あらすじ
この本で紹介するケースは、けっして他人事ではありません。「赤ちゃんを強く揺さぶって傷害を負わせた」として逮捕された親たち。しかし、つかまり立ちからの転倒などが原因であっても「虐待」だとして断罪されていたのです。最愛の我が子が脳に障害を負うという苦しみのなか、虐待を疑われた親たちの過酷な体験を描きつつ、欧米では虐待の根拠にはなっていない「揺さぶられっ子症候群」について専門家の視点を交えて究明します。
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Posted by ブクログ
すばらしい仕事。
不運な事故で子どもが頭部に怪我をしたにもかかわらず、親が虐待の疑いをかけられ、有罪とされる。行政により親と子が引き離される。だが、根拠となるSBS(揺さぶられっ子症候群)理論は医学的根拠が乏しく、欧米ではただの仮説として批判されているという。
有罪率が極端に高い日本の刑事司法と、虐待許さない!という関係者の道徳感情が結びついて、多くの冤罪被害者が、検察と医師によって作られる。あまりに不合理な状況。
最近はようやく見直されてきて、厚労省のマニュアルも改訂されたらしい。本書で紹介された冤罪被害者も、何人かは無罪となった。著者の一連の啓発活動が役立ったのかもしれない。