という目に見えにくい構造を理解し、組織・現場・経営に活かすための体系的なフレームワークと実践法」が整理された一冊です。
特にグローバル化・多様化が進む今日、企業が文化面でのギャップ・摩擦・理解不足による機会損失を避け、むしろ多様性を活かして競争優位を築く上で有効な視座を与えています。
Posted by ブクログ
ホフステード指数という指標をつい最近知り、それがキッカケで出会った本。
この本は、オランダの社会心理学者へールト・ホフステードさんが書いた本を日本語訳にした訳ではなく、ホフステードさんに指数の意味や考え方等いろいろ教わった日本人2人の共著になっている。
なので、ただ日本語訳されたやつとは違って読みやすい。
この本を読んで、コミュニケーションのトライアル&エラーを繰り返して、成功を見つけていくのが重要だと感じた。
また、国民性をひとつの指標から見ていくのではなく、複数の指標を組み合わせてこそ、その国々の独自の国民性が見えてくるんだということをこの本から学んだ。
Posted by ブクログ
海外の方とビジネスをする時に考え方や文化の違いがあり、その影響で仕事の取り組み方などが違うのがよくわかった。この内容を知らないのと知っておくのでは、これからのビジネスに大きな違いが出そうだ。途中、読み進めるのがしんどい部分がいくつかあったが読んで良かった。
Posted by ブクログ
読みやすく、理解しやすい本でした。日本以外の異文化に触れる際には知っておくべきだと思うし、日本についての理解も深まります。理論だけでなく現場での例がふんだんにあるので納得感があります。「CQを高めるためのステップ」が最後に書かれているのも実践的。実際にやってみないとわからないことは多いと思うものの、先に知っておくだけで異文化から受けるダメージはかなり軽減されるのではないかと思う。
Posted by ブクログ
ホフステードの6次元モデルを事例とともに紹介し、ビジネスの現場における暗黙的な組織モデルとしての6つのメンタルイメージの説明を行なっている。
それぞれの次元自体は理解しやすいので、それらの事例を紹介していることに価値を感じる。
本文でも何度か述べられているようにあくまでもこれらの6次元は傾向であり個人によって異なるというのは当たり前だが、傾向を型として知っておくことで未知に対する準備や心構えができる。また、自分もそういう傾向を持った1人であるという自覚も生まれる。
Posted by ブクログ
エリン・メイヤーさんの「異文化理解力」に続いて読みました。
ホフステードの6次元モデル、勉強になりました!
全世界的に見ると、日本が中央あたりに位置している次元もあります。
ただし、先進国の括り、もしくはアジアの括りで見ると極端な位置にあることが印象的です。
示唆に富んでおり、自分の経験と照らしていろいろ考えさせられます。
おすすめの一冊!
Posted by ブクログ
『異文化理解力』を読んで、ホフステードの名前は知っていたけど、読むに至らず。
そんなところへこの本を知り、手に取る。
翻訳ではないのもあり、読みやすくかった。
異文化理解力で示された8つの領域と異なるから、このふたつの本のエッセンスを共有するのはちとこんがらがる感じもするけど、だいたい同じことを言っている。
こっちは6つの次元(権力格差、集団主義/個人主義、女性性/男性性、不確実性の回避、短期志向/長期志向、人生の楽しみ方)。
そして、いま一番刺さったのは、「生産性向上に繋がらない社内への気遣いをしている時間はない」という一言。僕の中では、きれいなパワポが典型かな。。。お絵描き下手だから。パワポがきれいじゃないと動かないとかがない組織をつくれば、格段にスピードあがる。
以下、備忘。
・組織づくり、運営時の検討項目
①誰が何を決定する権力をもつか
②目標達成のために従う必要のある規則や手続きは何か
・権力格差と不確実性、ミンツバーグの組織調整メカニズムの組み合わせ
①良き上司による直接監督と標準化
②標準化
③相互調整
④良き上司による直接監督
・6つのメンタルイメージ
・6次元の価値観スコア(国別)
Posted by ブクログ
2008年の他著から引用ではありますが、「多くの日本人は『自分自身は集団主義的な考え方をしていないが、周りの人たちは集団主義的な考え方の持ち主である』と思っていることがわかりました。」は非常に優れた指摘。
Posted by ブクログ
経営学とか、心理学とかのツールのほとんどはアメリカ生まれ。
「人間の種としてのDNAは共通なので、どんな国でも機能する」と主張するツールもなかにはあるのだが、本当だろうか?
「なんだか、アメリカンなツールなんだけど、日本にあわせて調整したほうがいいのだろうか?中途半端な調整はツールの本来のパワーを削いでしまうのではないだろうか?」というのは、よく悩むところ。
この悩みの解決に体系的にアプローチするヒントを与えてくれるのが、ホフステードの6次元モデルで、国ごとの価値観の相違を定量化したもの。
国によって文化や価値観の違いがあって、それが人の考え方や行動に影響を与えるというのは、当たり前のことなのだが(この当たり前のことが無視されることが結構多い)、定性情報の最たるものといえる文化を定量化するというのは、かなり非常識なことに思える。
そういうわけで、正直、最初は、懐疑的だったのだが、ホフステードの「多文化世界」を読んで、すっかり感服してしまった。そんなに海外経験があるわけではないのだが、以前からなんとなく感じていた文化の差が次から次に定量的に説明できてしまう不思議さ。
そして、「しかし、こういう観点もあるんじゃないか?」とか、「○○の本で書いてあったこととこれは整合するのかな?」などと疑問を浮かぶと、すかさずそういう疑問に対する解明がされたり、先行する研究との整合性の検証がでてくる。
というわけで、ホフステードのモデルには、すっかり、まいったという次第。
そんな素晴らしいホフステードモデルなのだが、「多文化世界」は、分厚いし、膨大な情報量があって、モデルを使いこなすには、相当の難しさがあるを感じていた。
そういうなかで、でてきたのが、ホフステード・モデルの実践における日本における第一人者によるこの本。
ホフステードとその弟子(?)たちの膨大な研究を豊富な事例を交えながら、日本とビジネスという観点から分かりやすくまとめ直している。
また、国民文化の議論を組織に展開するときに便利な6つのメンタルイメージの解説も丁寧に紹介されているし、CQを高めるためのトレーニングの方法も入っている。
ビジネスの現場でのさまざまな「あるある」な事例を踏まえての解説は、まさに現場の実践を通じて生み出されたものだと思う。
「学術」的な「多文化世界」が、この本によって、まさに実践的な知恵に転換されたという感慨がある。
説明はとてもわかりやすいのだが、ホフステードのモデルがステレオタイプ的な理解にならないよう細やかな配慮も行き届いている。
最後にホフステードのインタビューが掲載されていて、「文化も次元も、現実には存在しないものです。・・・研究で提唱したモデルは文化を読み解くためのツールにすぎません。大事なことは『あなたが生まれ育った場所が、あなたの基本的なモノの考え方や視点に影響を与える』という事実から、目をそむけないことです」という言葉には共感した。
私自身の仕事は、ドメスティックで、この本に書いてあるグローバルなビジネスシーンでのコミュニケーション力のアップというのは、切実な課題ではないのだが、それでも、日本の文化、そして自分自身を理解するのに、とても意味深い本であった。
グローバルな仕事と縁が遠いと思う人も、ぜひ、読んでほしい。
Posted by ブクログ
本書のテーマであるCQとは『多様な文化に適応できる能力』と定義されており、グローバル化が加速する今日では、IQとEQと同様に必要とされる能力と定義されております。
書籍ではホフステード博士が提唱した6次元モデルを基に、異文化理解に対する知識を深耕することができます。
6次元モデルでは、国の文化要素を数値化しその社会の傾向値を客観的に見ることができます。抽象度の高い文化という概念を誰もが客観的に比較できる数値に落とす試みはとても斬新です。
正直、私の経験からの思う推測値と若干ズレがあります。本書が指摘するように、この数値はあくまで国という社会における文化の価値観の違いであって、個別の人間の違いではないということでしょう。
ただ、この数値や要素も時代に合わせてアップデートしていく必要があると感じました。日本でも世代によって価値観が大きく異なるように、世界も大きく変わっているは間違いないでしょう。
人間同士だから文化の違いは関係ない、という美しい誤解をしている方にこそ是非読んでいただきたいです。
◯メモ
人々の考え方は様々に異なるが、その背景には一貫した構造が存在しており、その存在を理解すれば、相互理解の基礎が得られる。
求めらるリーダーシップの形が国によって異なる以上、求められる組織の形も制度も、文化的な差異を踏まえた物にカスタマイズする必要がる。
海外体験の有無と、異文化適応力には相関関係がない。
世界中の大学やビジネススクールで教えられている経営理論は主にアングロサクソンが考え出した物。どこでも通じるものと考えると危険。経営理論を他国で機能させるには、どのような社会で発展し、応用されてきたかをとう姿勢が大事。
国民文化は10歳までに無意識に身に着ける価値観。
Posted by ブクログ
CQ 文化の知能指数
ホフステード6次元モデル 日本/アメリカ
1.権力格差 :中庸/低め
2.集団主義/個人主義:中庸/個人
3.女性性/男性性 :圧倒的男性性/男性性高め
4.不確実性の回避 :枠組みで回避/非回避
5.短期志向/長期志向:不屈で長期/短期
6.人生の楽しみ方 :中庸/非抑制で誇張
情報コミュニケーション技術
アメリカという個人主義社会で生まれる
個人の能力を拡張する道具
職務が人間関係より優先
集団主義
プライベートな質問で相手との距離感を縮め、
答え方で信頼できるかを見極める
不確実性の回避の低さ
規則がなくても問題は解決できる考え
失敗多いがスピード感
日本
日々のオペレーションまで気を配る高い回避性(組織改革困難原因)
決断より承認
個人主義かつ仕事への熱意低さ
勝ち馬企業で働くことがモチベーション
職人気質
会議は情報共有の場
責任は個人よりチーム
失敗を恐れる
職務領域あいまい
全てのステークホルダへの承認で意思形成
アメリカ
職務範囲と責任は個人に
会議は意思決定の場、権限のなき人は入れない
仮設で取り組み、修正
短期志向で効率的に
「自分たちが正しい」という思い込みを捨てて俯瞰する。