あらすじ
年齢も、家庭環境も、性格もてんでばらばらな小学生たち8人が、毎朝いっしょに騒がしく登校する様子がユーモラスで繊細な文章で生き生きと書かれています。小学生って、たった数ヶ月でこんな風に自分とは全然違う他人たちとの関わりあいの中でそれぞれ着実に成長していくのだ、と納得させられる圧倒的なリアリティがあり、優しくありたい、賢い大人になりたい、と前向きな気持ちになれる爽やかな感動作です。
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Posted by ブクログ
すごい!
小学生の登校班の朝の登校だけで話が進む。
おまけに、五年生の副班長ユッキーの視点なので、いろいろ説明不足で、わからないことが多いが、どんどん読めてしまう。
すばらしいリーダーのかさねちゃん。
口うるさいけど空気が読めるマユカ。
にぎやかな太郎次郎兄弟。
本人にも家庭にも問題がありそうなリュウセイ。
アリと、カブトムシの幼虫が手をつないでるみたいな一年生のミツと二年生ののんすけ。
太郎と次郎がどなりながらしゃべる様は声が響いてる感じすらある。
ずっと朝の登校シーンなので、終盤のお出かけがとても効いている。班のみんなそれぞれのリュウセイへのプレゼントが良かった。
Posted by ブクログ
目の前に一人一人、個性豊かな子どもたちの様子が目に浮かぶようで、電車の中でにやにや笑いながら読んだ。
「通学班は女尊男卑」って言葉に「そのとーり!」と心の中で叫んでから「そうか、子ども達だってこんなことわかってたんだな」って思った。
他の班でもてあまされてしまった子や、もともとなかなか癖のある子たちが揃っているこの班を、班長のかさねちゃんが上手にまとめている。まとめている、というか、かさねちゃんは一人一人のメンバーのことがすごい好きなんじゃないかな。他のメンバーもかさねちゃんのことが大好きなように。そして、かさねちゃんという人を通してその向こうにいる「同じ通学班」の子たちを「意識しない仲間意識」で想っているんじゃないかなと。
他の班のヤツにリュウセイの悪口をいわれるのはむかつくけど、俺たちがいうのはいいんだ、的な。いや、いじめの構図とかそういうのではなくて、俺たちがリュウセイやほかのメンバーに色々いっても、それには「愛情」があるのだ。本人たちはもちろん「愛情」だとか「仲間意識」だとかそういった形にはしないけど。
世の中の、大変な下級生たちを連れて歩いている「小学生班長」にぜひささげたい。
Posted by ブクログ
おもしろかった。
「ちゃんとして」でちゃんとできるのはかさねちゃんの力だし、班のメンバーそれぞれの力なんだろうなと思う。
かさねちゃんの言う「ちゃんとして」には、たぶんほんとうはいろんな意味が含まれているんだろうけど。
でもなんというか、「ちゃんと」がどういうことかわからなくても、今やっちゃったことはよくなかったんだ、っていうそれだけはわかるからちゃんとしなきゃ。
そんな下級生たちの気持ちがうかがえるなと思った。かさねちゃんは言葉の魔術師みたいだ。
リュウセイのところから帰ってくるときにかさねちゃんがユッキーに言った言葉もよかった。彼女は物事の本質をしっかり見ているなって。そしてそれはユッキーもおなじ。
南雲町二班は「アンタイ」です。まちがいない。
Posted by ブクログ
問題児ばかりの登校班のみんなをみごとにまとめてみせるかさねちゃんとそんな様子をみて自己嫌悪に陥るユッキーの様子に近親感を覚えます。
小学生の日常が垣間見えてくすっと笑えもします。
Posted by ブクログ
間宮小学校・登校班、南雲町2班、5年のユッキーこと上原孝行はいろんな事に絶望している。
登校班で班長、6年のかさねちゃんこと深町累ちゃんが、もうあと数ヶ月で卒業してしまうからだ。
なんといっても、南雲町2班は、問題児だらけなのだ。元気すぎで先の行動が読めない1年のミツ。ほとんどしゃべらない、汚れているものが嫌いで、道路が汚れていたら動けなくなる潔癖症2年の のんたん、3年2年の太郎次郎兄弟は、忍者の修行をマジでやってはお母さんを困らせる少年だ。4年女子のマユカはアイドルとかドラマとか好きで、女おんなしてる。そしてもうひとりの4年、リュウセイは、4年なのにいろんな事がきちんと出来ない。こだわりが強く、ケンカっぱやい。
こんな賑やかで手に負えない班だけど、かさねちゃんは、ちっともうんざりすることなく、みんなをまとめている。
ユッキーは思う。オレには班長なんて、絶対ムリ!6年になるのがおっくうだ〜・・・と。
11月半ばから2学期いっぱいの、南雲町2班の登校風景がユッキーの目線で語られる。
元気すぎたり、困ったことも多いけど、子どもたちが生き生き描かれていて、ユッキーが(主に心の中での)つっこみを入れながらも、いい班なのだ。
毎朝、学校の近くの間宮様(おじぞうさん)に手を合わせて、ちょっとお願いやらするもの ほほえましい。
ほぼ、登校風景だけを描いているのだが、子どもたちの結束や成長がある。
母が出て行って帰って来なくなっていなってしまったリュウセイだが、ラストにはほっとした。