【感想・ネタバレ】平安鎌倉史紀行のレビュー

あらすじ

鉄道と時刻表をこよなく愛する著者が列車を乗り継ぎ、みずからの足で、平安鎌倉五百四十年の史跡を訪ね歩く。平安京の見はらし、将門の首塚、奥州平泉の黄金、鎌倉切通し、草戸千軒遺構、楠木正成ゆかりの千早城。時刻表と地図を手に、歴史の舞台を各駅停車でたどる人気エッセイ。「日本通史の旅」第二弾。

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Posted by ブクログ

著者の未読本を古書で発見するたびに購入している今日この頃。『古代史紀行』に続く史跡を時系列順に旅するタスクが課せられ、著者にさえ非効率と言わしめている(笑)。平安、と言っても平将門から藤原清衡、そして源平合戦の史跡まで移動範囲は広い! 鎌倉では、義経を追って再び平泉を訪れる。しかし、総じて関東が中心の紀行となった。中央公論社で『日本の歴史』編集に携わった著者だけに、豊富な知識と洞察力に満ちた文章で、読んでいて気持ちが良い。鉄道だけではなく、バス、タクシー、船、そして徒歩を駆使した紀行文であった。

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2025年07月19日

Posted by ブクログ

鉄道紀行作家、宮脇俊三のライフワークとなった「日本通史の旅」。本書はその2巻目に相当します。

ある時は慈愛に満ち、またある時は冷酷な氏の筆致が冴え渡ります。歴史概説としても、旅行記としても楽しめますし、京都や鎌倉を幾度も訪れては辛抱強く史跡を巡る氏の姿勢には頭が下がります。

鳥辺野や阿弖川など歴史の表舞台に現れない史跡を訪ね、庶民の悲哀を描こうとしているのも印象的。坂上田村麻呂や藤原純友に今なお好意を持つ地元の人々の姿を知ることが出来るのも、旅行記という体裁をとった本書の魅力の一つではないかと思います。

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2016年11月19日

Posted by ブクログ

 ようやく読み終わった。
 この手の本にでは珍しい位に読むのに時間がかかった。平安時代の「桓武天皇と渡来人」から始まって、鎌倉時代の終わり「鎌倉幕府滅亡」まで、全部で34章、およそ400頁に及ぶ。お盆休みの間、じっくり本を読もうと思いつつ、結果的にこの本しか読めなかったのは大変残念。
 本書は、「古代史紀行」に続く、日本通史の旅の第二弾として刊行された。訪れたところは、北は、奥州平泉から、西は九州は博多地方まで広く、特に京都と鎌倉が中心にはなる。考えれば、この訪問地が当時の日本と考えられていた地域とほぼ一致するのかな。
 著者の得意な電車等の乗り物による水平移動と歴史の流れを辿る垂直的な移動との交わったところに紀行文の面白さがあるのだろう。
 改めて章立てを見ると、400年も続いた平安時代よりも、150年ほどの鎌倉時代の方が多いことに気づく。あんまり京都の雅はお好みではないのかな。確かに事件と言って取り上げるべきものも少ないか。それと現代に残っているものもあまりないか。京都の歴史は応仁の乱以降と言った高名な学者さんもいるしね。
 武士の時代、鎌倉以降になると好みにあるのか筆が進んでいるようにも見える。ただ、逆に土地勘がないのでわかりにくいところもあるだが。
 本書が出版されたのが1997年いくらか交通状況は変わっている。「千早城」に出てくるロープウェイは止まったままだし、金剛バスは廃業してしまった。
 いつもの間にか、赤字などを理由にいろいろなものがなくなってしまった。しかし、もともと公共は、採算の取れないもので必要不可欠なものを担う役割があったはずだが、いつの間にかそういう議論はなくなり、そのため地方はどんどんと衰弱しつつある。
 鉄道などの交通は、国家の根幹だったはずだが、さあ、これからどうなるのだろう。

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2024年08月25日

Posted by ブクログ

歴史的遺構を時代順に追っていく紀行文。平家物語に詳しいのを思いだし、本棚から取り出した。壇之浦の悲劇の舞台を訪れ、安徳陵や平家の墓を巡る文章は傑作だと思う。平家物語本文の引用と静かな観察眼が哀れみをよく引き出している。その後鎌倉時代まで紀行は続くが、平家物語を辿る旅の方が文章に力がこもっているように感じた。

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2011年12月24日

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