あらすじ
伊豆諸島の「神の出島」でミイラ化した女性の遺体が発見され、警視庁から岩楯警部補が派遣された。首吊りの痕跡から、解剖医は自殺と断定。死亡推定月日は3ヵ月以上前とされた。第一発見者によれば、島のハスキー犬がミイラを引きずってきたらしい。遅れて島に入った法医昆虫学者・赤堀涼子が、事前に解析した微物と、現場周辺を調べて出した結論は……。
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Posted by ブクログ
2020/3/4
このシリーズもはや中毒。
お気に入りのシリーズはゆっくり大事に読む主義なのに止められなくてすぐ次を読んでしまう。
そしてその間隔がだんだん短くなってる。
今回は外来種の凶暴なアリ。グロさは控えめ。危険度は高め。
おなじみのウジ君たちが出てこなくて寂しかったりする。
岩楯さんが後輩の相棒を背中で諭すとこがめっちゃかっこいい。
今回の相棒はついにダメな人かと思いきや最終的に良さを引き出して彼の未来も楽しみになった。
ワニくんがちょこっと出てきたのも得した気分。
幼稚園のキモい女に罰が当たるとこが見られなかった。残念。
記者とか犯人とか幼稚園の女とか、何の同情の余地もないクズが出てくるのも特徴かな。
いるもんね、クズ。残念ながら。
本を閉じた瞬間から次が読みたくなる。
もう読んでしまおう。そしてもう1回頭から読み返そう。手配。
Posted by ブクログ
シリーズ5作目。こう言ってはなんだけど毎回、特に何か派手な事があるわけじゃなくて、お決まりのようにヒロインの赤堀先生が命の危険に晒される場面があったりするのは水戸黄門チックだったりもするけど、派手さはなくとも堅実な筆ぶりの人情派ミステリーだと思う。
この後、赤堀先生が何故あの過酷な道を歩んでいるのか描かれるお話が読めるのか。それともそこは描かれないまま進むのかなあ。気になる。
Posted by ブクログ
法医昆虫学捜査官シリーズ第5弾(*´▽`*)
今度の虫はアカカミアリだぞ、ウジ虫も食べられた
ので、今回は遺体が変な状態になっています(ネタバレ)
段々赤堀信望者が岩槍の相棒以外にも増えてきた
伊豆諸島神ノ出島にミイラ化遺体が発見されたが自
殺と断定?
事件性云々は兎も角「虫の状態が想定じゃない」と
いう大問題(笑)に動かされ赤堀は島に渡り、殺人事
件以上の日本へのキケンに気が付く
何時もの事ですが赤堀さん、死にかけます(定期)
Posted by ブクログ
好きで好きで仕方ないこのシリーズ。存在を数年前まで知らなかったおかげで既刊の7巻を大人買いしたから、まだ続けて読めると思うと嬉しい。
本巻の単行本が出版されたのは2016年で、主役はいつものウジより遙かに目立つ、世にも恐ろしいアカカミアリ。当時日本では硫黄島や沖縄島などでしか見られなかったこのアリが、本巻発行の数年後に東京や神戸の港でも発見されたらしく、先取りしているのも凄い。
今までの岩楯刑事の相棒に比べると、今回の兵藤刑事にはあまり愛着が湧きません。でも赤堀先生に振り回されているうちに変わってゆくのでしょうね。
「私を信じなさいって、悪いようにはしないから」「今まで、悪いようにしかしてこなかっただろうが」にふきました(笑)。
Posted by ブクログ
『メビウスの守護者』に続く法医昆虫学捜査官シリーズの5番目の作品である。4作目を読んでから、いささか間が開いたが、昆虫(の生態・本能)を利用して、犯罪捜査をする着眼点に惹かれ、再びこのシリーズを読み始めた。本シリーズでは、離れた2地点が舞台となる構成が多い。そこに何か理由があるかは、5作目まで読んだ今も定かではないが、都会から離れた森や海や島といった舞台は様々な昆虫を登場させる上で親和性が高いのかもしれない。
犯罪がもたらす変死体から想像される昆虫といえば、「ウジ」がその筆頭だが、さすがにシリーズも5作目まで続くとなれば、「ウジ」だけでいくつもの物語を生み出すことも困難だし、何より読み手が目先の変わらない物語をいくつも読まされることになる。そうしたマンネリズムを回避するうえでも、事件の舞台設定は、おそらくこのシリーズでは重要な意味を持つ。
今回の舞台装置は、伊豆諸島のとある小島(架空の名称だが、モデルとなった島は想像できる)が舞台で、そこには海も、廃校も、ビーチもあり、昆虫にとっても楽園である。加えて、海のかなたの小島ということで、古来の因習めいた独特の慣習も絡み合う。これまでの作品も同様のモチーフはあったが、本作ではより重層感が増している。
物語は刑事・岩楯の視点と昆虫学者・赤堀の視点が交互に語られ、かつ、伊豆諸島の小島と被害者のもともとの住処である東京が螺旋のようにからまりあって、物語の進行は予断を許さない緊張感をはらみながら進む。その緊張感に、昆虫学者ならではの見立てが加わり、はっとさせられる。「昆虫の生態分析」が重要な役割を果たすが、それでいて全くリアリティが損なわれていないのは、著者の筆力の賜物であろう。
玉に瑕、というが他の部分がすばらしいがゆえに小さな瑕疵が殊の外目立ってしまうことがある。本作でも、気づく限りただ一つ瑕があった。終盤、本作における重要なトリックに刑事岩楯が気づく場面。証拠(となりうる紙面)の隠滅を図ったはずで、その行方は真相究明の重要な手掛かりだった。にもかかわらず、奪った後の紙の処理には思わず声を出しそうなほど驚いた。昆虫による操作という奇抜さとはうらはらに、これまでのシリーズを通して緻密なプロットにも感心していたが、この紙の処理については杜撰というよりほかない。作者は、なぜこの部分に限って、ことほど左様に雑な処理をしたのだろう。物語の分水嶺ともなる重要な部分だけに、いささか残念である。
Posted by ブクログ
東京都の小さな離島で、ミイラ化した若い女性の遺体が発見された。
通常とは異なる遺体の状態に法医昆虫学者の赤堀に出動要請が入り、彼女の世話係の警視庁の岩楯も島に向かう。
解剖医は自殺と断定し、死亡推定月日は3ヵ月以上前と判明するが…。
遺体に群がる虫の痕跡から事件を紐解いていく昆虫学捜査官・赤堀涼子を主人公にしたシリーズももう五作目。
毎回異なるパターンの虫や現場が出てくるので、飽きない作品です。
今回はミイラ化遺体ということで、大量のウジ虫ちゃんが出てこないのでそんなにグロくなく、物足りない感じ。
私は別にグロいのが得意なわけではないのですが、このシリーズを読んでいるうちに耐性ができてしまったようです。
昆虫相から死の真相を調べる赤堀と、被害者の周辺の聞き込みによって捜査していく岩楯たち警察。
同時並行の推理がやがて一つの真実に辿り着き、集約していく様子はスリリングで、圧倒的なカタルシスを感じることができます。
女性の多い職場ならではの陰湿なやり口でいじめられ、家族からも忌避され、最後は離島を観光で盛り立てようとする地元の野心家たちの餌食になり、死んでいった被害者。
そんな暗い影を落としていた被害者をめぐる状況と不気味な虫たちの生態が二重写しにされ、より一層の陰惨さを際立たせています。
ちょっと薄暗い話ですが…でも、最後に二人の登場人物(兵藤と由紀)が事件を通して少し前向きになり、かすかに明るい兆しがもたらされるのは良かったです。
また、赤堀と岩楯の、仕事への自負とバディとしての信頼感が感じられるラストも読後感が最高でした。
次巻が楽しみ~。