あらすじ
車椅子に坐ったままの富豪の老婆の家に、住み込みで雇われていた沼手多佳子は、老婆の死後、その全財産を遺贈された。幼い時母を殺された多佳子にとって、それは夢のようなことだったが……という日本推理作家協会賞授賞の名作「赤い猫」のほか、「白い部屋」「青い香炉」など、明るく生き生きとした6編の珠玉の傑作ミステリー小説集。車椅子の老婆から贈られた、莫大な遺産に秘められた秘密とは?
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Posted by ブクログ
ミステリー短編集。奇をてらわず安定した落ち着いた面白さでした。仁木兄妹もちらりと登場してて、思わずにやり。表題作「赤い猫」の二人の関係がとてもよかったです。
Posted by ブクログ
この作家の描く推理小説は、登場人物に愛着が持てる気がします。だから読みやすくも感じる。本書の内容は、老婆とメイドが遭遇する泥棒探しと、過去にメイドの母親が殺された事件の犯人探しの推理小説仕立てになっています。
仁木悦子氏の作品を読んだことの無い人は、この本から入ってみてはどうでしょうか??
Posted by ブクログ
仁木悦子さんのミステリはこれまで読んだことは無かったが、面白かった。
昭和の雰囲気がする、ゆったりとした読み心地で、気負いなく読める。
本作には「赤い猫」「白い部屋」「青い香炉」「子をとろ 子とろ」「うさぎさんは病気」「乳色の朝」の六編が収録されている。
表題作「赤い猫」は、富豪の老婦人の館に住み込みで働くことになった女性の過去の事件の話。主人公の多佳子が仕える老婦人・郁(いく)の安楽椅子探偵ぶりが良かった。多佳子の母が殺された事件の真相を解き明かす鮮やかさも、その後の多佳子との意外なつながりも気持ちよく読めた。
他に、別の本で仁木兄妹シリーズの妹として活躍する仁木悦子さんが、結婚して浅田悦子さんとして登場している話がある。「子をとろ 子とろ」「うさぎさんは病気」の二編だ。
どちらも、殺人は起こるけれど仰々しくなく、昭和の町のご近所の暮らしが描かれていて楽しい。