【感想・ネタバレ】閻魔堂沙羅の推理奇譚 業火のワイダニットのレビュー

あらすじ

☆☆【2020年秋】NHK総合よるドラにて、TVドラマ化!☆☆

謎を解けば、あなたは生き返る
――どこからでも読める珠玉のミステリシリーズ!

☆☆☆

「僕を殺したのは、たった一人の友だちなのか?」
天涯孤独の土田は大学受験を前に、友人の夏目の家で焼死した。夏目は酷薄で人を殺してもおかしくない人間だ。僕には生きる目的もないし死んでやってもいい。

でも、僕を殺した理由はなんだ?

死亡した土田の前に現れたのは、閻魔大王の娘・沙羅だった。
今回の謎はワイダニット(なぜ殺したか)。もう一度友人と話すため、霊界の推理ゲーム開廷!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

全部で3篇併録されている。
前作と同じく、本作も中編小説の内容となっている。
1篇は犯人が事前に分かっている状態で、なぜ犯行を行ったのか・・動機を推理する展開となっている。
推理小説を網羅している玄人には、軽すぎる作品かもしれないが、それを補うだけの世界構成をしているかなと感じる。
満点の一作です。

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2019年02月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ミステリの形式を取りながらもいろいろな問題に触れている。第一話。外見で不利な女の子の話。ひょんなことから自分の思っていたのとは違う人生になってしまうというのは案外あるのかも。第二話。時事問題も絡めつつ社会派? 二人で教え合うのは、ルール的にありなのかと疑問に思ったけれど、沙羅が教えているわけではないので、自分で推理していくのと同じ範疇なのかと納得した。第三話。心の闇の問題。沙羅というキャラがちょっとワンパターン化している気がしなくもないけど、これはこれで「お決まりの流れ」という意味ではアリなのかもしれない。「キレ顔」も出てきたし、ってそんな姿は見たくなかったけど、ってみたわけじゃないけど。

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2018年10月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 早くも登場、シリーズ第3作。歴代のメフィスト賞受賞者の中でも、デビュー以降これほどハイペースで刊行している作家はいなのでは。続編を出しやすい一話完結のフォーマットとはいえ、多様な人間模様を描き出すのは簡単ではない。

 今回の面々は、それぞれ背景も生い立ちもバラバラ。共通しているのは、恵まれた境遇とは言えないことくらいか。「普通」ということのありがたみを感じさせる事例だろうか。特に第1話は、とてもコメントにしくい。

 1人目、30歳の契約社員、女性。彼女の望みは、普通の人生。しかし、なかなか正社員には登用されない。原因はわかっている。そのために母をなじったりもした…。真相が薄々予想できるのが悲しい。せっかく生き返った後に、追い討ちをかけるのかよと思ったら、何だその展開。これが転機になるのなら、まあいいか。

 2人目と3人目、78歳と11歳。2人同時に沙羅が迎える初めてのパターン。詳しくは触れないが、老人と少年の関係は複雑だ。しかし、少年に何の罪もあるまい。事情が事情とはいえ、許しがたい。何だかんだで、じいちゃんを慕っている少年。彼ならたくましく生き、そして大志を成し遂げるだろう。現代社会を問う1編だっ!

 4人目。19歳の浪人生。彼の生い立ちを思えば、幼少時から人付き合いを避け、友人1人いないのも無理はない。そんな彼が、小学生時代の数少ない知り合いと再会した。彼は、小学校でのある事件が、ずっと引っかかっていたのだが…。

 犯人は分かり切っているという異例のパターン。問題は、ホワイ、動機なのだ。聞いてみれば、そういうネタかと納得するが、それでも君は話がしたいのか。もう十分だろう。彼が持って生まれた人間性が、いずれ運命を切り開いてくれる。

 自分はとりあえず普通の人生を送っていると思うが、どこに落とし穴があるのかわからない。徳ばかり積んできたわけではない人生だけに、どういう判定をされるのか…なんてことは思わないが、日常には感謝をしたいものである。

 固定フォーマットながら、沙羅と対峙する人間たちの生き様はそれぞれであり、飽きさせないのがこのシリーズの強み。第3作にして、構成面のひねりや工夫も見られる。木元哉多という作家は、もう新人ではないな。

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2018年08月28日

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