あらすじ
「俺がいなければ、この人の肩が濡れることはなかったのに」
高校への進学を機に、おじさんの家に居候することになった直達。
だが最寄の駅に迎えにきたのは見知らぬ大人の女性の榊さん。
案内された家の住人は26歳OLの榊さんと
なぜかマンガ家になっていたおじさんの他にも
女装の占い師、メガネの大学教授と
いずれも曲者揃いの様子。
ここに高校1年生の直達を加えた男女5人での
一つ屋根の下、奇妙な共同生活が始まったのだが、
直達と榊さんとの間には思いもよらぬ因縁が……。
久しぶりに始動した田島列島が自然体で描くのは
家族のもとを離れて始まる、家族の物語。
「この人がいちばん怒っているのは自分自身になのかもしれない」 10年前、父が榊さんの母とW不倫の関係にあった。事実を知った直達はどうすべきか悩むが、一方の榊さんは余計な波風が立つことを嫌い何もなかったことにしたいと望む。事情を知るのは同級生の泉谷さんと同居人の教授、ニゲミチ先生、そして直達の父。静かな緊張感の中で共同生活を送る直達と榊さんの二人は次第に10年前の事件、そして今の自分に向き合い始める。
前作『子供はわかってあげない』で鮮烈デビューを果たした田島列島、
待望の新作!
前作以上の盛り上がりと言いますか、巷での絶賛ぶりに
正直、若干あまのじゃくな気持ちを抱きつつ読みました。
読み終わった今、
あまのじゃくだった自分を殴りたい気持ちしかないです。
個性豊かな住人たちとのボロアパートでの暮らし、
というめちゃくちゃ王道なシチュエーションに
訳アリ臭プンプンな年上のお姉さんに淡い想いを抱く主人公、
そしてエキセントリックで可愛い女装キャラ…
ファンを惹きつけてやまない小ネタにも
さらに磨きがかかっています。
内緒にしていたことがうまく内緒にできていなかったり、
言わなきゃいけないことをいつまでも言えてなかったりする
ちょっと間抜けで可愛い人々が
これからどう変わっていくのでしょうか。
謎めいたタイトルも気になります!
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
3巻まで読んだけれど、消化しきれないので読み返す。再読の度に新たな発見のある本に出会えることは、うれしい。
たとえば、泉谷さんの「今グレてるのは 誰に甘えてるの?」という直達への問いかけ。答えはやっぱり榊さんだろう。1巻では「俺よりひどい目に遭った榊さんがマトモに生きてる以上 俺がグレるワケにいかない」と言ってたのに、今度は「榊さんがマトモに生きてない以上 俺がまともに生きなきゃなんない理由はないよ」とか呟いてるのだから。
榊さんが「マトモに生きてない」ことに気づき始めた2巻の直達は、榊さんの荷物を「半分持つ」ために、不器用ながらも榊さんにわがままを言い出すようになる。つまり、今までいい子だった直達が、榊さんには甘えられるようになる。
素敵だなと思ったのは、マトモではなくても一生懸命生きてきた榊さんが、そんな直達を完全には突き放さなかったこと。完全に突き放してたら、飲み屋に誘ったり、「怒って大丈夫だよ」と励ましたり、ついには一緒に早朝から遠出したりはしない。この積み重ねの結果として、3巻では榊さんにも大きな転機が訪れる。直達も、榊さんにもっと本音を言えるようになる。
この話の主旋律は、榊さんの止まった時計が動き出すプロセスなのだろうけれど、決して直達→榊さんという一方通行の関係だけが描かれているのではない。直達と榊さんとがお互いに相手を直視しようとするなかで、自分自身の心の置き場を得られるようになり、2人の関係性も変化していく。この過程に、心を打たれる。2人を見守る教授やニゲミチ先生も温かい。そして、胸ぐらをつかんでしまうくらい直達のことを想う泉谷さんの直向きさも、初読時より一層眩しく感じられた。
Posted by ブクログ
直達君の父親むかつく。奥さんも子どもも傷つけておいて、自分はいい人でいたいみたいで。もっと怒りをぶつけられる存在でいなきゃダメじゃん。
榊さんの母親もふざけんな。嫌いで出ていったんじゃない?なに言ってんの。
とにかく2人には幸せになって欲しいわ。
あと、楓ちゃんかわいい。
Posted by ブクログ
榊の荷物を半分持ちたいと思う主人公
恋愛をしないと決めている榊を模倣し、自分も恋愛をしないと決める
それを知り苦しむ主人公に恋心を抱く泉谷
主人公の父が責任を感じ、榊の母を探偵に探させ発見する
主人公と榊で彼女を怒りに行こうとするが、平和そうに暮らすのをみて躊躇する
Posted by ブクログ
映画版でも好きだった楓ちゃんの告白シーン。
他人のために動いているようで、結局は自分のための行動になっているのを見るのはつらいんだけど、自戒になる。
相変わらず小ネタは面白い。
「王蟲の子供でもいるのか?」/「中華は人数!」/「ハズキルーペの上に座ったときの声出てたよ」/「忘れたいことも全然忘れてない」/「TOP OF BARIZOGON」/「私は直達くんみたいに清濁併せ呑めなかったもん」/「この人がいちばん怒っているのは自分自身になのかもしれない」/「目の前の女に優しくすんのはねェ あのおっさんのサガよォ」/「なんであのおっさんの罪悪感を軽くするために わざわざ会いに行かなきゃなんねェのヨ」/「熊沢くんは 本当は 誰に 何を してもらいたかったの?」/「あー 俺ずっと 怒りたかったんだな……」誰に?何を?どうして?