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Posted by ブクログ 2009年10月04日
百人一首でかるたとりをしたことがあるという人は沢山いるでしょう。けれども、それぞれの歌がどういう意味なのかは意外と知らないのではないでしょうか。古い言葉ですし、耳で聞いただけではわかりづらいものです。でも、和歌というは本来とても面白いものです。
例えば、
「君がため春の野に出でて若菜つむわが...続きを読む衣手に雪は降りつつ」
という歌があります。君のために春の野で菜の花を摘んでいる私の衣の袖に雪が降り積もっているという素直で何気ない歌ですが、春のうららかな日に、一面に咲いた菜の花の黄色と緑、そこにはらはらと舞い散る雪の白さ、綺麗な情景が目の前に浮かんできます。
もう一つ面白い歌を
「吹くからに秋の草木のしをるればむべ山風をあらしというふらむ」
これは「あらし」が肝です。一吹きすれば草木は萎れてしまう、なるほど山風は荒いというのはもっともだなあという意味ですが、「あらし」には「嵐」という意味も掛けてあります。つまり後半の部分に、なるほど山風を嵐と呼ぶのももっともだなあという意味も含ませているのです。さらにさらに、小粋な仕掛けがしてあります。ここでは横書きになっているので分かりにくいですが、縦に書いてみてください。そうです、意味だけでなく、見た目にも山風=嵐なのです。こういう言葉遊びが随所に見られるのもまた和歌の楽しみの一つです。
ここでは2首だけを取り上げましたが、この本では、このように一つ一つの歌に簡単で分かりやすい解説があり、その魅力を十分に味わうことが出来ます。和歌が大好きになること請け合いです。是非一読をお勧めします。