【感想・ネタバレ】光陰の刃(下)のレビュー

あらすじ

財界の頂点と徒手空拳の宗教家。国を憂う気持ちは同じでも、團と日昭の立場はあまりに対照的だった。戦争、震災を経て、社会不安が広がった時代に、日昭は革命を目指して「一人一殺」を掲げ、体制の象徴・琢磨を狙う。吉川英治文学新人賞&大藪春彦賞受賞作家が、近代日本の転換点となった大事件を描き尽くす。

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Posted by ブクログ

上巻から下巻にかけては團琢磨が成功の上で堂々とした財界人になり次第に雲の上になっていく中で、一方の井上日召は大分迷走気味。跳ねっ返りのやんちゃな子が満州に渡りスパイまがいのことをしている間はなかなか面白い。そんな井上がある和尚に出会ったことで題目を唱えながらの瞑想を始めた頃から何やら怪しくなる。日蓮宗ってのはそういうパワーはあるんだな…本人にとっては世の真理を見つけたということなんだろうが、そこは宗教カルトっぽい思想を元に故郷に戻った後は本当にカルト的存在になってしまう。四郎という名は医師の父によって昭に改名され、奇跡を願ってやってくる病気の人を治したりしているうちに、助言も受けて日召に。井上日召になった彼のもとには次第に困窮者を憂う青年将校を始めとした若者たちが集うようになり、現在の政治家、財界人を一人一殺していかねばならないという過激思想が根付いていく。其の挙句に弟子たちが為したのが、昭和7年のテロ事件の数々。浜口雄幸暗殺未遂(その後死去するが)、蔵相井上準之助暗殺、そして團琢磨の暗殺と。ちなみに515事件での犬養毅の暗殺も日召の弟子の仕業。彼らはマスコミによって血盟団と名付けられて一連のテロは血盟団事件として今に名を継がれている。当然ながら捕まった日召は無期懲役を受けながらも数年で恩赦を受け、なんと後の首相となる近衛文麿に近くなり、戦後も右翼団体を設立、90歳まで生きるという…えぇえという人生を送ることになる。
ここまで書いてもうストーリーはほとんど頭にないな‥。でも日召の思想の変遷プロセスがよく描かれてはいるものの、全く、本当に全く共感できないためになかなか辛い。團琢磨殺すなよ…なんなんだお前らは、と思ってしまう。しかも史実的にも彼らを殺した連中は戦後に日召と合流し、右翼的思想の柱体ともなり、政治家たちの黒幕的存在でもあったという。なんなんだ一体。左翼も共感できないが、右翼団体ってのはこんな腐った連中がもとになっていたんだなと呆れるしか無い。
と、そんな知らない政治史/思想史/経済史を知ることが出来たのは素晴らしかった。

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2026年09月13日

Posted by ブクログ

 中盤以降で日召サイドの物語の雰囲気がガラリと変わり、革命家として扇動していく姿には心ならずもカリスマ性が感じられた。決して共感はできないが、革命のために無関係な被害を出してはいけないという信念と冷静な態度が魅力を放っていたのだろう。下巻に関しては
團パートよりも日召パートの方が興味深かった。この2人に加え、富士隈、山海駒吉の4人の視点が回転していく終盤は、結末は分かっているのに先を追いたくなる緊張感と疾走感があり、作者の技量を感じた。
 驚いたのは、彼らテロリストが皆恩赦で、太平洋戦争後も生き続けたこと。團目線では酷いバッドエンドと言えるかもしれない。

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2025年04月26日

Posted by ブクログ

地の底のヤマに比べると没入感は無かった。井上日召、團琢磨、まさに陰と陽の二人が日本に与えた衝撃。全てが運命。この時代は本当に熱い。

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2018年07月18日

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