【感想・ネタバレ】神とは何か 哲学としてのキリスト教のレビュー

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Posted by ブクログ 2019年08月17日

著者はカトリックの司祭でトマス・アクイナス研究の第一人者である。本書では現代日本において、中世哲学を学ぶ意義について語っているように感じた。一般向けの新書としてこういう本が出たということ自体が興味深い。個人的にはかなりの知的刺激を受けた。特にカントやデカルトへの批判は共感するものがあった。ネットにあ...続きを読むるいくつかの感想を見ると、”神の存在証明をする本”という勘違いをして、憤慨されているキリスト教嫌いな読者が多いようで、そこがとても残念。

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Posted by ブクログ 2019年04月24日

某所読書会課題図書.題名の特異さと解明のアプローチに興味があり、内容の難しさを克服する意味で頭が冴えている朝に取り組んだ.気になった語句を列挙する.知的視力、知識と知恵、真理、無神論(排除論、無用論)、科学主義的信仰、閑暇、観想、根元的経験主義、観念の道、物心二元論、無からの創造、神に固有の業(創造...続きを読むと救済)、受肉の神秘、観念的信仰・現実的信仰、謙遜と従順、自己認識、などなど.結論としては、次の語句が心に触れた."「神」探求の最終段階は「人となった神」キリストを学ぶこと"

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Posted by ブクログ 2019年12月07日

トマス研究の泰斗として知られる著者が、「神とは何か」という問題について、「哲学を素地として誰にでも解る平易な言葉で」語ることを試みた本です。

こうしたもくろみにのっとって書かれた本なので、著者は随所で「神とは何か」という問いそのものに意味を見いだしがたいと素朴に考える読者に対する注釈を交えつつ、な...続きを読むぜ「神とは何か」と問うべきなのかを説明しています。そうした著者の姿勢には好感をもちますが、けっきょくのところそのような疑問をいだく読者を説得することに成功しているかといえば、疑問符をつけざるをえないように感じます。

著者はまず、デカルトにはじまる近代以降の哲学が、経験と理性にもとづく「知識」を求めることにのみ邁進する知的伝統をかたちづくっていることを指摘し、そのような限定された問題設定からはずれてしまう、「知恵」にかかわる形而上学的な問題領域が存在することを説明しています。そのうえで、こうした形而上学的な探求は、経験と理性のみに依拠することによっては果たしえず、信仰の光にみちびかれつつおこなわれなければならないという立場が打ち出されています。

ここまでは、宗教哲学的な考えとしてある程度理解できるのですが、その後著者は神の「一」性や「無からの創造」、「三位一体」といったキリスト教の教義にもとづく議論を紹介し、その哲学的意義を明らかにしようと試みています。ただ、どうしてもキリスト教の教義を前提にしており、ドグマティックな印象をぬぐいきれません。また、滝沢克己の「インマヌエルの原事実」についての理解を「観念的承認」すなわち「教養や学識のある人が聖書を熱心に学んで、自らがそれに基づいて生きるべき自覚的信念として形成した信仰」だと批判しているところに、そうした疑問を強く感じました。

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