あらすじ
川辺の下町、東京・三河島。そこに生まれた父の生涯は、ゆるやかな川の流れのようにつつましくおだやかだった──と信じていた。亡くなってから父の意外な横顔に触れた娘の家族のルーツを巡る旅が始まる。遠ざかる昭和の原風景とともに描き出すある家族の物語。第43回泉鏡花賞、第68回野間文芸賞受賞作。
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Posted by ブクログ
長野まゆみさんの作品、初期よりも後期のほうがすっかり好みになってしまいました。
こちらもしみじみよかった。
戦中戦後の家族の記憶は現実と幻想が入り交じって、長野ワールドのきらめきや爽やかさと、戦争の仄暗さが同居してました。
風景描写、生きている時代も居住区域からも知らない風景の筈なのに目に浮かぶような鮮やかさです。
あまりの「思い出話」ぽさに何度も、私小説かな?と思い、いや長野さんのご兄弟はお兄さんでなく妹さんだったはず…と我に返りました。
「八月六日上々天氣」もだったけど、淡々としているほうが胸に迫るものがあります。かといって深刻じゃないからすごい