あらすじ
文字よりも古い歴史をもつといわれる地図には、その時代の人々の世界観が描かれる。それは豊かな想像力と確かな科学や測量が融合した、時代の観念の具象化だった。世界と日本それぞれに、人類はどのような観念を地図に描き、そして現実の世界とつなげようとしてきたのか。斯界の泰斗が、興味深い数多くのエピソードに160点超の豊富な図版を交えてつづる地図の歴史。長く読み継がれてきた歴史地理学の入門書、待望の文庫化!
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Posted by ブクログ
世界史が苦手なので、世界篇を読むのに苦労しました。
全然頭に入ってこない。
逆に日本篇は結構自分で勉強した部分もあるので、面白く読みました。
ただ、この本自体は2年前に出版されたものですが、底本の出版が昭和40年代という…。
古いよ!
2万5000分の1地形図が、まだ全国の半分しか刊行されていない。
もちろん今は全国を網羅している。
広域的な地図を作成するのに、リモートセンシングの技術が最新として紹介されているけれど、もちろん今ならGNSS(GPSなど)だ。
ドローンによる測量や3Dの地図など、この本が書かれたときには想像もできなかった技術が、今、当たり前にある。
やっぱりこういうのは、新しいのを読まないとだめだなと思った。
だけど、一か所、とてもわくわくする記述があった。
ちょっと長いけど抜粋します。
”イドリーシーの世界地図では、アジアの東南の部分に「シン(Sin)の国」、すなわち「シナの国」がある。(中略)その東にはシラと記された諸島が散在し、さらにシラの対岸にあたる、東に長く連続するアフリカの最東端のところにはワクワクが位置している。(中略)「シン(シナ)から先のところは、どのような土地かわからないが、……金を産するシラと、やはり金を産するワクワクがある」と述べている。シラ(Sila)が新羅、すなわち朝鮮半島にあたるとすれば、ワクワク(Waku waku)は倭国、すなわち日本を指すものと解され(後略)”
これが西方の地図に日本が記載された最初の記録であるらしいです。
”waku waku”→”wakwoku”→”wakoku”の流れは、さもありなんと思いました。
日本が外国で”ワクワク”と呼ばれていたなんて、なんかちょっとわくわくしませんか?
まだ太平洋が見つかっていないときなので、日本がいきなりアフリカにあったりするのも面白かったです。