あらすじ
※この作品は固定レイアウト版です。
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“ものづくり”でいかにして立ち上がったか。
東日本大震災後、東北各地でものづくりによる復興プロジェクトが数多く立ち上がりました。その後、目の前の課題を解決するための試行錯誤を経て、しだいに復興という目的を超え、地域ビジネスに成長したプロジェクトも登場しています。その成長のプロセスには、人口減少、少子高齢化、産業の衰退など、いま全国の地方が直面する課題解決へのヒントもちりばめられています。
そうしたプロジェクトを現在までに80件以上取材し、成り立ちから作り手たちの思い、完成した商品までを丁寧に紹介してきたウェブサイト「東北マニュファクチュール・ストーリー」に掲載されたものづくりの物語から、21話を厳選し、アップデートして一冊の本にまとめました。
なぜ“ものづくり”だったのか。たくさんのものを失った人たちが、手を動かし、ものをつくることにより、いかにして仕事や収入、生きがい、仲間、新しい居場所を見つけ、立ち上がっていったのか──震災から8年となるいまだからこそ、たくさんの人に知ってほしい物語です。
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Posted by ブクログ
単純に金銭を援助するのではなく、職を作って被災者が自立して生活する仕組みを作るという支援の仕方。職ができるということは収入ができるだけではなく、作業に集中することが癒しになったり、社会とつながっているという実感が得られたりするという、精神的な効果が大きいことがわかりました。
作品の写真がたくさん載せられていましたが、どれも可愛い!欲しい!となるものばかりでした。単なるチャリティとしてではなく、本当にいいものを作りたいという職人魂みたいなものを感じてすごいなって思いました。
Posted by ブクログ
震災直後の話ばかりを読むと、あらためて津波被害のすさまじさを実感する一方で、気持ちは滅入ってくるばかりなので、そろそろ復興の話を読みたいと思って読んでみた。結果、いろいろ学びがあり、かつ心温まったので正解だったなと思う。
この本の最後のほうにも「なぜ震災後に多くのものづくりプロジェクトが始まったのか」が書かれているが、他の本もいろいろ読むと、やはり避難生活でやることがないという状況が人を駄目にするからだということなんだろう。本書の記載を借りれば「ものづくりのもつ作業療法的な側面」である。かつ、「物理的な理由」ということで大きな機械等が必要ない手作りモノに行き着いたということなんだろう。
本書には多くは語られないが、これを精神的支柱的なコミュニティ形成とするのか、しっかり稼ぐためのビジネスとするのかは大きな課題だと思う。どの団体だったか忘れたが、その課題を乗り切るために「団体を2つに分けた」という道をとったものもあった。手作りということはそれで稼ごうと思えばかなりの金額で売ることになるので(その好例が気仙沼ニッティングなのだろう)それはそれで難しい。
それから、この感覚はリタイアしたサラリーマンに当てはめられないものかと思った。手持ち無沙汰になったリタイア層に、そこまで稼げるわけではないがよい時間つぶし&小遣い稼ぎになりそう。なかなかそういう動きが生まれないのは、男女の違いなのだろうか。
Posted by ブクログ
新藤悦子さんの作品には、ものづくりがいかに人を励ますかというモチーフがどの作品にも表れている。そこでふと思い出したのが、東日本大震災で女性たちがものづくりに取り組んだ話。ほぼ日の気仙沼ニッティングなどが有名かなと思うが、ほかにもたくさん、そういうエピソードが新聞などで取り上げられていた記憶がある。この本はそうした取り組みをまとめて(もとはウェブ連載だったよう)紹介している。新聞記事だと、紙幅の関係か記者の視点かはわからないが、個性をあまり感じられず、「東北各地の似たような取り組み」の紹介みたいな感じに受け取りがちだったのだけど、この本の各地のものづくりエピソードは、確かに似たようなことを各地でやっているが、ひとつひとつに活動している人たちの思いがしっかりこもっているため、どの地域のどの話にも引き込まれる。最初は途中で飽きてしまうかと思ったけど、最後まで読んでも飽きなかった。
これを読むと、ものづくりがいかに女性たち(ほとんど女性の話)を励ましてきたかが、よくわかる。「ちょっといい話」「感動エピソード」どころではない、生きる意味を教えてくれるくらい、大事なことが書いてあって、心に残る言葉もたくさん。
「自分のつくったものが、誰かにとってかけがえのないものとして大事にされること。」(p.36)。
「手を動かしてものをつくることには、人の心を癒して前向きにする力がある」(p.50)
「メンバーの中に醸成されていったのは、「活動を通して培ってきた布ぞうりづくりの技術やコミュニティづくりのノウハウ・経験を、社会に還元していきたい」という想い」(p.90)
よそ者を受け入れなかった土地を変えていく(変わっていく)、デザインの力を痛感する、オクトパス君を手がけたダジャレ好きの方の決意や、蚕が次世代に汚れを残さないという話、いろいろと印象的なエピソードもたくさん。つくられた美しい「もの」たちの写真も、説得力がある。
ただ、この本の出版が2019年。それから7年が経って、こうした活動が今どうなっているのか、いつもならすぐにネットで調べるのだけど、今回はちょっと怖くて、まだ調べていない。今も続いていたら嬉しいし、ますます発展していたら尊敬するし、前向きに発展的解消を遂げているのも良し。そんなことを頭の中で妄想しながら、この本で息づいているものづくりの数々を反芻している。