あらすじ
無知であれ、弱者であれ。無力を知ってこそ、自由に生きることができる。「無知無欲であれ、無為であれ」「足るを知るものは富む」孔子の『論語』が儒教の根底思想として親しまれてきたのに対し、『老子』は道家の神髄を説いて人々に寄り添ってきた。ともに2500年以上の歴史の検証に耐えてきた思想書である。自己研鑽し、学問を通して知識を増やすことは、かえって人間を不幸にする。現代も推奨される「勝ち残り」社会を強く否定する老子の思想は、いつの時代にも人々の心を癒し、そして弱者を鼓舞してきた。格差が広がり、人々の価値観が揺らぐ現代にこそ、老子の思想が必要とされている。本書では全文の現代語訳、書き下し文、原文に加え、【一文超訳】を掲載。テーマは何か、主旨は何かが一目で把握でき、格言のように心に刻まれるので、「老子」の理解が飛躍的に向上する。また、主要な人名や語句には懇切丁寧な注釈を入れた、現代の完全版である。【一文超訳の一例】「無心のすすめ(空っぽの心を守る)」「私利私欲のない無私の人は、自分を貫ける」「無用には大きなはたらきがある」「少なければ得られ、多ければ迷う」「盛んになれば、早く衰える(だめになる)」「先に与え続けておけば、いずれ得られる」「大国を治めるのは小魚を煮るようにするとよい」「本当に立派な人間は愚か者に見える」
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Posted by ブクログ
老子関連の初読としてとっつきやすい。はじめの一冊に。
備忘録
・玄徳(奥深い本当の徳)のすすめ。物を生み出し、養い、それを自分のものとせず、恩恵を施しても見返りは求めず、長となっても支配し威張ったりしない。
・成功し偉そうな顔をしていると、いずれ身を滅ぼす。財産や地位が家いっぱいにあり続けると、やり切れるものではなくなる。仕事をやり遂げたら身を退ける。
・贅沢、刺激を追うとおかしくなる。聖人は人々の腹をいっぱいにすることに努め、生活を重んじ、贅沢・刺激的なことでごまかさない。華美や派手を捨て、基本の生活を重視する。
・欲望への執着より、自分の身を大切に。自分を大切にしてるからこそ、天下を預けられる。
・欲望に従いことを成していけば、一生救われない。目、耳、鼻、口等の穴を塞ぎ、欲望の元となる外的情報の入口を閉じれば、一生疲れることはない。
・本当の知者はあれこれよく話さない。全てのもつれを解きほぐし、和らげ、塵と一つになる(玄同)
・道とは?無の世界・万物の始源。古い昔からのもの。道を保っている人は満ちていっぱいになることを望まない。濁りを合わせ飲み澄ましてゆけ、安定を動かしてモノを段々生み出せる。よって、ダメになってもまた新たに物事を成せる。