あらすじ
中島敦の小説「文字禍」、ホーフマンスタールの小説「チャンドス卿の手紙」。この二つの作品に描かれたいわゆる「ゲシュタルト崩壊」、すなわち、文字が意味や表情を失って見える現象をてがかりに、ウィトゲンシュタインの言語論に新しい視座を与え、カール・クラウスの言語論に、すぐれて現代的な意味を見出す。清新な言語哲学の登場! 第41回サントリー学芸賞受賞作。
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Posted by ブクログ
中島敦と世紀末ウィーンの人物
中島敦とホーフマンスタールが、言葉から魂が抜ける体験を描いて言語"不信"を表明する一方で、ウィトゲンシュタインとクラウスは、むしろ言葉に魂が宿る体験に着目することで、言葉の豊饒[ほうにょう]な可能性を探る言語"批判"を展開している。
ゲシュタルト心理学
ベーコン
思考の歪み「イドラ(幻影)」
「言葉を通じて知性に負わされるイドラ」=「市場のイドラ」が一番厄介
「言葉は知性を無理に加え、すべてを混乱させて、人々を空虚で数知れぬ論争や虚構へと連れ去るものだ」
そのため「真の帰納法」が必要(経験的探究)
①観察・実験を通した事例の網羅
②適切に吟味し秩序づける
③諸事例を貫く概念を取り出す
ゲシュタルト崩壊から抜け出せない理由
P.66
…言葉を現実の(不完全な)代理・媒体と見なす言語観が彼らの物語の前提にある
「語は文から分節化される」という原理
ウィリアム・ジェームズ
「もしも感feeling of if」「しかし感feeling of but」
アスペクト(相貌、表情)変化
アスペクト盲の思考実験
=ウィトゲンシュタイン「かたち盲」「意味盲」
アニミズム物活論
『「いき」の構造』
言語浄化主義
クラウス
韻による「規則性を超えた創造的必然性」
P.196
…〈個々の言葉のもつ奥行きや多面性に触発され、その言葉のかたち(ヴォルトゲシュタルト)を把握する〉という実践を重視する姿勢によって貫かれている。
「言葉というものが、どんな仕方で機械的に使用されようとも、精神の生命によって包まれ保持された有機体であるということの予感」
言語不信 言語批判
[自分の意見・文章と思っているものが、他人(マスメディアなど)の繰り返している常套句の反復に過ぎない]
この指摘の翌月、ナチス内部のアドルフ・ヒトラー独裁体制が確立
その10年後ナチス国家が誕生した
P.217〜 現在の状況に適用