あらすじ
藤原純友、松浦党、倭寇、村上水軍。海に囲まれた日本列島は、古来、「海賊」と呼ばれる人びとの活動の舞台だった。様々な地域で活躍した様々な「海賊」たちの存在を通して日本の歴史を読み直す、ユニークな日本史の試み。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
古来から島国・日本に存在した海賊。
藤原純友から源平合戦を経て、各所に存在した海上勢力の
徳川期に至るまでの姿と実情などを探ってゆく。
・はじめに――海賊とはなにか ・凡例
序章 海賊との遭遇 第一章 藤原純友の実像
第二章 松浦党と倭寇
第三章 熊野海賊と南朝の海上ネットワーク
第四章 戦国大名と海賊――西国と東国
終章 海賊の時代
・注、文献・史料一覧有り。
・あとがき
追捕側から海賊と呼ばれる立場になった藤原純友の天慶の乱。
源平合戦の海上戦に関わった海上勢力。
松浦党とはどういう存在だったのか?
倭寇の実像と境界人。
南朝に組した熊野の海上勢力の熊野信仰との関係。
戦国時代の武装した海賊たち。
大名が自国の中で水軍力を高めることも。
西国では三島村上氏。それぞれの大名との関係。
毛利や小早川の水軍の担い手となった海上勢力。
塩飽の水運力。古来からの忽那氏は河野氏の一翼に。
九州の海上勢力。
東国では北条、里見、武田の水軍。
伊勢湾の九鬼氏は織田、秀吉の水軍の主力。
そして関ケ原合戦を経ての徳川の世に。海賊たちのその後は?
日本での海賊や水軍についてがざくっと分かる内容。
時代の変遷中のでの行動と立場の変化。「海賊」のニュアンスも。
また、江戸時代からも造船・航海術・捕鯨・小型船舶等で
影響を与えた遺産があるというのも興味深い。
とにかく海上勢力は弱小から大規模まで多くいたようだし、
とにかく史料が少ないので判明していることは僅か、らしい。
それでも藤原純友が摂関権力の中心近くにいたのに、
海賊と関わってしまったこと、熊野の海上勢力・小山氏は
鎌倉時代の関東の有力御家人の流れだったことなど、
初めて知ることもあり、なかなか興味そそられました。
う~ん、誰か日本の海賊事典をまとめてくれないかなぁ。
Posted by ブクログ
平安時代から戦国時代までの海賊と称された存在について、西日本を中心とした著名な事例を紹介し、最後に海賊像の変遷と後世への影響をまとめる構成。松浦党や熊野海賊などの具体例は、海上勢力の生活の実相も見えて面白かった。
Posted by ブクログ
主に鎌倉〜戦国時代の頃の海賊と呼ばれた集団についての本です。
どちらかというと歴史的な資料をベースとして〇〇の海賊は〇〇年以降〇〇家の元で活動した事実がみられると言うような内容が多かったです。
著者が瀬戸内海の海賊についてを専門としているようで村上水軍に付いての記述なども多かったです。
なるほどと思う内容もありましたが日本史についての学術的な知識本と言ったところです。
Posted by ブクログ
<目次>
序章 海賊との遭遇
第1章 藤原純友の実像
第2章 松浦党と倭寇
第3章 熊野海賊と南朝の海上ネットワーク
第4章 戦国大名と海賊~西国と東国
終章 海賊の時代
<内容>
タイトルに偽りアリだね。著者は、「日本には海賊はいない」と言い続けている。物取りとは違う。海の軍隊であり、警備・防衛部隊なのだ。瀬戸内海では、無事に安全に航行するために(関所などで多額の金品を取られないことも含めて)、彼らが機能していたようだ。五島列島にいたのは、対中国、朝鮮なので、若干毛色は違う。関東~伊豆のものは、完全に海軍だ。でも熊野あたりからスカウトされてきたようだ。そうなると、東国には海軍力はなかったことになる。